「VIA OSAKA 」開催に寄せて
今、大阪の中之島でパフォーミングアーツを集まって行う。
とはどういうことなのか。
「パフォーミングアーツ」とは、本来舞台芸術全般を指す言葉であるが、本イベントにおける定義としては、「ダンス」「演劇」「音楽」などの特定の芸術領域に縛られない、いわゆるオルタナティブな表現を指す。加えて、単に演目を上演するのみではなく、空間や観客との関係性、即興性、時間の流れ、対話性など、多様な展開を見せるという要素も含んでいる。
大阪の現状として、直接的にパフォーミングアーツの企画・支援を行っている施設団体は数えるほどであり、プレイヤーはフィールドも予算もなく、活動すること自体がかなり難しい。よってプレイヤーは限られ、かつてあったシーンと呼べるものも消え去り、ごく限られた少数が独自・小規模に活動を行っている。既存の枠組みにとらわれないオルタナティブなパフォーミングアーツを身近で目にする機会はほぼない。
大阪に劇場空間は多くあれども、一定以上の規模でかつ既存の用途以外へ自由に使えるものは思い当たらない。
アートエリアB1(以下B1)は、その中でも空間の自由度が高く、規模もある上に劇場機構も備えた施設で、かつては多くのパフォーミングアーツが行われていた。
この自由度を活用できるようなパフォーマンスがもっと増えてほしい。
既存の枠組みを疑い、軽やかに越境しつつ新しい面白さを見つける。
大阪にはかつて独自なパフォーミングアーツが数多く存在した。
それらを生み出した独特な都市、住む人、カルチャー、隙間に未だ魅力を感じる。
B1は未だ大阪の都会にある有効な「空き地」であり、空き地で自由に絵を描くよう、定型に捉われない独自の表現を受け入れる数少ない場所である。
今回は出演だけでなく企画協力としても参画し、これまで活動してきた世代と新しい世代で、B1が再び大阪でのオルタナティブなパフォーミングアーツを行える場となるきっかけをつくる。かつての大阪で活動し、Dance Fanfare Kyotoでシーンへの危機感と可能性を投げかけ続けた先輩、きたまりと共に大阪の過去と現在地とこれからをミックスしてパフォーマンスを試みる。
プレイヤー・関係者に限らず、目撃者(観客)も共に、それぞれが接し、見聞きしたこと、残っている記録、文章、当時の様々な目線、記憶を通して、「立ち話」をパフォーマンスと並行して行うことで、新たな世代も交えて再び集うにあたり、大阪におけるこれまでのパフォーミングアーツを中心とした経緯を辿りながら、これからに向かう。
大阪を通じて
大阪を経由して
2025年に大阪で集まり、過去を経由してどこへ向かって行けるのかを、皆さんと一緒に試みてみたいと思う。
菊池航(淡水)