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「事務局のクリエイティビティ【全国版】」

1月13日(土)の「事務局のクリエイティビティ【全国版】」は、おかげさまで盛況のうちに終了いたしました。
極寒の中ご来場頂いたみなさま、そして登壇者のみなさま、本当にありがとうございました。

5時間を超える長丁場でしたが、最後までほぼ満席状態の熱気あるトークセッションとなりました。
第一部では、事務局の機能とその意義について、メセナ事業、国際展や芸術祭などの公共事業、そしてNPOや社会運動といった観点から、歴史的な流れもふまえ縦横無尽に語られました。
第二部ではその次の世代が現在携わっているアートの現場、事務局のあり方(事務局の有無も含め)について、お金、行政との関わり、仕事のポリシーなどを正直にリアルに語ってくれました。
第三部ではゲスト全員が登壇し、来場者からの質問カードをもとに、社会の中のアートの立ち位置や価値、労働の話、未来の展望などについても率直な意見交換がなされました。

来場者の方々の質問やアンケートでのコメントからも、アートの現場に限らず「事務局のクリエイティビティ」というテーマに対する関心の高さが伺えました。
今後のさらなる議論、検証につなげるべく、今回のトークセッションの記録まとめ作業に入ります。

詳細レポートも後日アップを予定しています!

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第一部「アートマネジメントの開拓者たちから見た事務局の重要性」
ゲスト:荻原康子/帆足亜紀/樋口貞幸

事務局のクリエイティビティ【全国版】

事務局のクリエイティビティ【全国版】

第二部「多様化するプロジェクトや芸術祭と事務局の役割」
ゲスト:小川希/細川麻沙美/吉田有里

事務局のクリエイティビティ【全国版】

事務局のクリエイティビティ【全国版】

第三部「事務局のクリエイティビティとは何か」
ゲスト:荻原康子/帆足亜紀/樋口貞幸/小川希/細川麻沙美/吉田有里

事務局のクリエイティビティ【全国版】

「遊び」から見る人間の本質(西村清和さんをお迎えして)

 2017.6.21(B1事務局 大槻、鄭/サポートスタッフ 石原)

6月16日(金)、サーチプロジェクトvol.6の関連企画として、ラボカフェスペシャルfeaturingサーチプロジェクト「『遊び』から見る人間の本質」を開催しました。

ゲストには、西村清和さん(美学者/國學院大學文学部哲学科 教授、東京大学名誉教授)をお迎えし、「遊び」とは何なのか、その感覚の中身や構造がどうなっているのかについてお話をうかがいました。6月16日(金)「『遊び』から見る人間の本質」ゲスト:西村清和さん

〜「遊び」〜

まず、西村さんが話してくださったのは、ホイジンガやカイヨワをはじめとする、これまでの遊び論の議論で展開されてきた、遊びに関する二つの側面の紹介と、それらについての見解です。 一つは「非現実の虚構」、もう一つが「現実の模型」です。

たとえば、鬼ごっこやままごとのとき、わたしたちは現実とは異なる非現実の役割を演じ、虚構の世界を作り出しています。これは、非日常を出現させており、一つ目の側面に該当します。しかしその一方で、遊びはなんらかのルールを持ち、私たちはそれに従って他者と関係を構築します。この点で実社会の模型であり、「遊び」は実人生への予行演習だというものです。

この遊び論について、西村さんは批判的な見解を示されました。遊びは「遊んでいるという現実」であるし、遊びは教育学者がよく言うように現実の人生の「模型」による学習のためにあるのではない。また、株の取引が賭の遊びに見えたり、戦争がシューティングゲームに見えたりしても、それらはまったく異なったものだ。というのが西村さんの主張です。

哲学的な観点からみると、遊びと切り離して考えている社会的事象が「遊び」としての要素を持ちうる可能性があるのが興味深かったです。

6月16日(金)「『遊び』から見る人間の本質」ゲスト:西村清和さん

〜遊び感覚―浮遊と同調―〜
つぎにお話ししてくださったのは、「遊ぶ」という感覚の中身についてです。

西村さんは、突き詰めていくと「浮遊」と「同調」に行き着くといいます。
「浮遊」は、言い換えると、「かろやかで、あてどなく揺れ動く運動。それ自身の内部で、ゆきつもどりつする運動」といえます。 例えば、揺れ動きゆきつもどりつする典型的な仕掛け"シーソー"では、二人が異なった動きをしているように見えますが、二人は自分勝手な動きをしているのではなく、二人がひとつの動きに同調し、笑い合いながら浮遊する1つの感覚を共有しています。

この行動の関係は、まなざしのキャッチボール(まなざしの同調)であり、人々が"遊び"感覚があると言ってるのは、この浮遊と同調が起きている時といえるのでは、というのが西村さんの見解です。

6月16日(金)「『遊び』から見る人間の本質」ゲスト:西村清和さん  浮遊と同調

 重要なのは、この「浮遊」は必ずしも心地よいものばかりではないということです。ひとはジェットコースターのような危険が伴う状況にもお金を払って興じます。これはどういうことなのでしょうか?

これは不快の快と呼ばれ、古代ギリシアの時代から議論されてきたことですが、西村さんは、そもそもこれを「恐怖」と呼ぶこと自体が誤りであるとしています。なぜなら、ジェットコースターに乗っても、原則として死ぬことはないため、本当の意味で恐怖とは言えないからです。 むしろこれは恐怖を楽しんでいるわけではなく、「どうなるかわからないハラハラドキドキする状況」=「宙づり」を楽しんでいるにすぎないと考えると、筋が通ります。

このことから、「遊び」のなかには、「どうなるかわからない状況やスリルを楽しむ」感覚が本質的に内在していると西村さんは言います。

小さいころ、高いところにぶら下がったり飛び降りたりとわざと危険な遊びをした経験を思い出して、納得してしまいました。

  

〜遊びの基本骨格〜
トークの半ばになると、「遊び」と「仕事」の話になりました。

6月16日(金)「『遊び』から見る人間の本質」ゲスト:西村清和さん 

西村さんはこの二つは「遊び」と「企て」という、対立する二つの概念で説明できるといいます。

「遊び」は先の通り、「あてどない」、「浮遊」と「同調」「宙づり」の行動です。
「企て」とは「投企=目標や計画を立てて、それを達成する行動」だそうです。

まさにわれわれが仕事と呼んでいるものと言えます。「遊び」では自分と他人がおなじ動きに同調しますが、「企て」においては、むしろ各々の利害やまなざしは対立します。 

 おなじ「ふりをする」でも、こどものおままごとと、プロの俳優の演技が大きく異なるのがその例です。

一方は誰かに見せるという目的は持たずただ互いに同調し、その場でストーリーをつくり、父や母といった役割を模倣します。他方、俳優たちはひとつの作品を作り上げることを目標に技術を磨きスケジュールを組んで稽古をします。

西村さん曰く「よくアーティストは遊びの延長線上で仕事をしていると言うが、明確に作品をつくるという目標があることから、遊びというよりは企てという方が妥当である」そうです。なんだか意外ですよね。

6月16日(金)「『遊び』から見る人間の本質」ゲスト:西村清和さん  遊びの基本構造

〜自由がないから「遊び」は楽しい〜
後半の司会を交えたトークセッションでは、スマホが普及し、いつでも連絡ができてしまうため、遊びと仕事を時間によって分けることができない状況について意見が交わされました。

 西村さんはこの状況のしんどさは、「自由のない遊び」が確保できないことに由来すると言います。普通に考えれば、遊びは自由で、仕事は自由がないように思えますが、そうではないそうです。

遊びにはごっこ遊びにしろボードゲームにしろ必ずルールがあり、プレーヤーはそれに従わねばなりません。しかし、それは裏を返せば「鬼から逃げろ」、「キングを取って勝て」という行動の動機を与えてもらえるということでもあります。
すべて自分で選択・決定せねばならない普段の生活は自由であり、自由であるがゆえに辛さが生じます。
遊びが楽しいのは、そういった自由がないから、という発想には目からうろこで、会場でもうなずくお客さんが見られました。

 

〜最後に〜

最後に西村さんは、「我々の人生には食べたり飲んだり仕事をしたりすることと並んで、絵を見たり音楽を聞いたり演劇を見たり、と遊ぶことが不可欠」「それが欠けるということは、自分の人生が壊れるということを意味し、遊べないことは、人生の病理として不幸である」とまとめられました。

今回のトークでは、わたしたちは知らず知らずのうちにいろいろな行動様式を取っており、それは生きることに直結するふるまいであることをわずかではありますが理解できた気がします。様々な示唆を得られた二時間でした。

講演後の質疑でも、「夜中でも仕事の内容がきて企てと遊びの境がなくなっている。そんな状況を遊びにかえるのはどうしたらよいか」との質問への、「スマートフォンは持たないこと。」というストレートなコメントに会場が沸く等、終始和やかな雰囲気で終演したトークライブとなりました。

6月16日(金)「『遊び』から見る人間の本質」ゲスト:西村清和さん

 

視覚がもたらす不思議と脳細胞の秘密(藤田一郎さんをお迎えして)

 2017.6.21(B1事務局 三ヶ尻、鄭/サポートスタッフ 小河)

6月15日(木)、サーチプロジェクトvol.6「ニュー"コロニー/アイランド"〜 わたしのかなたへ〜」の関連企画、ラボカフェスペシャルfeaturingサーチプロジェクト「視覚がもたらす不思議と脳細胞の秘密」が開催されました。


脳科学者であり、大阪大学大学院生命機能研究科の教授でもある藤田一郎さんをゲストにお招きし、視覚がもたらす様々な不思議や、脳が心を生み出すこととは何かについて等をお聞きしました。

6月15日(木)「視覚がもたらす不思議と脳細胞の秘密」ゲスト:藤田一郎さん

ー脳が世界を見るー

私たちは「目に映っている」=「見ている」と考えてしまいますが、藤田さんは「世界がそのまま見えているわけではない」といいます。

私たちの脳は、まず網膜で光の情報を受け取りますが、それをそのまま世界として認識するわけではありません。形や色、動き、奥行きなどを分析し、「解釈」することによって世界をもう一度「つくりなおしている」のだそうです。つまり、私たちの見ている世界は、脳が認識し解釈した沢山の情報から選ばれた「正しいと思われる世界」なのです。

「見えるものには圧倒的な説得力があるが、私たちが見る世界は脳が作りだしたもの」と、藤田さんが話されていたことがとても印象的でした。

6月15日(木)「視覚がもたらす不思議と脳細胞の秘密」ゲスト:藤田一郎さん

ー問題を解決しようとする脳ー

脳や視覚の働きには、工学的にも模倣できない多くの機能や仕組みがありますが、網膜が脳に与える情報は曖昧な部分も多いために生じる事象もあります。それが一般的に錯視(視覚に関する錯覚)と呼ばれる現象です。

私たちが網膜で受け取る像は、実は立体的な三次元の像ではなく、奥行きのない二次元の像です。そのため、脳は情報を分析して三次元構造を推定し、復元する必要があります。錯視はその復元の能力によって引き起こされます。

例えば、平面の黒い模様が横に動いているだけであるにも拘らず、脳が奥行きを作り出し、あたかも軸を中心に回転しているかのように感じてしまうシルエット錯視。

あるいは、同じ画像を見ているにも関わらず、人によって布地の色が青と黒に見える人と、黄と白に見える人が出てきてしまうドレス錯視。

おなじグレーに塗られているのに、位置によって、一方は白、他方は黒に見えてしまうチェッカーシャドー錯視など、その種類は枚挙に暇がありません。

なぜこういうことが起きるかというと、人には環境に惑わされずに本来の色を見ようとする習性があるからです。光の色を脳内で補正して見ているために、人によって補正の仕方も変わり、それぞれに違う色で認識してしまうのです。同じグレーなのに、白や黒に見えるのも、そうした習性によるものといえます。

脳はこのように、解釈が複数あり、答えを一つに絞ることのできない「不良設定問題」を常に解決している組織なのです。

6月15日(木)「視覚がもたらす不思議と脳細胞の秘密」ゲスト:藤田一郎さん


ー生きていく上で重要な感覚と脳ー

いつでも問題を解決しようとしている脳ですが、手を抜くこともあります。たとえば、数秒前のことであっても、覚えていなかったりするのが、その証拠です。これは、脳がさほど重要ではないと判断したことには、リソースを配分しないようにできているためです。では、どういうことに大きくリソースを割いているかというと視覚です。実に脳の3分の1が使われているというから驚きです。脳をどの感覚にどれだけ使うかは、生物によって異なっており、ネズミの場合は髭の触覚に、カモノハシならクチバシの触覚、アライグマは手の触覚に、多くを使うようです。

視覚ということで、展覧会場に設置しているVR機器についても話が広がりました。VR機器を体験した人は、現実空間ではなく、VR空間の中にいるかのような気分になることがあります。これは、現実にあるものを見たときに起こる脳への刺激と、仮想空間にあるものを見た時に起こる脳への刺激が、視覚情報としては差異が無いため、神経細胞が両者を区別することができずに起こります。言い換えれば、私たちが当たり前にあると思っている世界も元をたどれば、視覚の刺激と言うことが出来てしまうのです。そう思うと、世界の輪郭があやふやになるような感じがしました。

6月15日(木)「視覚がもたらす不思議と脳細胞の秘密」ゲスト:藤田一郎さん

ーおわりにー

最近の研究では、夢で見ている像を読み取る試みや、逆に脳のなかへ映像を作り出すような試みが始まろうとしているそうです。この先研究がどうなるのかは未知数ですが、統合失調症などに全く新しいアプローチの療法ができる可能性があるそうです。しかし一方で、一度被験するとその影響が一年ほど残ってしまうため、慎重にならねばならない取り組みであることは確かです。私自身は使い方次第では、良い方向にも、悪い方向にも転びそうだと感じました。

とは言え、これほどの科学が発達した現代においても、様々な感情を生み出す仕組みを説明できていません。頭部に収まっている、僅か1,300gの組織が心を作り出し、文化や科学をつくりだしていると考えると、不思議なかんじがします。
人の脳という組織は本当におもしろい「授かりもの」なんだなと感じた二時間でした。

6月15日(木)「視覚がもたらす不思議と脳細胞の秘密」ゲスト:藤田一郎さん

6月15日(木)「視覚がもたらす不思議と脳細胞の秘密」ゲスト:藤田一郎さん

"わたし"という彼方を巡る思考の旅(島薗進さんをお迎えして)

 2017.6.11(B1事務局 菊池/サポートスタッフ 林)

6月1日(木)のラボカフェスペシャルは、「"わたし"という彼方を巡る思考の旅」と題して、宗教学者であり、上智大学 グリーフケア研究所長の同大学院実践宗教学研究科教授、東京大学名誉教授でもあられる島薗進さんをお迎えしてのトークイベントが開催されました。

6月1日(木)「"わたし"という彼方を巡る思考の旅」ゲスト:島薗進さん

島薗さんが教鞭を執っておられる上智大学はカトリック系の神学部がある日本でも唯一の大学であり、関西の同志社大学や関西学院大学のプロテスタント系とは異なっていますが、島薗さんは俯瞰的な視点から宗教に接しておられます。
また、島薗さんが所長を務められているグリーフケア研究所は、過日発生したJR福知山線脱線事故を踏まえJR西日本から寄付を受けて設立されました。
この研究所では、自然災害ではなく人災による取り返しのつかない大きな事件や事故で身近な人との死別を経験し悲嘆に暮れる人が、その悲しみから立ち直れるよう支援する人を養成しています。

島薗さんは当初医学を目指したものの、途中から宗教学へと変わっていった、という経緯をお話くださいました。ところが最近は、再び医学の領域に帰ってきたようなところがあるそうです。
というのも、医学者や医療関係者の間でも宗教の必要性が再認識される時代になってきているということがあります。80年代頃に「脳死って人の死なの?」という議題がありましたが、死に向き合った人は医学でも心理学でも治せないものがあり、スピリチュアル的なもの、いわゆる宗教に通じる様な要素が必要なのではないか。「我々は宗教後の時代に生きているが、宗教なしでやっていけるのかな」と、島薗さんは仰られます。

医学・医療と、いのちについて。
万能細胞と呼ばれるiPS細胞とゲノム編集の親和性の良さなどにも触れながら、この2、3年で急速に伸びてきたゲノム編集について解説して頂きました。
従来の、人間の命は神から授かるものという考え方に対し、人間が命を作ることが出来る様になったのです。それは言い替えれば、「神を演じることが出来る様になってしまった」ということになり、例えば将来人間は500歳まで生きられる様になるかもしれない。このことは人類にとって大変な福音ですが、使い様によっては人類の破滅とまでは言えないものの、行き先を見失ってしまう可能性があるのではないでしょうか。
現在研究が進んでいる iPS細胞は人間の体の様々細胞に分化していくことが可能な幹細胞なので、ヒトの細胞や組織、臓器などを作り出すことが出来ます。
IPS細胞を用いて、豚の体の中に人間の臓器を作るという様な研究も可能になります。これはキメラと呼ばれ、この研究をどこまで進めるのかが大問題となっています。
脳が動物でも、体の各部分が人間という様な生き物を人間の様に扱うのか、それとも動物の様に扱うのか。それはどこで人間と動物を判断するか、ひいては何を以って「人間」なのかという問題に繋がっていきます。

そして話題は生命倫理へ。
安楽死や自殺など死に関わる問題がある一方、「命の始まり」に関しても様々な問題が出てきています。
例えば生まれてくる子供の障害の有無を母親の血液を調べることでわかる出生前診断など、科学技術が進んでくると、命の始まりの時点で命を選んだり、作り変えたりすることが可能になるのです。
始まりの段階の生命への介入ということに関しては、「命の破壊」やデザイナーズベイビーなどの「命の拡充」(より良く操作して得られるもの)が何を起こし得るのかという問題もあります。そしてそれは、「命は授かりもの」という考え方との間に大きなズレを生じさせています。

6月1日(木)「"わたし"という彼方を巡る思考の旅」ゲスト:島薗進さん

科学技術を用いて"いのち"に介入し操作することは、本当に望ましいことなのでしょうか。
島薗さんはトーク中、フランスのジャン=ピエール・デュピュイの現代科学論をご紹介くださりました。

「今の科学はだんだん人間のコントロールを超えてきた。カタストロフィーということを言っています。こういう技術を開発したら将来どういうことが起こるかと予測するよりも今使えるからやっちゃう。その結果何が起こるかわからない。そうなるといつか、科学というのは分からないことを調べているわけですから、分からないことを起こしてしまうわけです。そうすると気がついた時にはとんでもないことが起こっている。」

環境問題であれば後々の影響を鑑みる事が当然となっていますが、医療・治療で役に立つとなると、後々の社会に与える影響を考えづらい。こういった現代科学の進歩による、聖なるもの(生命)への介入を止められるのは、宗教だけかもしれないという島薗さんの考察について、 ご紹介下さりました。
科学技術を用いて社会や私たちの生活をより良くすることは一概に悪いことか、どうなのでしょうか。そういったことを話し合っていく上で、連綿と続いている様々な宗教で培われてきた考え方、倫理観には参考となることが数多くあります。

現在の日本では宗教を拠り所にしない人が増えています。島薗さんは、お墓参りの慣習や「いただきます」の挨拶など、風習として伝えられてきた振る舞いに潜む知恵や価値観が失われることを危惧されています。それらには、単に宗教ということで収まらないこれまでの歴史で培われてきた沢山の民族性や人間性、倫理観が含まれているからです。

しかし加えて、宗教は大事だが、宗教ひとつだけに「嵌まる」、どちらかに偏りすぎることは危険であり、重要なのは"バランス"であるとも強調されました。

会場にお越しいただいた皆さんとの質疑応答でも、それぞれの関心や具体的な実体験に基づいて、様々なやりとりがありました。
参加者それぞれが、科学技術と宗教のあいだで自分自身の"いのち"にまつわる価値観をたどりながら、日常の暮らしや身近な"いのち"のあり方について、そして、これからの人類の未来について真剣に考えることができ、大変貴重で有意義な時間となりました。

「膜であるヒトの内と外」(永田和宏さんをお招きして)

 2017.6.6(B1事務局 サポートスタッフ 川原)

5月24日(水)、現在絶賛開催中のサーチプロジェクトvol.6「ニュー"コロニー/アイランド"~わたしのかなたへ~」の関連企画として、「膜であるヒトの内と外」というトークプログラムを開催しました。

ゲストには細胞生物学者で歌人の永田和宏さんをお迎えしました。細胞膜の研究、そして歌人として著名な永田さん。今回のプログラムでは、まるでひとつの社会を形成しているような細胞の世界を通じて、"わたしたち"の内にある未知なる世界を見つめ、そしてそこから人間社会を見つめ直すようなトークになりました。

会場は超満員!皆さんの期待が伝わってくるなか、始まりました。

5月24日「膜であるヒトの内と外」ゲスト:永田和宏(細胞生物学者、歌人、京都産業大学 タンパク質動態研究所 所長/総合生命科学部 教授)
永田さんのお話しは、大学教育論から、細胞のミクロ度合をどう印象付けるか、学問とはなにかといったところから始まり、細胞の専門的な話から細胞膜の働き、細胞で起こっている現象へと進みます。

やがて話は細胞から飛び出して、社会の中の自己と他者とは、グローバリズムと多様性とは、など、話がどんどん展開し、そしてあっという間に終演を迎えました。

今回お話し頂いたどの話題も面白く、頭を刺激するものでした。その中からいくつかご紹介します。

5月24日「膜であるヒトの内と外」ゲスト:永田和宏(細胞生物学者、歌人、京都産業大学 タンパク質動態研究所 所長/総合生命科学部 教授)

①大学における教育

「大学における教育は、小中高とは別のものである。極論をいれば、教科書はいらない。研究者は、教科書に載っていないことを、何がわかっていないのかを教えるべきである。答えが必ずあるのではないこと、答えが一つではないことを、社会に出ていく準備として教えることが大切である。」
このお話を聞いて、かつて、大学で講義を受けていた課程では、ひたすら図書館で調べれば、解がありレポートが書けましたが、研究室に入ると全く違い、思った以上にわかっていないことが多くて、わかっていることも結果と考察と検証の上に成り立った、小さな断片をつなげていったものだと感じたことを思い出しました。

 

5月24日「膜であるヒトの内と外」ゲスト:永田和宏(細胞生物学者、歌人、京都産業大学 タンパク質動態研究所 所長/総合生命科学部 教授)

②本当のことを知りたいということが基礎科学の動機である。

「最近、ヒトの細胞数が60兆個から37兆個に訂正されたことは、大きく何かの役に立つ訳ではないが、その事実をうれ

しい、面白いと思う人はいる。知識を学問(学ぶ意欲)につなげるには、感動が必要である。例えば、細胞の数、DNAの長さを地球と比較するなど工夫する。ヒトのすべての細胞を一列に並べると60万キロメートル、一方地球は一周4万キロメートル。」
TEDのプレゼンテーションでヒトの全ゲノム配列のすべて印刷した書物のようなものが登場したことがありました。「A、T、G、C」の文字が並んでいるだけの印刷物です。しかし、初めて全ゲノムの配列のことを知った人には、あまりに膨大なボリュームに驚く人もいるはずです。アートも、役に立つかどうかを目に見える数値としては、測りにくいものです。この点で、基礎科学とアートは共通するところがあります。違うところは、科学が提示するものは、提示した時点においては、普遍性を持った事実であることが求められることに対して、アートの事実は、場所、時間、他者から自由である点だと思います。それゆえに、物事を大胆に変換し、拡張し、五感に働きかけることができます。そして、面白いことに、自然科学は、アートに多くのインスピレーションを与えることがあります。今回の展覧会は、まさにその場になっていますので、ぜひ、体感してみてください。


③細胞の膜の内と外

5月24日「膜であるヒトの内と外」ゲスト:永田和宏(細胞生物学者、歌人、京都産業大学 タンパク質動態研究所 所長/総合生命科学部 教授)「細胞生物学の視点では、生命の最小単位は細胞。生命は膜による区画から始まり、生きているということは外界から内部を区画していること。細胞が自分の内部とすると、腸内は外部ともいえる。細胞膜は10ナノメートル(細胞を1メートルとすると0.5ミリメートル)と非常に薄い。薄く、脂質2重膜から成り立つため、物質を移動させるゲートが適切に生まれては消える。恒常性の維持のため、膜は激しい変化を繰り返している。」

久しぶりに、専門的な話を楽しく聞いていて、ふと、これはわたし自身に初歩の知識があるから、すっと入ってきているのだと気づきました。知識を持っていると、理解し、考える余裕が生まれ、その次のことに興味も湧くのだと思います。そういった意味では、高校までのある程度の詰め込み学習も意味があると思えました。
同一の状態を保つことは、変わり続けることであるという。一見禅問答のようですが、原子の世界も交換や揺らぎが日常であって、視点がかわると、"わたし"というのはかなりマクロなのだと、相対は面白いと感じました。

トークの終盤からは、細胞膜がたゆみないせめぎあいの中で折あいをつけている姿に、社会における自己と他者、グローバリズム、国境の在り方、国の在り方をなぞらえて見つめるお話もありました。

5月24日「膜であるヒトの内と外」ゲスト:永田和宏(細胞生物学者、歌人、京都産業大学 タンパク質動態研究所 所長/総合生命科学部 教授)ヒトは細胞でできていて、社会は人でできていて、国家は社会からできていて、地球は国家からできていると考えられるとすると、細胞の営みと、国家と地球の在り方が似通うほうが自然なのか?、正しいのか?、そうなると、人間の思考とはなんなのか?、人間の思考はどう生まれるのか?、思考は、単なる物質の移動に以上のものがあるはずか?など、ふわっと別のところに心が連れていかれるような、不思議を感じた時間でした。

会場からの質疑では、学生の自信喪失論やミトコンドリアの話、集団となる時の細胞の話、研究者の悩みなど、様々な質問が飛び出し、本当に、熱く語り明かしたいトピックスが満載のラボカフェでした。

5月24日「膜であるヒトの内と外」ゲスト:永田和宏(細胞生物学者、歌人、京都産業大学 タンパク質動態研究所 所長/総合生命科学部 教授)

ラボカフェスペシャル featuring サーチプロジェクト
オープニングトーク「ニュー"コロニー/アイランド"3 ~わたしのかなたへ~」

 2017.4.7(B1事務局 三ヶ尻/サポートスタッフ川原)

アートエリアB1で3月28日からスタートした企画展「ニュー"コロニー/アイランド"3〜わたしのかなたへ~」。4月2日(日)は関連プログラムとしてオープニングトークを行いました。ゲストには、今回の展覧会のプロジェクトメンバーである大阪大学 生命機能研究科/医学系研究科 特別教授の吉森保さん、建築ユニットdot architectsから家成俊勝さん、土井亘さん、寺田英史さん、アーティストのやんツーさんをお迎えしました。

サーチプロジェクトvol.6オープニングトーク01

オープニングトークでは、2015年からの「ニュー"コロニー/アイランド"」展1と2の振り返りと、dot architects、やんツーさん、吉森さんからの活動内容や研究内容のご紹介、そして実際に展覧会場を巡りながらギャラリートークを行いました。

 

〜「ニュー"コロニー/アイランド"」展の振り返り〜

本展は、「ニュー"コロニー/アイランド"」と題した展覧会の第3弾であり、シリーズ最終回となる展覧会です。

本題のトークに入る前に、まずは2015年と2016年の展覧会を振り返りからスタート。

2015年は、「ニュー"コロニー/アイランド" 〜"島"のアート&サイエンスとその気配〜」と題し、プロジェクトメンバーに大阪大学理学研究科 教授の上田昌宏さん、北海道大学電子科学研究所 教授の中垣俊之さん、建築ユニットのdot architects、アーティストのやんツーさん、プログラマーの稲福孝信さんを迎えて、"島やコロニーの実験・創造性"と、"粘菌の知と工学的ネットワーク"をテーマに開催しました。会場では、粘菌を培養するラボと3Dプリンタで中之島の建造物を生成するラボ、"菌核"寺、1/150の中之島型の培地〈仮設の中之島〉と、壁面に投影された〈仮想の中之島〉などが設置され、〈仮設の中之島〉と〈仮想の中之島〉、それぞれで粘菌が異なる都市風景を生成していきました。

サーチプロジェクトvol.6オープニングトーク02

サーチプロジェクトvol.6オープニングトーク03

続く、2016年の「ニュー"コロニー/アイランド"2 〜災害にまつわる所作と対話〜」では、アドバイザーとして惑星地質学・鉱物学研究者で大阪大学理学研究科 准教授の佐伯和人さん、民俗学者で東北大学災害科学国際研究所 教授の川島秀一さんにご参画いただき、東日本大震災から5年目を迎える年に、改めて地球の営みとも言える地震による地殻変動などの「災害」について考え、様々な視点から「対話」を試みる展覧会を開催しました。出展者には、3がつ11にちをわすれないためにセンター/せんだいメディアテーク、写真家の畠山直哉さんや米田知子さん、志賀理江子さん、ホンマタカシさん、漫画家のしりあがり寿さん、現代美術家の高嶺格さんや小山田徹さん、加藤翼さん、contact Gonzoなど、国内外で活躍する表現者や公共団体等が集いました。会場では、一軒家を模した空間の随所に、それぞれの作品や活動記録、また過去の災害にまつわる資料が壁紙やファブリック、テレビに映る映像として展示され、会期中には"リビング"や"庭"などで様々なテーマで対話プログラムが繰り広げられました。

サーチプロジェクトvol.6オープニングトーク04

サーチプロジェクトvol.6オープニングトーク05

そして、今年の展覧会。「ニュー"コロニー/アイランド"3 〜わたしのかなたへ〜」と題した本展は、"わたしたち自身"に着目します。

プロジェクトメンバーには、2015年の「"島"のアート&サイエンスとその気配」のプロジェクトメンバーでもあったアーティストのやんツー氏、同じく2015年のプロジェクトメンバーであり、2016年の「災害にまつわる所作と対話」では会場設計・施行を担当した建築ユニットのdot architects、そして今回はコンセプターとして大阪大学 生命機能研究科/医学系研究科 特別教授の吉森保さんをお迎えしました。

 

〜プロジェクトメンバーによるそれぞれの活動紹介〜

サーチプロジェクトvol.6オープニングトーク05 dot architectsの活動紹介の様子

建築ユニットdot architectsは大阪を拠点に、建築設計事務所を運営されています。店舗や住宅の設計等のいわゆる建築設計事務所が行う仕事をする傍ら、一般的にイメージする設計事務所とは異なるプロジェクトでも参加されています。アートプロジェクトのパフォーマンスに参加し即興で空間をつくったり、展覧会の会場構成や地域の人たちと交流しながらコミュニティスペースの設計をするなど、自身の身体をつかってその場で空間をつくることをされています。今回は、私達の身体をつくるたんぱく質をイメージした細胞的遊戯装置が点在する体内公園「仮説公園」をつくっていただきました。

サーチプロジェクトvol.6オープニングトーク06 やんツーさん活動紹介の様子

やんツーさん(アーティスト)は、デジタルメディアを使って作品をつくっています。いかに装置を有機的に動かせるかということに注目しており、装置にセンサーを仕込み、人の数や騒音量などの環境を規定する要因をセンシングして装置の動きに反映させたドローイングマシーンなどを作成されています。このドローングマシーンは自立して動き、抽象的な絵を描きます。そして現在、山口情報芸術センターで展覧会期中の作品では、大きさや種類の様々な展示物(扇風機やカラーコーン、車など)に、インターネットのホームページからアクセスすると誰でも憑依することができ、実空間の展示物をインターネット経由で動す作品を発表しています。

今回やんツーさんには、もうひとつの体内公園「仮想公園」をつくっていただきました。dot architectsが作成した細胞的遊戯装置にセンサーを仕込み、来場者が遊戯装置を動かすことで「仮想公園」の映像空間に反映されます。来場した際は、遊戯装置の動きがどのように「仮想公園」に反映されるのか是非ご注目ください。

サーチプロジェクトvol.6オープニングトーク06

次に吉森保さんからご自身の研究についてご紹介いただきました。吉森さんの専門は、私たちの身体を構成する細胞内の事象の一つである「オートファジー」です。「オートファジー」は、大隅良典さんが2016年のノーベル医学生理学・医学賞を受賞した研究テーマです。ニュースなどで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。吉森さんは大隅さんと共に研究を行い、昨年の授賞式にも出席されました。「オートファジー」は細胞内で不要なものを分解し、また、新たなものを生成する細胞内リサイクルシステムの一部です。「オートファジー」は細胞内の不要となったタンパク質などを膜が包み込み、これが、分解酵素リソソームと融合し、たんぱく質がアミノ酸まで分解する現象です。このアミノ酸は適宜、再びタンパク質に合成され細胞の部品となったり、または、代謝されてエネルギーとなったりします。

サーチプロジェクトvol.6オープニングトーク07

吉森さんのトークの中で、「ギリシャ神殿」と「伊勢神宮」の比較がありました。どちらも、数千年以上存在する建物ですが、一方は、一度頑丈に建てられてそのままの建築、もう一方は式年遷宮という儀式のもと、20年ごと建て替えられた建築です。しかし、建て替えられた「伊勢神宮」は、創建当時の姿といわれており、見た目に変化はありません。このことは生物に通じることであり、日々の生物の姿、細胞の見た目の変化は些細なものですが、体内に存在しているアミノ酸~それを構成する炭素、窒素、酸素、水素原子は、数日で入れ替わる劇的なものです。建築と生物の不思議な共通です。

サーチプロジェクトvol.6オープニングトーク09 ギャラリートーク

今回の展覧会で展示している「細胞的遊戯装置の仮設公園」は、アミノ酸の種類数と同じくらいの約20種類部材とジョイント方法によって構成されています。遊戯装置がタンパク質、部材がアミノ酸を模しています。「仮設公園」を制作されたdot architectsの家成さんから、展覧会の開催中に「オートファジー」を起こし、3か月の展示の中で部材を循環・再生させていきたいとの話がありました。設営で余った部材は通常展覧会のオープン前に撤去するものですが、細胞内で浮遊しているアミノ酸のように、いつでもタンパク質合成=遊戯装置の組み立てできるように、会場内に置かれています。ご来場の際には、見つけてみてください。

サーチプロジェクトvol.6オープニングトーク10 ギャラリートーク

展覧会場のもう一つの要素は、「仮想公園」です。dot architectsが制作した細胞的遊戯装置には、センサーが取り付けられ、来場者が装置を動かすと、「仮想公園」の映像が緩やかに変化してゆきます。仮設公園の遊戯装置と、細胞内の構造をモチーフに「仮想公園」を制作されたやんツーさんが仰られた「細胞のことを考えていくと、あれ?ここはどうなっているだろう、ということにぶつかる」という話には、はっとさせられました。実際に科学は、解明されていないことが、まだまだたくさんあります。細胞も同様です。教科書には、解明された断片のつなぎを、想像イメージで補って記されているにもかかわらず、読んでいると全部わかっているような錯覚に陥っていることが多くあります。「わからないことにぶつかる」というのは、実際に構築する側に立つと、見えてくる物事があると再認識する話でした。

サーチプロジェクトvol.6オープニングトーク11

その他トークの中で、建築と細胞内現象の共通項は、高度経済成長期に作られたインフラの老朽化、建築のメタボリズム運動への言及まで広がりました。一方、デジタル技術の領域では、攻殻機動隊やAIの話題が飛び出し、身体運動と知能成長の関連について意見が交わされました。遠い分野の専門家が集うことにより、考えの輪郭がはっきりしたり新しいものの見方が生まれたりする面白さを感じました。

 

アートとサイエンスがぶつかった現場、そして身体感覚を研ぎ澄ます展覧会、「ニュー"コロニー/アイランド"3~わたしのかなたへ~」を是非見に来てください。

「見えない世界の現し方」(五十嵐大介さんをお迎えして)

 2017.3.20(B1事務局 スタッフ 菊池)

展覧会「ストラクチャーの冒険」最終日の前日、1月21日(土)に、出展作家の一人である漫画家の五十嵐大介さんをゲストにお迎えして、トークプログラム「見える世界と見えない世界を描く/漫画家・五十嵐大介」を開催しました。今回は、進行役として京都マンガミュージアムの研究員である伊藤遊さんにもお越し頂き、五十嵐さんの作品の魅力に迫りました。

「魔女」紹介

五十嵐さんは、緻密な描写と独特の世界観で、自然と人間の繋がり、神話や伝承の世界、生態系や生命のなりたちを描き出す漫画家として知られています。今回の鉄道芸術祭では、五十嵐さんの代表作の一つである短編集『魔女』(小学館)などの原画をもとにしたインスタレーションにより空間を構築しました。

五十嵐さんの代表作には、
魔女という一貫したテーマに独自の視点を加えて描かれた短編集『魔女』、
海と港町と水族館を舞台に、宇宙と生命の成り立ちに迫る長編作品『海獣の子供』、
五十嵐さんご自身の自給自足の経験をもとに描かれ、2014〜2015年に映画化された『リトル・フォレスト』などがあります。

今回のトークでは、それぞれの作品のルーツを紐解きながら、展覧会のテーマである「ストラクチャー」(文明や歴史を内包する世界の構造)に対する、五十嵐さんの視点や考えをお伺いしました。

 展覧会使用コマ

五十嵐さんの作品に共通する魅力の一つとして、非常に緻密に描かれる風景・景色がありますが、それらの風景や景色のほとんどは、実際に五十嵐さんが見てきた景色が多いそうです。

五十嵐さんにとって、旅先での風景のスケッチは、初めて行った場所や空間と仲良くなる為の行為だと言います。

もともとは、周りの生き物を観察したり、好きな歌を口ずさんだりすることで、その場所と徐々に馴染んでいく感覚があったそうですが、次第にその詩や言葉が自分のもので無いことが気になりはじめます。そして、自分なりの手法で場所へアプローチすることを考えた結果、スケッチという手法に行き着きました。
スケッチを通して、初めて会った場所と仲良くなり、描き終わった時にはその場所と繋がる感じがして、顔を上げると景色が違って見えるそうです。

「自分と空間を隔てている距離感がなくなり、"自分がちゃんとそこにいる感じ"」

その行為は、漫画のためのメモというわけでも、練習というわけでもなく、五十嵐さん曰く、その場所に「あいさつ」をする行為なのです。 

意外にも、漫画という平面的な表現に対して、空間の捉え方がすごく身体的で驚きました。

 スケッチ

今回の展覧会「ストラクチャーの冒険」では、社会や経済、そして生命のシステムを構成する既成概念や既知のストラクチャー(様々な構造や制度、仕組みなど)をアーティストが独自の視点で捉え直し、創造的にそれらを超えていく、ということが狙いの一つです。

では、五十嵐さんは、どんなふうに世界を捉えているのでしょうか。

以前、沖縄の取材から帰ってきた五十嵐さんは、飛行機から見た都市の姿が、地面にくっついている瘡蓋のように見えたと言います。何か下にあるんじゃないか、うごめいているんじゃないかと。 

また、五十嵐さんは「絵を描く」ということは「見る」ことが前提であり、「描く」より「見る」ことの方が大事で、大きな要素を占めていると言います。その結果として、こうした作品が出力されていっている、と。

おそらくこの「見る」という行為の背景には、表面的な情報をただ受け取るだけではなく、どのように見るのか、何を見るのか、そして何が見えていないのか、ということが非常に大事なこととしてあると思います。

五十嵐さんの作品をみていると、現代の日本に生きる私たちにとって、とても見え辛くなっている世界があることを再認識します。五十嵐さんにしか見えない、感じられないものを丁寧に漫画へと変換して、もう一つの世界のストラクチャーを示して下さっているのだと思いました。

 海獣の子供

 五十嵐さん

「圧倒的物質で人と社会を揺さぶる/現代美術家・榎忠」(榎忠さんをお迎えして)

12月17日、鉄道芸術祭vol.6「ストラクチャーの冒険」参加アーティストのお一人、現代美術家の榎忠さんをお迎えして、トークイベントを開催しました。

ラボカフェスペシャル featuring 鉄道芸術祭
「圧倒的物質で人と社会を揺さぶる/現代美術家・榎忠」

榎忠さんは、「グループZERO」として、神戸の市街を都市劇場に見立て集団でハプニングを繰り広げたり、大阪万博のシンボルマークを体に焼き付けた 「裸のハプニング」や、「ハンガリー国へハンガリで行く」など独特のパフォーマンス活動を展開する他、 大砲や銃、原子爆弾、ゴミなど、身の回りに潜む危機や不穏因子に着目し、鉄の廃材や金属部品を用いた全長数十メートル、 総重量数十トンといった超スケールの作品でも知られる現代美術家です。
今回のトークでは、見るものを圧倒する力強い作品を生み出し続ける榎さんの創作活動について、また、その作品の背景に見えてくる人類の文明の歴史や、世界の様々な構造(ストラクチャー)などについて、お話いただきました。

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超満員で立ち見が出る中、トークが始まります。
榎さんは、20代の頃には絵画制作をされていましたが、絵だけではご自身の考えを表現しきれないと感じ、体を使ったパフォーマンスもされるようになりました。 写真に写っているスライドは1970年の「裸のハプニング」。これは、日光でご自身の腹部に大阪万博のシンボルマークである桜型を焼き付けて行われたパフォーマンスの写真です。
そして、"自分の生活は自分でまもる"という榎さんの信念を表した「LSDF(Life Self Defense Force)」、「ハンガリー国へハンガリ(半刈り)で行く」、榎さんの願望から生まれた"ローズねえさん"が営む幻のバー「Bar Rose Chu」、神戸ポートアイランド博覧会で発表された巨大な「スペースロブスター」等々、歴代の代表作の制作経緯をユーモアを交えてお話いただきました。

超スケールの作品の印象からか、「『大きな人』とイメージをされがち」と笑いながら語る榎さんは、神戸で旋盤工として勤めながらアーティスト活動をされてきました。
榎さんの作品は、どれも廃材にアクセスできる特殊な環境にいたからこそ生まれた問題意識が元になっているといえます。

榎忠さんトーク.JPG

榎忠さんトーク.JPG

「いつまでも繰り返される戦争や紛争。開発する一方で、後の処理を考えない人間。
新聞やニュースで得られる情報はごく一部で、正しいのかも定かではない。だから想像し、表現する。
戦いが起こらないようにアートで戦っている」。 
そう語る榎さんは、作品を発表する場として、より社会や人々の日常に近い場所を選ばれます。「美術館など制約がある場所ではなく、好きな場所でやりたい」という言葉通り、毎回時間をかけて展示のための場所を探し、交渉し、困難な搬入や設営を経て、作品が生み出されていきます。そしてそのなかでは、様々な人との出会いも重ねられていきます。
そうして、いろいろな人々と関わり合いながら生み出される作品からは、そこに関わった人たちの存在を感じることができ、だからこそ、 対峙する鑑賞者を圧倒する力強さがあると感じました。

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トークの最後は、会場のみなさんからの質問にお答えいただきました。
作品にある種の宗教性・精神性みたいなものを感じるが、意図されているか。という質問に対して、榎さんご自身は「意識していないが、見る側の意識がそこにあるからそう感じるのではないか。」とのお答えでした。
また、あえて危険なもの、重いものなど、ヘビーなマイナスの印象がある素材・テーマを扱われることが多いことについて。という質問には「見る人が、見る人の問題として考えて欲しい。精神性などを考えて制作することは構わないが、あくまで語るのは作品」と表現者としての強い覚悟を語られました。
働きながら制作されてきた榎さんにとって、労働は食べるため、生きていくために必要な当たり前のことで、食べていくために芸術をしているのではありません。

今回のトークでは、常に社会に対する問題意識を持ち続け、表現し続ける作家としての榎忠さんの強さを伺うことができました。

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鉄道芸術祭vol.6「ストラクチャーの冒険」では、榎さんの作品は《LSDF(Life Self Defense Force)》と《薬莢 Cartridge》を実物で、《スペースロブスター P81》と《GUILLOTINE1259〈ギロチンシャー〉》は展示当時の写真を拡大出力し展示、さらに1972年に行われたグループZEROとして行ったハプニングの映像、「ハンガリー国へハンガリで行く」などの過去作の記録映像を展示場入口で上映しています。

また、1月9日には展示している《LSDF(Life Self Defense Force)》を使っての「成人の日」祝砲パフォーマンスを開催します。

ぜひ、会場で榎忠さんの力強い作品に触れてください。

「芸術実行犯 Chim↑Pomの超戦」(卯城竜太さんをお迎えして)

 2016.12.17(B1事務局 サポートスタッフ大槻)

12月10日、鉄道芸術祭vol.6「ストラクチャーの冒険」関連プログラムとして、アーティスト集団Chim↑Pom(チンポム)の卯城竜太さんをゲストにお迎えしたトークイベントを開催しました。

 ラボカフェスペシャル featuring 鉄道芸術祭 
「芸術実行犯 Chim↑Pomの超戦」

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Chim↑Pomは、現代社会に全力で介入し、強い社会的メッセージを持つ作品を発表し続けている6人組のアーティスト集団です。アートを武器として社会の"見えない構造"に挑み、ときに超越しながら、世の中に物議をかもすアクションを次々と実行されています。そこで今回のトークでは「芸術実行犯Chim↑Pomの超戦」と題し、そんなChim↑Pom の活動における"ストラクチャーの冒険"について、今年の10月に東京の新宿歌舞伎町で開催した個展「"また明日も観てくれるかな?〜So see you again tomorrow, too?」に関するお話を中心にお聞きしました。

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今年で結成11年目であるChim↑Pomは、国内や海外で様々なプロジェクトを展開してこられていますが、デビュー当時からずっと東京を活動のベースとしており、東京の街中で数多くのアクションを起こされています。トークではそれらのうち、野良ネズミやカラスといった「都市における野生」への関心から生まれた《スーパー☆ラット》や《BLACK OF DEATH》、「大量生産・大量消費」への反発心を逆手にとって挑んだ渋谷パルコでの展示、「愛が目的のデモ」として新宿の路上で敢行したメンバーのエリィさんの結婚式《LOVE IS OVER》など、代表的な作品の数々をご紹介いただきました。一見すると悪ふざけのようにも見えるのですが、そこには必ず東京という都市を生き抜く若者としての鋭い感性と行動力に裏打ちされた強度があり、現代社会の在り方をあぶり出し問い直すアートの力をヒリヒリと備えているので爽快です。

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そんな東京の申し子とも言えるChim↑Pomが、"東京"について改めて考え直すことから始動した新たなプロジェクトの第一弾が、新宿歌舞伎町にある解体予定のビルを舞台とした展覧会「"また明日も観てくれるかな?〜So see you again tomorrow, too?」です。

歌舞伎町は、戦後なにもない焼け野原となったところから、一部の地主たちが様々な理想を掲げながら構想し、誕生した街です。今回会場とされたビルは、その地主たちから発足した「歌舞伎町振興組合」の拠点となってきた場所です。ビルが建てられた時期を遡ると、なんと前回の東京オリンピック開催年である1964年。そして現在、ビルは2020年のオリンピックにむけて、再び「建てこわし・建てなおし」されようとしています。
4年後のオリンピックを大義名分とした「スクラップアンドビルド」は、歌舞伎町のみならず、現在東京のあちこちではじまっています。日本は途上国から先進国へと発展し、状況も価値観もがらりと変わっているにもかかわらず、オリンピックに際し、かつてと全く同じような発想でまちづくりがされようとしていることへの違和感。今回の展覧会は、東京で日本人が繰り返すこういった「未来の描き方」を問い直すものとして企画されたそうです。

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トークでは、たくさんの写真をお見せいただきながら、ビルの4階から地下に至る各階の展示の様子をご紹介いただきました。ビルの持つ歴史や特性に深く迫り全力でインスパイアされながら、Chim↑Pomのこれまでを集大成して作り上げられた作品のお話はどれも面白くて、展示空間をその場で体験できなかったことが悔やまれました。そしてなんと、会期が終了した現在、ビルと一緒に展示作品も「全壊」させられています。なぜなら、作品をビルごと「スクラップ」し、その残骸を再び「ビルド」して展示することこそ、「スクラップアンドビルド」がテーマである今回のプロジェクトのフレーミングだからです。「まっさらなところで呆然としてから考えることが重要だ」と語る卯城さんからは、アーティストとして"ゼロ地点"に立ち続けようとする意欲と気概が伝わってきました。
会期中は展示だけでなく、全壊するこの場所を無形の"記憶"として残していくために、トークやライブといったイベントも数多く催したそうで、それらも大変濃度の高いものだったよう。「安全だけど安心でなくていい」という寛容さがある歌舞伎町は、街のど真ん中の会場でどんなに過激に騒いでも、自由に放ったらかしてくれたそうです。

 

トークの最後に、卯城さんが重要なこととして強調されたのは、今回の展覧会に関しては展示作りや運営、資金面など、全てにおいてChim↑Pomが自分たちの手で行ったという点です。それは、最近特に政治的な規制や検閲が顕著になり、美術館や芸術祭で出来ることが限られてきたことに理由があります。そういったしがらみに翻弄されるよりも、何か他の手を見つけて自分たちのやりたいことを実践していく挑戦として、インディペンデントで展覧会を開催することにこだわったそうです。その挑戦は、見えない社会のストラクチャーを超えていく試みであり、ストラクチャーを自らの目で見ようとする試みでもあるように思います。
すでに出来上がっている仕組みに身を任せていると、いろいろなことが見えないままに運び、いつの間にか大きな力に鈍感になってしまうことは、日常生活でも大なり小なり実感することです。Chim↑Pomや今回の鉄道芸術祭の出品作家の皆さんが、アートの力で見えないストラクチャーを冒険する姿に学びながら、私たちも常にそこへと意識を向け続けねばならないなと改めて危機感を持ちました。

鉄道芸術祭vol.6「ストラクチャーの冒険」は、会期残すところひと月ほど。皆さんも是非、見えないストラクチャーに思いを馳せにいらしてください。お待ちしております。

「都市の成立を通してみる日本の構造」(北村亘さんをお迎えして)

 2016.12.9(B1事務局 小西)

12月8日、行政学者で地方自治を専門とする北村亘さんをお迎えし、地方自治とはどういうことか、鉄道と街の成り立ちの関係などをお話しいただきました。

ラボカフェスペシャル featuring 鉄道芸術祭
「都市の成立を通してみる日本の構造」

「都市の成立を通してみる日本の構造」

私鉄の力が強く、鉄道会社によって沿線の街がたくさん開発された関西。
大阪市は日中、市内で沢山の人が働いていますが、夜には北摂など他の市町村に帰宅される人が多く、昼間人口と夜間人口の差が大きい地域です。
また大企業は本社が東京にあることが殆どで、こちらも税収が減る要因となっています。

地方自治の予算は大きく分けて2つ。開発と再分配(福祉)があり、街の利益を増やすために福祉が手薄になり、開発が積極的になる傾向があります。
福祉を充実させるとその地の貧困率が高くなってしまうという、なんだかとても皮肉めいたことが起こってしまうそうです。

図を描いてその流れを解説していただきました。

「都市の成立を通してみる日本の構造」

Aの町の福祉を充実させると、、、近隣のBとCの町から移動しやすい不動産を持たないホームレスの人たちや低所得者の人々がまずAの町にやってくる。
福祉サービスの対象者が増えるので、サービスを拡大することになり、すぐに当初の予算を使いきってしまいます。
それでも町が頑張って政策を続けると、富裕層にとっては納税負担が増えるだけでなく町の治安も悪くなるため町を去り始めます。
お金があり、移動する力がある富裕層や企業が町を出て行ってしまい、空いた住居に流入してきた人々が不法占拠しだし、不動産の価値が下がる。
貧困層が増え、治安が悪化し、、、、という悪循環が続いてしまう。。。。
この現象は、1920年代まではNYのど真ん中で高級住宅地だった、ハーレムでかつて起こったことだそうです。

福祉政策の場合は貧困層はサービスを求めてやってくるので、支出一方。しかし、開発政策の場合は貧困層は雇用を求めてやってくるので、納税者になり、税収が増えます。
磁石に吸い寄せられる様に人が動くことから、ウェルフェア・マグネット効果という言葉で言われるそうです。

分かりやすく解説してくださり、改めて納得することばかり。
ですが、街の人々のための福祉政策が、街を悪化させる要因になることもあるというのは、なんともやり切れない気持ちになりました。

「都市の成立を通してみる日本の構造」

地方自治という言葉は響きが良く、「地方自治を高める」ことはとても良いことのように聞こえますが、
地方自治が強くなりすぎると、自分の利益のみに目を向け、再分配に背を向ける、どんどん保守的な考えに進むことにもつながります。

そして話は鉄道と密接に関わる大阪の街の成り立ちへ。
明治時代、国の計画により国鉄・山手線が敷かれ私鉄が国鉄に従属する形で広がって行った東京とは異なり、 大阪は私鉄各線が開発されて、その後に環状線が敷かれたので、国鉄との乗り入れが前提とされておらず、私鉄が幅を利かせています。
私鉄各社が沿線開発に力を入れたお陰で、北摂や宝塚、芦屋などのブランド力がある街が生まれ、大阪市中心地から離れた場所に住み、大阪市内には仕事に通うだけ、という人が増えました。
大阪市の夜間人口(住民)が減ってしまうことは、住民税収入が減ることにつながります。
大阪市が抱える少子高齢化や市民負担の増加などの問題は、鉄道網が加速させてしまったとも言えるのかも知れません。

「都市の成立を通してみる日本の構造」

最後の30分は参加者のみなさんとディスカッション形式に。
「将来の大阪に興味があってきた。大阪がよくなるにはどうしたらいいか?」との質問に、北村さんは 「大阪がうまくいかないと、日本がうまくいくわけない。東京だけに頼っていると、東京に何かあった場合、日本がどうにもならなくなってしまう。」と答えられました。

一緒くたに「地方創生」と言ってしまうのではなく、色々な見方をして、問題を分けて考えることの大切さ、 市民ができることと、行政じゃないとできないこと、その両方について考えることの重要さを考える機会になりました。

「鉄道がもたらした社会構造の変化」(鴋沢歩さんをお迎えして)

 2016.11.23(B1事務局 サポートスタッフ小河)

11/17(木)は、現在開催中の企画展「鉄道芸術祭vol.6」の関連プログラムとして、経済史の観点から鉄道史を研究されている鴋澤歩さんをゲストにお迎えして、鉄道がもたらした社会の様々な構造(=ストラクチャー)の変化について考えるトークイベントを開催。「鉄道がもたらした社会構造の変化」と題して、大学の講義さながらの深い内容のお話をいただきました。

 

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経済学といえば、アダム・スミスに始まり、ケインズ、マルクス、フリードマンの理論が先行し、経済学史でも経済学の系譜、産業革命、近現代の金融・経済学の成り立ちがメインになることが多いものです。 その中で鴋澤さんは、鉄道会社の歴史から現代の経済システムや社会構造に与えた影響を捉えるという視点からトークをしてくださいました。 一般的には、鉄道とは、産業革命の中で短期間の大量・遠方輸送を実現したもの、重工業発展に影響を受けた産業の一つと認識されていることが多いと思いますが、そのような部分に留まらない影響があったことを今回のトークで知ることができ、大変興味深いものでした。

鉄道運営は、当時としては初の大規模経営会社であったそうです。その運営のためにはそれまでの世界になかったようなレベルでの高度な正確さをもって管理・調整を行わなければならないことから、分業を行っていくセクションを幾つも作り社長・会長をトップとした組織内の上下で管理していくという、会社としての階層組織が形成されました。
現代の会社組織が当たり前のように取り入れているライン・スタッフ管理組織の基になったのが、鉄道運営だったそうです。初めて知る話が次々に飛び出す鴋澤さんのお話に、皆さん熱心に耳を傾けられていました。

その他、鉄道会社の労働組織が、インフラに関わるため最初に政府から法規制を受けることとなり、現代の労使関係を形成するものとなったこと。
専門的管理者が育つことによって、鉄道の所有者と経営者の分離がされていったこと。
また鉄道運営という大規模でインフラの一種ともなる特殊な組織の誕生・発展によって、それを高度な正確さで管理・調整するために管理・会計部門が発達しました。それが株式・金融市場の発達にも影響をもたらしたこと。
そして、広大な鉄道網の範囲があるために異なった地域住民・社会階層に属する人々を組織化する役割も担っていたことは、個人的にもとても興味深いものでした。

鉄道業という特殊な業種が拡大する上で必要不可欠であったことが、これだけ世界の社会構造に影響を与えていたことを知ることができる、非常に有意義な時間となりました。

 

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次回、「鉄道芸術祭vol.6」関連プログラムのトークは
12月8日(木)「都市の成立を通してみる日本の構造」です!
行政学者で地方自治を専門とする、大阪大学教授の北村亘さんをお迎えして、都市の在り方を通して日本社会の「ストラクチャー」について考えます。

ラボカフェスペシャル featuring 鉄道芸術祭
『光の世紀』から『記憶の世紀』へ

 京阪電車に乗車して、こどもの頃によく乗っていた江ノ電を思い出したーそんな港さんのお話しから、リラックスした雰囲気の中でラボカフェがはじまりました。

ラボカフェスペシャル featuring 鉄道芸術祭
「『光の世紀』から『記憶の世紀』へ」

 1998年の港千尋さんの著書『映像論』を引用されながらお話しが展開します。映像の歴史は、光学装置の発展によって牽引されてきたそうです。光の技術として発展してきた映像。それが1990年代に、光とは違う技術が映像を牽引するようになっていくのでは?それを「記憶の世紀」と名付けたそうです。

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映画の時代、TVの時代、バーチャルリアリティの時代。それらは技術として生まれ、表現。アートとして2度目の誕生をしました。その2度目の誕生が本当の誕生なのではないか、とお話しされました。

 港さんは、展示会場に投影されている小津とリュミエールへのオマージュ作品を見ながら、光善寺でのカメラオブスキュラを思い出されたそうです。光善寺のカメラオブスキュラ、じわーっと見えてくるその感覚の体験を「まさに現像しているときのような」と表現された港さん。お客さまも興味深く耳を傾け、中はなるほどそういう感覚か!と頷いている方もいらっしゃいました。

 

続いて、ドイツのマールブルグで出会ったカメラオブスキュラ小屋のお話。

真っ暗な小屋の中には白いテーブルがあって、そこに外部の光が映る仕組みになっていたそうです。マールブルグの名所、屋根が傾いた教会も見えます。小屋のガイドから「19世紀には普通のアトラクションとしてちょっとした観光地にはあった。費用がかからないので安価で楽しめる娯楽として楽しまれていた」という説明があったそうです。

机に投影されているカメラオブスキュラの上に置く、するとそこが急に坂道になってそこを車が走る。半円のものをおくと風景がゆがむ。そんなライブパフォーマンスとしてのカメラオブスキュラを、当時の人々は楽しんでいたのでしょうね。まさに光の世紀ですね。

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1910~20年代。映画の発明でカメラオブスキュラが急速に衰退。写真→映画→TVへととって変わられ、現代の映像の90%はデジタルデータとしてある。と、お話しは続きます。写真を暗室で現像していた時代から、現在はサーバー・巨大なデータセンターで行われるようになった「影なきイメージの時代」。先ほどまでのリアルな実感を伴ったカメラオブスキュラの話から一転してのお話。今当たり前のように過ごしているデータありきの世界が、便利ではあるけれど何かつかみどころのない、手ごたえのなさを感じました。

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 なぜ今、光善寺でリアルな世界の影を見るんだろう?お話しは、光善寺のカメラオブスキュラに戻ります。現実世界を見ているとき、私たちはほんとうに「見ている」のでしょうか。カメラオブスキュラをとおして改めて実感できる「見ること」。視覚・知覚・技術・表現。「見る」とはいったい何なんだろう、これから先どうなっていくんだろう。そんなことを、改めて考えさせられました。

サーチ最終週!

3月28日から3ヵ月に渡る、アートや知の可能性を探求(=search)する企画展「サーチプロジェクト」のvol.4「ニュー"コロニー/アイランド"~"島"のアート&サイエンスとその気配~」http://artarea-b1.jp/archive/2015/0628705.phpが最終週に入りました。
そして今週とうとう、中之島培地のすべてのグリッドに粘菌のネットワークが到達しました!

中之島培地を覆う粘菌1.JPG中之島培地を覆う粘菌2.JPG 

展示場内の丸柱が鳥居となり、ビニールテントが張られた中には3Dプリンターが置かれ、椎茸栽培用の原木が組まれ、霧吹きは自動で霧を吹き続ける。
ハイテクのようで、アナログなような。非現実的な空間に白衣を着て立つ。
それが「サーチプロジェクトvol.4」の第一印象でした。

粘菌培地となる「中之島仮設空間」には最初は3Dモデルも粘菌もいない土が広がり、壁面にプロジェクションしている「中之島仮想空間」にはシンプルな空間にアバターが歩いていました。

そんな、非現実的でシンプルな空間に、ワークショップで参加者のみなさん・スタッフのスケッチから生まれた、バグ/ノイズを含んだ画像が「仮想空間」にGPSデータを元に配置され、その画像の3Dモデル化したものが次々に「仮設空間」に置かれていく。それを縫うように粘菌がアメーバ状に広がり、覆い、姿を変える。
日々刻々と姿を変え、リアリティが加わり、一つの生き物のような展示空間になりました。
仮想空間.JPG

粘菌としいたけ.JPG 
映像が動くだけでなく、全体が微動しているような展示。
通りがかりに立ち寄られた方が、その後何度も来られたり、長い時間滞在していただけたり。
見るタイミングによって、見る人によって、様々な印象を持たれたと思います。
粘菌をスケッチする.JPG 
日々の粘菌の変化を、スタッフみなで観察スケッチしています。
過去のスケッチと比較出来るよう、トレーシングペーパーに描いて重ねて展示しています。
会場お越しの際は、過去のものもめくって、ご覧いただけると嬉しいです。 

会期終了まであと5日。関連プログラムも27日のクロージングトーク『アート&サイエンス「ニュー"コロニー / アイランド"」のその先へ』を残すのみとなりました。
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【6月27日16:00〜19:00 クロージングトーク『アート&サイエンス「ニュー"コロニー / アイランド"」のその先へ』】
プロジェクトメンバーとともに、約3ヶ月間におよぶ本展の実験と実践の軌跡を辿り、会期中に開催した多彩なゲストトークで得られた知見や感性を踏まえ、アート&サイエンスの可能性について語り合います。
http://artarea-b1.jp/archive/2015/0627755.php
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アートエリアB1にて、お待ちしております!

コニシ

ハイブリッドなトーク

ラボカフェスペシャル×サーチプロジェクトvol.4の関連企画として、トーク「生物と工学と藝術〜ハイブリッドの創造性〜」が開催されました。
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ラボカフェスペシャル×サーチプロジェクト関連企画
知と感性のネットワークシリーズ

「生物と工学と藝術〜ハイブリッドの創造性〜」
http://artarea-b1.jp/archive/2015/0619754.php
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「粘菌コンピュータ」の研究・開発者である原正彦さんとバイオアートなどの分野で活躍されているアーティストの久保田晃弘さんをゲストにお迎えしての本イベントは、まさに生物と工学と芸術を融合したハイブリッドなトークイベントとなりました。
異なる分野を専門にされているお2人によるハイブリッドなトーク、観客の皆さんも楽しんでいただけたのではないでしょうか。

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原正彦さんのプレゼンテーションでは、自己組織化、時空間機能、揺律創発をキーワードに、「粘菌コンピュータ」についてお話ししていただきました。
現在のコンピュータは正確な答えを出すことができる代わりに、想定外やノイズに弱く、情報量が多いと処理にとても時間がかかってしまいます。しかし、「粘菌コンピュータ」は情報量が多くても、現在のコンピュータのように情報爆発を起こさずに、平均よりもそこそこ良い答えを出すことができます。

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久保田晃弘さんのプレゼンテーションでは、「計算する粘菌と芸術について」というタイトルで、地球外生命体や人工知能のための芸術や人間と依拠しない芸術など、とても興味深いお話しをしていただきました。
人間の人間による人間のための芸術ではなく、地球外生命体や人工知能のための芸術というのは今までに考えたことのない観点で、とても衝撃的でした。

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サーチプロジェクトvol.4の会期も残りわずかとなりました。
http://artarea-b1.jp/archive/2015/0628705.php
本展覧会もサイエンスとアートという異なる分野を合わせたハイブリッドな展覧会となっております。
展覧会場の粘菌たちも日々変化し、さまざまな表情を見せてくれます。
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皆さまのお越しをお待ちしております。

なかくぼ

粘菌と音楽の夜

2014年秋-冬に開催した鉄道芸術祭「音のステーション」会期中に行った関連イベント「公開ラジオ 『快音採取 世界の音旅』」のパーソナリティ・江南泰佐さんが再び!
テーマはもちろん「粘菌」!
 
梅雨の夕暮れにぴったりの、一夜限りのラジオ番組になりました。
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ラボカフェスペシャル×サーチプロジェクト関連企画
知と感性のネットワークシリーズ

公開ラジオ番組「快音採取 粘菌の音楽」
http://artarea-b1.jp/archive/2015/0618753.php
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様々に姿を変える粘菌から連想して万華鏡の音楽、粘菌を用いた実験から生まれた音楽などなど。粘菌から妄想される江南さんセレクトの音楽が続きます。
前回の「快音採取」同様、今回もUstream配信を行い、Twitter、Facebook「#粘菌音楽」でお便りを募集しながら進行しました。

後半に入り、本日のカフェマスター、大阪大学教員の久保田さんを交えてラジオは続きます。
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いま開催中のサーチプロジェクトvol.4「ニュー"コロニー/アイランド"島"のアート&サイエンスとその気配」のタイトル・展覧会の意図について江南さんから久保田さんへ質問が。
地下のコンクリート空間で何かを栽培できたら面白いのではないか、という企画会議でのアイデアから派生したサーチvol.4。
アートエリアB1が、中之「島」という地理的に孤立した特異な場所にあることもテーマの一つであることをお話されました。
アートとサイエンス。音楽とサイエンスも繋がるか。ということでここからはサイエンスを主題に、雰囲気ががらりと変わる選曲に。
徳島の阿波踊りを題材にした作品や、先週ラボカフェにお越しいただいた野村誠さん・やぶくみこさんの「瓦の音楽 musik genteng」から「粘土の協奏曲」など。
瓦のプロジェクトは淡路島・津井が舞台。こちらも島つながりです。瓦の可愛らしい音色が響きます。

最後は江南さんの粘菌へのファーストイメージ、久石譲で「風の谷のナウシカ〜オープニング〜」。
オープニング曲が締めくくり。驚きでしたが、形を変えて生き続ける粘菌の様に、また形を変えてラジオ番組があるのでは、、、と期待を感じずにはいられませんでした。

雨にも関わらず、会場にはたくさんの人にお越しいただき、ありがとうございました。
みなさん、思い思いに粘菌の音楽、楽しんでいただけたのではないでしょうか。

3月28日から開催しておりますサーチプロジェクトvol.4は会期残すところ10日を切りました。
仮設中之島培地の3Dモデルも密集度を増し、粘菌も華麗にネットワークを広げております。
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会期中に是非、お越しください。
http://artarea-b1.jp/archive/2015/0628705.php

コニシ

瓦の音

2014年秋-冬に開催した鉄道芸術祭「音のステーション」で「京阪沿線46駅の音楽」を手がけた音楽家・野村誠さん。
今回はラボカフェゲストとしてお越しいただきました!

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ラボカフェスペシャル・ミュージックカフェ
「瓦の音楽 ー伝統産業と作曲家の出会い」
http://artarea-b1.jp/archive/2015/0611750.php
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野村さん・やぶさんとNPO法人 淡路島アートセンター/淡路島の伝統産業「瓦」との出逢い、叩いてみるといい音がしたことからオリジナル音楽づくりに至るまでをお話しいただきました。
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映像には瓦の産地である津井のまち、色々な形の瓦と、瓦に関わる人たち。
野村さん・やぶさんの音づくりを不思議に思いながらも関わっていく津井の人たちのコメントが印象的でした。

いよいよ瓦のコンサート。
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鉄琴のような、聞いたことの無い可愛らしい音色。
 
なんと、「瓦の音楽」は、1曲ごとに使われる瓦が違うのです!
スタッフの方々が瓦を並び替えている間に野村さんのトークをはさみつつ。
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出番の曲を待機する瓦たち
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瓦を叩くバチも試行錯誤された手づくり!
素材はゴルフボールや漂着胡桃の殻など。。。
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「瓦の音楽」プロジェクトが今後、どのように展開していくのでしょうか。
 
野村さん・やぶさん、NPO法人 淡路島アートセンターのみなさま、素敵なトークと生演奏を、ありがとうございました!

コニシ

点が線となるつながり

ラボカフェスペシャル×サーチプロジェクト関連企画

知と感性のネットワークシリーズ
「もうひとつのネットワーク」が開催されました。

http://artarea-b1.jp/archive/2015/0603749.php

都市の工学的ネットワークとは異なる、信仰・修験道・地理・地勢がつくりあげる、

現在ではあまり見えなくなっている、もう一つのネットワークについて興味深い

お話しが繰り広げられました。

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ゲストは宗教人類学者の植島啓司さんと建築ユニットdot architectsの家成俊勝さん。

お二人とも独特の空気感をお持ちの何やら怪しげな(良い意味で)ジェントルマンです。

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植島さんが長年フィールドワークを続けられてきたネパール、タイ、インドネシア・バリ島、スペインなどの国々や、

世界遺産「熊野」をはじめとする国内各所の"聖地"を巡った経験をもとに、次々と語られていく植島ワールド、

そこに並走する家成さんの鋭く豊かな感性が相まってトークは盛り上がり、会場のお客様も食い入るように

聴き入ってらっしゃいました。

平日の水曜日。お客様の出足はどうかなと心配しておりましたが、

スタート間近になってご来場者はどんどん増えていき、スタートしてからも途中入場の方が多数。気がつけば、会場内は何かを知りたい、学びたいという方々の静かな熱気に包まれていました。

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「四国八十八ヶ所めぐり」という日本独特のネットワークについてのくだりでは、会場のお客様を巻き込みつつ様々な見解が会場内を飛び交っていました。

また、海を通して人のネットワークがつながっていくというお話しは想像と現実の狭間で思考をめぐらし、遥か昔まで思いを馳せる良い時間でした。

 改めて人の考え方は多岐に渡っていて、こういった場があることによって様々な意見を聞けて、視野が広がることは素敵なことだと思いました。

お客様の質問コーナーで、本イベントとは少し話はそれるものの、面白いお話がでました。

ロールプレイングゲーム「ドラゴンクエスト10」では一人で楽しむだけではなく、ネット環境を通じて

見知らぬ誰かと誰かがつながり、一緒にゲームが出来るようになっている。

これについてドラクエ好きの植島先生はどう思われますか?とのご質問。

「僕は一人でやるのが好きなのに、わざわざ他人とつながらなくてもいいと思っていましたが、

やってみると案外おもしろい」とのこと。質問者の方も実はドラクエ10をしてからひきこもり傾向が

なくなってきたということで、今や「もうひとつのネットワーク」がコミュニケーション形成の一助を担い

その仲間意識がお互いにとって相乗効果を醸し出す可能性がある。

とても興味深いなと思う一場面でした。

                クワノ

豆知識があると建築が楽しくなる

知っているようで知らない寺社建築について、歴史ある建築物についての面白さを豆知識を交えて清水さんにお話しいただきました。

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ラボカフェスペシャル×サーチプロジェクト関連企画
知と感性のネットワークシリーズ
「分かりやすい寺社建築」
http://artarea-b1.jp/archive/2015/0522741.php
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まずは寺社建築の造りや技法、そこから読みとれる歴史について。
みなさん真剣です。 

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 後半は歴史的建築物の「見方」と「味方」についてみんなでディスカッション。
「近現代の建築のセミナーやトークイベントでは、こんなに色んな層の人が集まる場にはならない。古建築ならではではないか」との意見が出ました。
初めてアートエリアB1にお越しいただいた方・遠方からの参加者もおられ、地域ごとの特色についても知り、考えることができました。

アートエリアB1で開催中のサーチプロジェクトvol.4
「ニュー"コロニー/アイランド 〜"島"のアート&サイエンスとその気配〜」では会場奥に菌核を祀っている「菌核寺」があります。
「菌核」とは粘菌が休眠している状態のことです。 
自然そのものの粘菌
自然崇拝から始まった土着信仰が大陸からの仏教と交じりあう中で生まれた寺社建築を知ることは、文化そのものを味わうことなんですね。
 
サーチプロジェクトvol.4は、6月28日までの開催です。ぜひ
会期中に、展覧会場奥の菌核寺にお参り下さい。手を叩くと、何かが起こるかも知れません。

コニシ

岡村さんの映像作品上映会

ラボカフェスペシャル×サーチプロジェクト関連企画
知と感性のネットワークシリーズ
「映像作家、岡村淳さんを囲んで、vol.2/植物学者、橋本梧郎さんを追って」
http://artarea-b1.jp/archive/2015/0515739.php

今年2月のラボカフェで上映会を行った映像作家・岡村淳さん。
再びゲストにお越しいただき、粘菌培養地のサーチプロジェクト展覧会場横でライブ上映会を行いました。
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作品は、ブラジル移民の植物学者である橋本梧郎さんを追ったドキュメンタリーです。
2時間映像鑑賞した後、意見交換を行いました。

「残っているもの/残ってしまったもの」。映像として残すことについて。など。
深く切り込んだ意見交換になりました。

コニシ

魅力あふれる熊楠!

熊楠トークスタート

粘菌学者として有名な南方熊楠は、変わり者としても有名です。 
粘菌を主題の一つとして扱っているサーチプロジェクトvol.4、その関連企画として、粘菌の研究者であり、奇人変人と言われる熊楠の人間的な魅力について、大阪大学の西川勝さんにお話ししていただきました。

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ラボカフェスペシャル×サーチプロジェクト関連企画
知と感性のネットワークシリーズ
「くまぐす、クマグス、熊楠」
http://artarea-b1.jp/archive/2015/0509738.php
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天才と名高い熊楠ですが、定職につかず実家を継いだ弟の援助に頼る日々。妻・松枝さんとの暮らしの中での奇行ぶり。
王道・正統派と言われる道からは逸脱した熊楠の生き方のどこに惹かれるのか。
来場者の皆さんと語り合いました。 

会場には展覧会のプロジェクトメンバーである上田昌宏さん、dot architectsさんが来られており、熊楠トークはさらに盛り上がります。
研究者の目線から見た熊楠についても語っていただきました。

熊楠トーク_上田先生

「生き続けていれば間違いでもよい」と環境にあわせて様々な形態に変化しながら生き残る粘菌と熊楠。
生きる力を感じました。
 
来場者アンケートからは「もっと熊楠について知りたくなった」とのコメントを複数いただきました。

 

展覧会場では、入口付近に図書スペースを設けています。
南方熊楠のスケッチ集も置いています。魅力あふれる熊楠のスケッチは繊細でとても素敵です。
是非お手に取ってご覧ください。

コニシ

ラボカフェスペシャル メトロ大學inアートエリアB1「表現と規制について考える」

本格的な冬の寒さとなっていますが皆様いかがお過ごしでしょうか?
中之島では大阪光のルネサンスが始まり夜間にはイルミネーションや出店で賑わっております。
アートエリアB1も23日(月)までの間、開館時間が12:00〜21:00と延長しているので、
ぜひ合わせてお楽しみください!

先日、まさにアートエリアB1のように京阪「神宮丸太町駅」の駅の改札と地上の間にある
老舗のクラブ「METORO」と連携したラボカフェスペシャルとライブ企画が行われました。

 12月5日に行われたラボカフェスペシャルでは
表現と規制について考える  
ークラブカルチャーとアート&デザイン&ファッション、ダンス規制と風営法etc...
と題しまして、
ゲストとして国内外で活躍するアーティストの沖野修也さん
大阪の中崎町にあった元NOONの経営者、金光正年さん
そして弁護士の齋藤貴弘さんをお招きクラブという場所について様々な角度からのお話をしてくださいました。

1205ラボカフェスペシャル

みなさんは「風営法」という法律を知っていますか?
風営法とは簡単に言うと深夜営業をする店舗に対する様々な規制についての法律です。
店の営業時間の問題、照明の明度、そしてダンス規制ということがこの問題の中で特に注目されています。
風営法の渦中の"場所"としてあるクラブがアート等また社会にどのような影響をあたえたのか。

クラブというのは薄暗く、大きな音で音楽が流れて、お酒を飲みながらみんなが踊っているというイメージがあります。
ただ、クラブと言ってもその種類は様々で、もちろん必ずしもすべてのクラブが良いとは言えません。
一言では語れない音楽、アート、ファッションを求めて人が集まる"混沌"とした空間であると言えます。
少なからずいま国内外で活躍しているVJやDJ、音楽家たちまたアートやファッションの分野の人たちが、
昔はクラブに出入りし多くの表現や人との出会いから、今も活動を続けている方がたくさんいることも事実です。
沖野さん「クラブが無ければ僕はいない、クラブに全てを教えてもらった。奥さんとの出会いもクラブです。」

この風営法の問題により多くの関係者またそれ以外の人達が法律のあり方、
またクラブのあり方について改めて考えるきっかけにもなりました。
齊藤さん「元々のクラブとしての文化創出としての機能が低下しているが、それが違う場所に移りつつある。」
つまり、今後は私達の言うクラブという名の"文化創出"の空間を継続させて行くためには、
クラブに捕われず、場所を変えて作っていく必要があります。実際に市民運動をして、風営法も変わろうとしています。
考えていくべきことは、法律が変わり現状を維持し続けることよりも、その後にどのような面白い環境が作っていけるのか。
その一つのキーワードとして「外に開いていく」ということが上げられました。
経営をする側も音楽業界という枠を越えて"音楽"をどのように社会に発信していく事が出来るのか。
東京ではいくつかの音楽のある新たな文化的な場所が作られているそうです。
沖野さん「これは世界的な傾向で、海外でもクラブよりもレストランとかBarでのブッキングが多くなっている。」
立派な建物や場所があっても中身がよくなければ機能しません、広い視野と変化する状況に応じていくことが
表現の未来を切り拓くための大切なことだと思いました。
ちなみに風営法は2015年1月21日控訴審で判決がでます。これにより何が変わっていくのか興味深く見ていきたいと思いました。

12月10日には連携ライブ企画として
電車に乗ってクラブへ行こう!『ATAK Dance Hall LIVE in KYOTO』に参加しました。

1210メトロライブ00独特の雰囲気のなかにファッショナブルな人、踊りだす人、座って聴く人様々な人たちが音楽を目的に集まっていました。
実際のライブもスピーカーからの音が身体に響き、照明やスモークマシーンでの演出、そしてアーティストの実際の動きが面白く楽しい時間を過ごしました。


音を通していろいろなものに出会える鉄道芸術祭vol.4「音のステーション」は12月23日(火・祝)まで開催中!
12月19日(金)には現代音楽コンサート「鉄道と音楽の夕べ〜スティーヴ・ライヒ「ディファレント・トレインズ」他〜」も行われます。
事前予約が残席僅かとなっておりますので、みなさまお誘い合わせの上お越しください!
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現代音楽コンサート「鉄道と音楽の夕べ〜スティーヴ・ライヒ「ディファレント・トレインズ」他〜」

12月19日(金) 開場19:00/開演19:30
参加費:前売2,000円/当日2,500円 定員:100名(要事前申込・先着順)
ディレクター:有馬純寿(音楽家)/トークゲスト:江南泰佐(鍵盤演奏者、快音採取家)
演奏:ヴァイオリン_岡田真実、中村仁美/ヴィオラ_中村公俊/チェロ_大西泰徳/エレクトロニクス_有馬純寿
演奏曲目:シャルル=ヴァランタン・アルカン《鉄道》(山根明季子編集、弦楽四重奏版)
     ピエール・シェフェール《鉄道のエチュード》(電子音楽)
     スティーヴ・ライヒ《ディファレント・トレインズ》(弦楽四重奏+テープ)

協力:帝塚山学院大学

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展覧会52日目/シアターカフェ「旅するテント芝居の現在〜劇団どくんご〜その魅力と可能性」/5号室展示追加!

本日もラボカフェが開催されました。

シアターカフェ「旅するテント芝居の現在〜劇団どくんご〜その魅力と可能性」

ゲストに根本コースケさん(ベビー・ピー/劇団どくんご)、首藤慎二さん(劇団衛星/ベビー・ピー)のお二人を迎え、テントで全国を回られている「劇団どくんご」のお話をお伺いしました。

5/27ラボカフェ1前半は、全国を回って野外でテント芝居をすることの面白さや大変さ、そしてその実情などを写真を使いながらご説明してくださいました。

5/27ラボカフェ25/27ラボカフェ3

後半は、ご来場のお客様と言葉を交わしながら、さらに踏み込んだお話に。

5/27ラボカフェ4「都会の劇場でやっているうまい役者が必ずしも田舎でも通用するとは限らない」という言葉がとても印象的でした。やはり地方と都会では観客の雰囲気からいろいろと違うそうです。

 

そして、「アパートメント・ワンワンワン」の方では、5号室に展示が増えました!

5号室マンガコマ1 5号室マンガコマ2

それぞれの作家さんのマンガのコマがちりばめられています!

印象的なコマがどれも選ばれていて、ひとつずつ見入ってしまいそうになります。実際、お客様もじーっとのぞきこんで下さる方もいらっしゃいました。

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サーチプロジェクトvol.3

「アパートメント・ワンワンワン 〜中之島1丁目1-1で繰り広げる111日〜」

会期〈展覧会期〉3月29日(土)─7月6日(日)
    12:00〜19:00 ※月曜休館(ただし、5/5開館、5/7休館)/入場無料

共同企画者graf(クリエイティブユニット)IN/SECTS(編集プロダクション)

会場設営dot architects

主催アートエリアB1

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OSAKAN CAFE 開催しています!

こんにちは。近頃は大分暖かくなり、春らしくなってきましたね!

アートエリアB1では、昨日からOSAKAN CAFÉ Vol.4「『音・記号・光』−アートが街のデザインを変えた−きみはアストロメカニクールを知っていますか?あなたはアストロメカニクールを覚えていますか!」を開催しています。

1968年9月28日、万博前夜の"未来志向的"大阪に突如出現した、ゴーゴー・クラブ「アストロメカニクール」。サイケデリック文化の発達とともに、コンピューター、ステンレス、ブラックライト、プラスチック、そして「光・音・色」を意識した人工的なアイテムが街中に現れはじめたこの頃、「アストロメカニクール」はその最先端であり、大阪の若者の文化シーンを席巻する存在でした。

今回の展示では、その「アストロメカニクール」の内装を手掛けた向井修二氏の作品や経歴を紹介しています。

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年表とともに印刷された写真からは、当時の様子がリアルに伝わってきます。

そして、16日(日)には、向井修二氏ご本人、そして橋爪節也氏、小浦久子氏を迎えてのトークサロンも行います。当時のアヴァンギャルドな熱気と、以後、大阪の街へと展開された未来派空間デザインを、社会や都市デザインと芸術の「融合」として語り合います。皆様ぜひお越しください。

OSAKAN CAFE トークサロン

日時3月16日[日]15:00〜17:00
定員60名程度(要申込)
申込方法大阪大学21世紀懐徳堂ホームページ(申込フォーム)からお申込ください。

ゲスト向井修二(美術家/元具体美術協会会員)
    橋爪節也(大阪大学総合学術博物館館長・近代美術史)
    小浦久子(大阪大学大学院工学研究科准教授・都市環境デザイン)
カフェマスター荒木基次(大阪大学21世紀懐徳堂特任研究員)

主催大阪大学21世紀懐徳堂

OSAKAN CAFÉ② 「おださくが歩いた大阪」トークサロン

 2013.8.10

みなさま、こんばんは。

本日のB1では、外の暑さに負けない熱いトークが行われました!

高橋俊郎さん(大阪市中央図書館・副館長/オダサク倶楽部)、

安達もじりさん(NHKドラマ「夫婦善哉」演出)、

出原隆俊さん(大阪大学文学研究科・教授)、

橋爪節也さん(大阪大学総合学術博物館・館長)の4名がゲストです。

トークサロンのゲストのみなさま

それぞれの観点でオダサクを追う四人からは、

「マージナル」、「上町台地」、「船場」、「地の文の関西弁、セリフの関西弁」、「装丁」などなど、

ポンポンと気になる言葉が飛び出します。

当時の地図と彼の作品を付き合わせたり、大阪となじみ深い他の作家と比較したり、

彼の周りにいた芸術家や作家たちとの関係なども明らかにしながら、

彼の作品の魅力、オダサクを中心にして作品や生き様に現れる大阪の文化や生活の様子を知る、

とてもよい機会となりました。

この夏に放送される予定のドラマの制作秘話も飛び出し、

ほぼノンストップで大満足の3時間でした。

暑い中、120人超のお客さまにご来場いただきましてありがとうございました。

トークサロン会場風景

展示は明日までです!

暑い中ではありますが、この機会にぜひ足をお運びください。

OSAKAN CAFÉ②「おださくが歩いた大阪」開催中

みなさまこんにちは。アートエリアB1では現在、OSAKAN CAFÉ②「おださくが歩いた大阪」を開催しております。「おださく」とは、小説家・織田作之助のこと。大阪で生まれ育ち、大阪を舞台とした作品を数多く執筆しており、今年で生誕100周年を迎えます。今回の展示では、そんなおださくが歩いた大阪の風景を想像できる、様々な資料を展示しております。

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本日は、その展示内容を写真にてご紹介しようと思います。



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まずこちらは、その頃(1937年)の大阪を撮影した観光宣伝映画「大大阪観光」になぞらえ、大阪の有名場所を撮影した映像です。左下枠内に昔の映像を流しているので、昔の大阪と今の大阪の風景を見比べることができるようになっております。あまり変わっていない場所があったり、逆にまるっきり変わっている地もあったりなど、みなさんかなり興味深く見入ってらっしゃいますよ。



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また、こちらは織田作之助に関する逍遥地図。おださく自身に関係のある土地はもちろん、作品に出てくる場所などを計100カ所掲載しています。地図をみてから小説を読んでも、またその逆でも、頭の中で一気に想像を膨らますことができますね。



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また、織田作之助26歳のときに執筆・発表した「夫婦善哉」がNHKの土曜ドラマ(8月24日から)として放映されるのに合わせ、ドラマの写真パネルを展示しております。過去にも映画化される等、おださくの代表作として人気のこの作品。今回のドラマも楽しみですね。



このように展示も盛りだくさんなのですが、10日(土)にはトークサロンも行います。ゲストの方々はもちろんですが、参加者のみなさんにもご自由にお話いただき、皆で「おださくが歩いた大阪」について考えていきます。入場無料。みなさんぜひお越しくださいね!

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「おださくが歩いた大阪」トークサロン

時間14:00ー17:00
定員60名程度(当日先着順・入退場自由)
ゲスト高橋俊郎(大阪市立中央図書館・副館長/オダサク倶楽部)
    NHK土曜ドラマ『夫婦善哉』制作担当ディレクター他
    出原隆俊(大阪大学大学院文学研究科・教授)
    橋爪節也(大阪大学総合学術博物館・館長)
カフェマスター荒木基次(21世紀懐徳堂 特任研究員)
主催大阪大学21世紀懐徳堂

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展示は11日の日曜日までとなっております。ぜひ、ご高覧ください。

昨日は鉄道カフェでした!

 2013.1.30

こんばんは。昨日辺りから、ここ最近の寒さがやっと少しずつ和らぎはじめていますね。このまま暖かい日が続いてほしいものです。。

さて、アートエリアB1では、昨日鉄道カフェが行われました。今開催中の「びわこ号ミュージアム」に関連して、テーマは「"びわこ号"の魅力を語ろう!」 。 鉄道が好きな方、びわこ号にとても詳しい方、また京阪電車の社員の方にもお越し頂き、びわこ号に関しての様々なトリビアが語られていました。

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