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神戸はどこへ向かうのか 〜アートプロジェクト:TRANS- が目指すもの
プロジェクトミーティング

 2019.6.4(B1事務局 下津)

新開地、兵庫港、新長田の3つの地区を舞台に、今秋初の開催となる「アートプロジェクトKOBE 2019:TRANS- 」。歴史的に海外との交流が多く、外来文化と交わりながら独自の文化を育んできた神戸という地で行われる今回の芸術祭は、「何かを"飛び越え、あちら側へ向かう"ための試み」とされています。

今回のトークイベントでは横浜トリエンナーレ2014でもキュレーターを務めたディレクターの林寿美さんをお招きし、その取り組みをご紹介していただくとともに、現代アートとまちの関係や国際展/芸術祭のあり方、その可能性について語っていただきました。

 

6/4 プロジェクトミーティング「神戸はどこへ向かうのか 〜アートプロジェクト:TRANS- が目指すもの」ゲスト:林 寿美(TRANS- ディレクター)

TRANS- の会場は主に湾岸エリアに設けられています。文化的に洗練された北野坂やポートタワーのあるハーバーランドなどの街中ではなく、あえて下町や工業地帯を選び、そこで面白いことをやってみようという試みからこのプロジェクトはスタートしました。さらに一つの場所や拠点に絞り込まずに日常の風景の中に溶け込むように作品を展示することで、多義的な意味をその作品の中に見いだすことができます。ここで2名の参加アーティストの作品を少しだけ紹介しましょう。

 

ドイツの炭鉱町、ライト出身のグレゴール・シュナイダーさんは16歳の頃から自宅の部屋の中に別の部屋をつくるなど、異空間と非現実的な体験の創出を得意とするアーティストです。2001年にはヴェネツィア・ビエンナーレでドイツ館代表として選出され、最優秀作品として選ばれたものにだけ与えられる金獅子賞を受賞しました。

まず、今回のプロジェクトのために新たに制作される作品《虚構か現実か》(仮称)。
この作品の舞台となるのは昭和43年に兵庫県の衛生研究所として設立された旧兵庫県立健康生活科学研究所です。シュナイダーさんはこの廃ビル全体を作品化し、大型インスタレーションにしてしまうという試みを企てています。ビルに足を踏み入れた観客たちは非日常的な検査室、研究室、動物舎などの昔の痕跡が残る空間をさまよいながら違和感あるいは恐怖に近い体験に遭遇し、現実と虚構の間を行き来することができます。なお、建物は展示終了後に取り壊しが決定しているため作品はTRANS- 開催期間のみの限定公開となっていることも注目すべき点です。

廃墟を利用したり非日常的空間要素を取り入れた作品は他の会場でも展示される予定です。
兵庫港エリアでは昨年の3月頃まで1泊50円で宿泊できたといわれる、日雇い労働者のための一時宿泊施設「兵庫荘」を作品化した《消えゆく兵庫荘》(仮称)を設置、さらに新長田エリアの駒ヶ林駅構内には数年前にCIAによる収監者への拷問で話題になった、キューバのグアンタナモ湾収容所内の施設を再現したインスタレーション《白の拷問》(2005〜)を展示します。

 

6/4 プロジェクトミーティング「神戸はどこへ向かうのか 〜アートプロジェクト:TRANS- が目指すもの」ゲスト:林 寿美(TRANS- ディレクター)

 

一方、もう一人の参加アーティストであるやなぎみわさんは、中上健次の小説を原作にした2016年初演の野外劇《日輪の翼》に、神戸という地域性に合わせた新演出を折り込み上演します。公演場所はやなぎさんの生家の近くである神戸市中央卸売市場埠頭。芝居、歌、生バンド、サーカス、ポール・ダンスなど華やかで生々しく不思議なパフォーマンスで構成される幻想的な世界が今回どのように生まれ変わったのか、そしてやなぎさん自身の生まれ故郷である神戸とどのように交わるのか、大変注目度の高い作品です。

 

6/4 プロジェクトミーティング「神戸はどこへ向かうのか 〜アートプロジェクト:TRANS- が目指すもの」ゲスト:林 寿美(TRANS- ディレクター)

 

今回のアート・プロジェクトの背景には「兵庫県の海岸線を活性化させたい」という願いがあります。林さんもまた神戸市の須磨区出身だそうですが、神戸で生まれ育った林さんの目から見ても特に海岸沿い地域では時代とともに様々な変化が生まれてきつつあるようです。特に南部は元々在日韓国人の多い地域でしたが、昨今ではベトナムやミャンマーからの移住者やクリエイターの移住も増えており、下町芸術祭が開催されたことからも独特な地域性と新しいムーブメントが誕生しはじめている土地でもあります。さらにTRANS- の会場の一つでもある新開地も数十年前までは地元の人たちの間でも「子供や女性が一人で行ってはいけない場所」と呼ばれるような地域でしたが、現在では高層マンションが次々と建設され大きな商業施設ができるなどファミリー層が集まってくるようになりました。このように時代とともにその土地の雰囲気や文脈が変化していく中で、アートの持つ力も何か役に立てられるのではないか?というのがTRANS- が探求する可能性です。

 

そしてTRANS- の新奇性は、地域のアート・プロジェクトにおいて、シュナイダーさんの作品のような恐怖や違和感、今まで味わったことのない不思議な感覚に陥りながらも「興味深い」という気持ちに腹落ちするような作品で挑戦しようとすることにあると本トークの中で明らかになりました。地域性の高い芸術祭は「元気になる」「励まされる」あるいは「町おこしになる」といった価値観へと転換することを目指す傾向がある中で、こうした形での非日常との交差を試みることは地域性と芸術性の交わりに対する大いなる期待になるかもしれません。

「アートプロジェクトKOBE 2019:TRANS- 」は今年9月14日(土)〜11月10日(日)開催予定です。日常と非日常の往来、時代とともに変化する地域性を体感できる新たなプロジェクトに期待大です。

 

「アート・プロジェクトKOBE2019:TRANS- 」開催概要
会期:2019年9月14日(土)~11月10日(日)
出展作家:グレゴール・シュナイダー、やなぎみわ
ディレクター:林 寿美
開催エリア:兵庫港地区、新開地区、新長田地区
▶︎詳細は「アート・プロジェクトKOBE2019:TRANS-」ウェブサイトからご確認ください。

「"情の時代" から考える〜あいちトリエンナーレ2019〜」
プロジェクト・ミーティング

2000年代から全国各地で開催されるようになった芸術祭やトリエンナーレ・ビエンナーレ。その中でも国内最大級の規模を誇り、毎回ユニークなコンセプトで成功を収めている芸術祭「あいちトリエンナーレ」。4回目となる2019年度のテーマは、「情の時代Taming Y/Our Passion」です。

今回のラボカフェでは、芸術監督を務められる、ジャーナリスト/メディア・アクティビストの津田大介さんにお越しいただきました。

5/29 プロジェクト・ミーティング「"情の時代" から考える〜あいちトリエンナーレ2019〜」ゲスト:津田大介さん

芸術監督からじきじきにお話を聞ける貴重な機会ということで、定員を大きく上回るみなさまにご参加いただきました。

 

「情の時代Taming Y/Our Passion

今回のテーマは「情」。

世界が情報メデイアによってどんどん感情的になりつつあることへの危機感がきっかけだったと言います。情には幾つかの意味があり、「感情によるこころのうごき」「実情、情報など本当の姿」「なさけ」など、かなり多義的です。昨今の状況を考えたとき、こうした複合的な意味合いをもつことばがふさわしいということで「情の時代」に決定しました。

そんな時に飛び込んできたのが、2018年の東京医科大の女子受験生が一律減点されていたというニュースでした。津田さんは先進国で客観的と思われていたペーパーテストで男女差別が行われていたことに強い衝撃を受け、アート業界の男女比について改めて調べてみたところ、そのバランスに愕然としたといいます。

 5/29 プロジェクト・ミーティング「"情の時代" から考える〜あいちトリエンナーレ2019〜」ゲスト:津田大介さん 

アート業界は男女平等?

学芸員、キュレーター、美大生などは圧倒的に女性が多い領域です。そのため、アート業界は女性が活躍している領域であると当初、津田さんは思っていたそうです。ところが調べる中で判明したのは、館長クラスや美術館に作品が多く収蔵されている作家、大学教員になると、男女比がきれいに逆転しているという事実でした。

この背景には男性教員が多く、作品制作の助手として男子学生が選ばれやすく、女子学生がゼミに所属しづらい状況や、管理職となると女性進出が難しい状況があることがわかりました。

この状況を知り、現代で芸術祭をやるのであれば、一部のアートファンだけに意味があるものではなく、社会全体に対して「共生」「アファーマティブ・アクション」として打ち出したいと考え、選定作家の男女同等を掲げることにしました。ちょうど、100年以上の歴史を持ち文化のオリンピックと言われる今年の芸術祭のヴェネツィア・ビエンナーレにおいても選定作家の男女比が同数であることが表明されており、追い風になったと言います。

「大きな芸術祭がはっきりと数の平等を打ち出すことで、美術業界や、今後の芸術祭はそのことを意識せざるを得なくなっていくのではないか」とのこと。

芸術祭がこうした社会の動きを取り入れて新たな手法で内容を構成することで、これまでにない芸術祭に挑戦するという点で非常に意義のあることだと感じました。

5/29 プロジェクト・ミーティング「"情の時代" から考える〜あいちトリエンナーレ2019〜」ゲスト:津田大介さん

ラボカフェ後半では、会場からの多くの質問もいただき、参加者のみなさんが津田さんのお話をうけ、ひとりひとりが「情」や「芸術祭のあり方」について考えを巡らせていることが伝わってきました。

あいちトリエンナーレは8/1〜開催予定です。開催地の名古屋は大阪からは新幹線で1時間かからない距離です。ぜひ足を運んで現代のわれわれを取り巻く状況に思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

 

「あいちトリエンナーレ2019」開催概要

テーマ:情の時代 Taming Y/Our Passion
会期:2019年8月1日(木)~10月14日(月・祝) [75日間]
芸術監督:津田大介 ジャーナリスト/メディア・アクティビスト
会場:愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、名古屋市内のまちなか(四間道・円頓寺)、 豊田市(豊田市美術館及び豊田市駅周辺)

▶︎参加アーティストなどの詳細は「あいちトリエンナーレ2019」ウェブサイトからご確認ください。

中之島リサーチプログラム
饗庭伸「都市計画の視点で巡る中之島フィールドリサーチ」
ラボカフェスペシャル featuring クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島08

 2019.1.29(B1事務局 下津)

ゲストに首都大学東京都市環境学部都市政策科学科で教授を務める饗庭伸さんをお招きし、都市計画の視点から見た中之島のフィールドリサーチについてお話をしました。中之島でおこなったフィールドリサーチについて語っていただくとともに、参加者の皆さんと都市計画を主体となって考える場となりました。

1/29 中之島リサーチプログラム:饗庭伸「都市計画の視点で巡る中之島フィールドリサーチ」

ラボカフェスペシャル featuring クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島 08
中之島リサーチプログラム
饗庭伸「都市計画の視点で巡る中之島フィールドリサーチ」
1月29日[火] 19:00ー21:00

饗庭さんは人口減少時代における都市空間の変化や都市計画のあり方について論じた『都市をたたむ:人口減少時代をデザインする都市計画』を2015年に上梓し、都市の計画とデザイン、そのための市民の参加手法や市民自治の制度など、幅広く実践的なまちづくりの研究をされています。

本イベントでもワークショップ形式でゲームを行い、参加者の皆さんに都市計画に'参加'していただきました。

1/29 中之島リサーチプログラム:饗庭伸「都市計画の視点で巡る中之島フィールドリサーチ」

参加者は8名ほどのチームになり、中之島を舞台にそれぞれチームごとで与えられた条件や制約のもとでどれくらい都市計画を展開させることができるかを話し合いながら進めていきます。「ライオン」「桂枝雀師匠」「マウンテンバイクに乗った若者」など一風変わった様々な立場の役割を振り分けられ、その役になりきってそれぞれの立場から意見を出し合い都市計画を進めていこう、というゲームです。

饗庭さんは、一つの目標に対する様々な実現手段の組み合わせをつくることが'プランニング'なのだと言います。このゲームではあらゆる立場の人々が、どのようなまちをつくりたいか、どのようなまちになってほしいかを意見を出し合うことで最大公約数となる目標を設定し、そこへ向かうための手段を皆さんと考えることを目的としました。

1/29 中之島リサーチプログラム:饗庭伸「都市計画の視点で巡る中之島フィールドリサーチ」

実際の都市計画においてもあらゆる制約や条件の下でできる限り様々な人の意見を取り入れていくことは必要不可欠です。しかし時として、適度な制限はかえって発想を意外な方向へ広げるきっかけになりうるそうです。このワークショップではそうした都市計画の難しさと意外な転換の楽しさの両方の側面を体験してもらえたのではないでしょうか。

イベント終了後、参加者から「意外な自由度からどんどん展開していきながら計画が進んでいくのが大変面白かった」「適度に制限を設けることで発想が広がることを、体験を通じて実験できたことが収穫だった」などの声があり、都市計画や建築に関わりのない方々からも新たな方向からまちづくりに関心を抱いていただくことができました。

クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島
「ナイトミュージアムツアー 80年代とは何だったのか」
サイトツアー/トーク06 国立国際美術館

 2018.12.21(B1事務局 鄭)

アートエリアB1では、中之島の文化拠点と連携する「クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島」を展開しています。

その一環として、国立国際美術館の展覧会「ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代」(現在、展覧会は終了しています。)に合わせて、ナイトミュージアムツアーとトークを開催しました。この展覧会は、1980年代の現代美術を通して、この時代がどういうものだったのか振り返ることのできる展示となっています。

ゲストは、本展覧会の企画者である国立国際美術館主任研究員の安來正博氏と、80年代より『宝島』『別冊宝島』編集部など、雑誌全盛期の本の現場に携わってきた著述家・永江朗氏のお二人です。

安來さんに解説いただきながら展覧会を巡ったあと、トークでは永江さんのナビゲートのもと、80年代という時代について広く文化の側面から紐解きます。

 

クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島【12月21日サイトツアー/トーク06 国立国際美術館 「ナイトミュージアムツアー 80年代とは何だったのか」】

クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島
サイトツアー/トーク06 国立国際美術館
「ナイトミュージアムツアー 80年代とは何だったのか」
日時:12月21日(金)18:00─19:45
会場:国立国際美術館
ゲスト:永江朗(著述家)、安來正博(国立国際美術館主任研究員)

▶︎ イベント概要はコチラから

ナイトミュージアムツアーということで、18時という普段のラボカフェよりもやや早めの開始でしたが、たくさんの方にお集まりいただきました!

 

まず最初に、全員で展覧会場へと移動し、安來さんから各作品や展示についてレクチャーを受けながら巡ります。

「自分にとって、80年代の現代美術は現代アートの原風景とも言えるもの。この時代はすべてごちゃごちゃでどこに向かっていくのかすらわからなかったが、とにかくエネルギーがあった。」と言う安來さん。会場には当時一躍有名になった日本の作家から一世を風靡したニューペインティングの作品までが並びます。

 

クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島【12月21日サイトツアー/トーク06 国立国際美術館 「ナイトミュージアムツアー 80年代とは何だったのか」】

 

実際に企画された学芸員からお話を聞けるということで、みなさん熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

 

クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島【12月21日サイトツアー/トーク06 国立国際美術館 「ナイトミュージアムツアー 80年代とは何だったのか」】

 

後半は別会場へ移動し、永江さんと一緒に80年代とは一体どういう時代だったのかについて振り返ります。

 

クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島【12月21日サイトツアー/トーク06 国立国際美術館 「ナイトミュージアムツアー 80年代とは何だったのか」】

 

まだインターネットが一般に普及する以前の「デジタル時代のあけぼの」だった80年代には様々な変化が起こっていました。

ひとびとの生活の中心が生産活動から消費活動へと移り、全国的にスーパーマーケットや百貨店が勢いをもって展開していった時代。消費すること、すなわちモノを買うことが、単なる貨幣との交換を超えて、ひとつの社会参加とみなされるようになり、POPEYEやoliveなどの情報誌やファッション雑誌が次々と創刊され、DCブランドが流行しました。企業が文化戦略として美術展を開催するようになったのもこの時代だと言います。物を食べること、服を着ることが、身体的な満足というよりも社会的な記号を身に纏うことへと変化していった、と永江さんは振り返ります。

 

クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島【12月21日サイトツアー/トーク06 国立国際美術館 「ナイトミュージアムツアー 80年代とは何だったのか」】

 

そんな中で現代アートはどのような状況にあったのか。安來さんも交えてのトークセッションでは、当時の時代背景との関連や美術業界内部についても話が及びました。

美術館が次々に開館し、海外の最先端の作品群をタイムラグなしに触れることができるようになったのが80年代。横尾忠則氏などに代表されるような商業的なアートと、ファインアートが混在するようになり、技術の良し悪しではなく面白いか面白くないかがひとつの判断基準となりました。

その作品の背景や美術の歴史を抜きに表面だけで語ってもいい、という姿勢もこのときに出現したと言います。

「アートは時代の鏡。時代は時間と共に消えてしまうが、作品はその時代の熱気や状況を留めて、永久のものにして私たちの目の前に差し出してくれる。」と永江さん。安來さんも「当時の作品を振り返ると、リアルタイムではなかなか掴むことができなかった時代の輪郭を理解することができる。」とお話しされ、こうして美術館が作品をきちんと保存し、現代につなげていくことの重要性を強調されていました。

2時間足らずにもかかわらず、ツアー、レクチャー、トークセッションと盛りだくさんな内容でしたが、1980年代について考える上でとても有意義な時間となりました。

 

アートエリアB1では今後も中之島の文化施設とコラボレーションした企画が進行中です。
ぜひ今後もご期待ください。

クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島 シンボルイベント「クリエイティブ・アイランド -創造的な都市の本質とは何か−」

 2018.12.16(B1事務局 下津)

この日は「創造的な都市と芸術の関係」をテーマに「クリエイティブ・アイランド -創造的な都市の本質とは何か−」と題し、芸術・都市建設・学術、多方面からゲストをお招きしてシンポジウムを開催しました。

2018.12.16 クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島 シンボルイベント「クリエイティブ・アイランド─創造的都市の本質とは何か─」

早くから沢山の申し込みをいただき、寒さの厳しいなか開始時間よりずっと早くにいらっしゃるお客様も見られました。多くのみなさまにご来場賜り会場内は満員でした。ありがとうございます!

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■第1部
基調講演「水辺の都市における創造的都市論」
ゲスト:ドリュン・チョン(M+ 副館長兼チーフ・キュレーター(香港))

■第2部
ディスカッション「中之島の共創のビジョン─クリエイティブ・アイランドに向けて」
登壇者:植木啓子(大阪新美術館建設準備室 研究副主幹)
    大谷燠(NPO 法人 DANCE BOX 理事長/神戸アートビレッジセンター館長)
    加藤好文(京阪ホールディングス株式会社代表取締役社長/CEO 兼COO/執行役員社長)
    ドリュン・チョン
    西尾章治郎(大阪大学総長)
    西野達(アーティスト)

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2018.12.16 第一部:ドリュン・チョン(M+ 副館長兼チーフ・キュレーター(香港))

2018.12.16 第一部:ドリュン・チョン(M+ 副館長兼チーフ・キュレーター(香港))

 

まず第1部に、2020年に香港の西九文化区にて開館を控えている世界最大規模の現代美術館M+の副館長兼チーフ・キュレーター、ドリュン・チョン氏に「水辺の都市における創造的都市論」を講演していただきました。M+とは何か、何が今までの美術館と違うのか、今後の可能性について同時通訳でお話しされ、来場者の中には熱心に頷いてはノートをとる姿も見られました。

 

2018.12.16 クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島 シンボルイベント「クリエイティブ・アイランド─創造的都市の本質とは何か─」

第2部では香港と大阪・中之島の「水辺の都市」という共通点も踏まえながら、中之島で創造的な地域を形成する可能性について、ディスカッションを行いました。中之島で先鋭的な文化事業を行ってきた大学、企業、NPOの代表者、中之島に誕生する新たな美術館のキュレーター、世界各地で都市を舞台にアートプロジェクトを行ってきた美術家、文化政策研究者など、異なる立場からご意見をいただきました。

香港と中之島には、それぞれ「文化拠点が集まる水辺の都市である」という共通点があります。文化の拠点地としてまだまだ多くの可能性を残す両者ですが、これからどのような発展をしていくのか、都市の中の芸術とは何か、といった問いを多方面の分野から考えることのできる大変貴重な講演となりました。

「森村泰昌の『映像─都市』論 ─上映とトークによって、大阪を読み解く─」

 2018.12.7(B1事務局 下津)

橋爪節也先生によるレクチャーガイドツアーの後で、中央公会堂の3階中集会室にて上映会&トークイベント「森村泰昌の『映像−都市』論 -上映とトークによって、大阪を読み解く−」が開催されました。

2018.12.7「森村泰昌の『映像─都市』論 ─上映とトークによって、大阪を読み解く─」

今回ありがたいことに急遽増席するほど多くのお申し込みをいただきました。
森村さんは大阪で生まれ育ったアーティストです。中央公会堂を舞台にした2007年の作品《なにものかへのレクイエム(独裁者を笑え)》など、自身の写真や映像作品の多くは大阪で撮影されています。本上映会では「森村泰昌作品と大阪の年」をテーマに、時空を超えて大阪の風景と歴史上の人物を映像化した作品群とともに、森村泰昌流の都市論を読み解きます。

2018.12.7「森村泰昌の『映像─都市』論 ─上映とトークによって、大阪を読み解く─」

■上映作品

《喜怒哀楽をふところに》
1998/10分/ビデオ[撮影場所:旧国立国際美術館(万博記念公園)、大阪市中央公会堂 他]

《烈火の季節/なにものかへのレクイエム(MISHIMA)》
2006/8分/ビデオ [撮影場所:旧陸軍第四師団司令部庁舎]

《なにものかへのレクイエム(人間は悲しいくらいにむなしい 1920.5.5-2007.3.2)》
2007|8分|ビデオ(HD)[ 撮影場所:釡ヶ崎支援機構とその周辺]

《なにものかへのレクイエム(独裁者を笑え)》
2007|10分|ビデオ[ 撮影場所:大阪市中央公会堂 他]

 

上映会後のトークでは、日頃から森村さんと親交のあるアーティスト集団 Chim↑Pomの卯城竜太さん、大阪の近現代の建築に精通する建築家の髙岡伸一さんを加え、それぞれ異なるアプローチから都市と映像の諸相を読み解きました。卯城さんもまた、Chim↑Pomで震災を記録した映像作品を発表するなど、森村さんとは異なる視点から都市と映像を取り上げるアーティストです。それぞれアーティスト、建築家といった異なる視点から、多角的に都市の可能性を議論する、大変充実したトークセッションとなりました。

 

2018.12.7「森村泰昌の『映像─都市』論 ─上映とトークによって、大阪を読み解く─」

2018.12.7「森村泰昌の『映像─都市』論 ─上映とトークによって、大阪を読み解く─」

「アートでひもとく中央公会堂の100年」 企画展ツアー

 2018.12.7(B1事務局 下津)

この日は大阪大学で教授を務める橋爪節也先生のレクチャーのもと、今年開館100周年を迎える大阪市中央公会堂記念展示「アートでひもとく中央公会堂の100年」ガイドツアーを行いました。

2018.12.7 「アートでひもとく中央公会堂の100年」 企画展ツアー

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クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島
サイトツアー/トーク05 「アートでひもとく中央公会堂の100年」企画展ツアー
日時:12月7日(金)17:30−18:00
会場:大阪市中央公会堂 展示室
ツアーナビゲーター:橋爪節也(大阪大学総合学術博物館 教授、大学院文学研究科兼任)

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かなり寒さの厳しくなってきた今日この頃ですが、ありがたいことに今回のツアーでは早々に定員に達するほど多くの申し込みをいただきました。
展覧会では創建当時の中央公会堂から始まり、その後現代に至るまでの大阪と中央公会堂の発展について順を追って展示しました。

また、この日は同じく中央公会堂にて19時から現代アーティストの森村泰昌氏のトークイベント&上映会が行われていたこともあり、普段は一般公開されていない3階の特別室が開放されていました。

2018.12.7 「アートでひもとく中央公会堂の100年」 企画展ツアー

特別室は創建当時、貴賓室として使用されていたお部屋で、天井や壁面には日本神話の一場面が描かれています。荘厳さと優美さを感じさせる大きな窓には慶祝の象徴である鳳凰と大阪市の市章である「みおつくし」があしらわれたステンドグラスが嵌め込まれています。和と洋が美しく融合した光景に、天井を仰ぎ見た参加者からは感嘆の声があがっていました。

適塾 × 大阪市立科学館 × 大阪府立中之島図書館「大阪の学問・科学史をたどる」

 2018.11.18(B1事務局 下津)

11月18日は、大阪市立科学館嘉数次人さんをナビゲーターとしてお迎えし、適塾大阪府立中之島図書館などをめぐるツアーを行いました。無事お天気に恵まれ、まだまだ気温も暖かい絶好のお散歩日和のこの日、たくさんの人々がツアーに参加してくださいました!

2018.11.18 「大阪の学問・科学史をたどる」ナビゲーター:嘉数次人

クリエイティブ・アイランド・ラボ 中之島
サイトツアー02 適塾 × 大阪市立科学館 × 大阪府立中之島図書館
「大阪の学問・科学史をたどる」
日時:11月18日(日)13:00─16:00
集合場所:大阪市立科学館 南側の屋外テント
ナビゲーター:嘉数次人(大阪市立科学館 学芸員課長)

2018.11.18 「大阪の学問・科学史をたどる」ナビゲーター:嘉数次人

まずは中之島の大阪市立科学館前からスタートし、適塾の創始者・緒方洪庵の師である中天游(なか てんゆう)の邸跡、豊前国中津藩蔵屋敷之跡、懐徳堂旧阯婢などを巡り、江戸期から現代に至るまでの大阪の学問史・科学史を辿ります。

堂島〜中之島近辺は今や大きなビル群の立ち並ぶ立派な都市です。その中にぽつんと残された石碑は知らないとうっかり見落としてしまいそうですね。

2018.11.18 「大阪の学問・科学史をたどる」ナビゲーター:嘉数次人2018.11.18 「大阪の学問・科学史をたどる」ナビゲーター:嘉数次人

中之島周辺は思々斎塾、適塾、大阪大学など学術の拠点が数多くあり、今なおその跡地が残っています。江戸期から現代に至るまで、日本の近代化に大きく貢献した多様な人材を輩出した大阪・中之島。その奇跡をめぐる非常に有意義なツアーでした。

「事務局のクリエイティビティ【全国版】」

1月13日(土)の「事務局のクリエイティビティ【全国版】」は、おかげさまで盛況のうちに終了いたしました。
極寒の中ご来場頂いたみなさま、そして登壇者のみなさま、本当にありがとうございました。

5時間を超える長丁場でしたが、最後までほぼ満席状態の熱気あるトークセッションとなりました。
第一部では、事務局の機能とその意義について、メセナ事業、国際展や芸術祭などの公共事業、そしてNPOや社会運動といった観点から、歴史的な流れもふまえ縦横無尽に語られました。
第二部ではその次の世代が現在携わっているアートの現場、事務局のあり方(事務局の有無も含め)について、お金、行政との関わり、仕事のポリシーなどを正直にリアルに語ってくれました。
第三部ではゲスト全員が登壇し、来場者からの質問カードをもとに、社会の中のアートの立ち位置や価値、労働の話、未来の展望などについても率直な意見交換がなされました。

来場者の方々の質問やアンケートでのコメントからも、アートの現場に限らず「事務局のクリエイティビティ」というテーマに対する関心の高さが伺えました。
今後のさらなる議論、検証につなげるべく、今回のトークセッションの記録まとめ作業に入ります。

詳細レポートも後日アップを予定しています!

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第一部「アートマネジメントの開拓者たちから見た事務局の重要性」
ゲスト:荻原康子/帆足亜紀/樋口貞幸

事務局のクリエイティビティ【全国版】

事務局のクリエイティビティ【全国版】

第二部「多様化するプロジェクトや芸術祭と事務局の役割」
ゲスト:小川希/細川麻沙美/吉田有里

事務局のクリエイティビティ【全国版】

事務局のクリエイティビティ【全国版】

第三部「事務局のクリエイティビティとは何か」
ゲスト:荻原康子/帆足亜紀/樋口貞幸/小川希/細川麻沙美/吉田有里

事務局のクリエイティビティ【全国版】

「遊び」から見る人間の本質(西村清和さんをお迎えして)

 2017.6.21(B1事務局 大槻、鄭/サポートスタッフ 石原)

6月16日(金)、サーチプロジェクトvol.6の関連企画として、ラボカフェスペシャルfeaturingサーチプロジェクト「『遊び』から見る人間の本質」を開催しました。

ゲストには、西村清和さん(美学者/國學院大學文学部哲学科 教授、東京大学名誉教授)をお迎えし、「遊び」とは何なのか、その感覚の中身や構造がどうなっているのかについてお話をうかがいました。6月16日(金)「『遊び』から見る人間の本質」ゲスト:西村清和さん

〜「遊び」〜

まず、西村さんが話してくださったのは、ホイジンガやカイヨワをはじめとする、これまでの遊び論の議論で展開されてきた、遊びに関する二つの側面の紹介と、それらについての見解です。 一つは「非現実の虚構」、もう一つが「現実の模型」です。

たとえば、鬼ごっこやままごとのとき、わたしたちは現実とは異なる非現実の役割を演じ、虚構の世界を作り出しています。これは、非日常を出現させており、一つ目の側面に該当します。しかしその一方で、遊びはなんらかのルールを持ち、私たちはそれに従って他者と関係を構築します。この点で実社会の模型であり、「遊び」は実人生への予行演習だというものです。

この遊び論について、西村さんは批判的な見解を示されました。遊びは「遊んでいるという現実」であるし、遊びは教育学者がよく言うように現実の人生の「模型」による学習のためにあるのではない。また、株の取引が賭の遊びに見えたり、戦争がシューティングゲームに見えたりしても、それらはまったく異なったものだ。というのが西村さんの主張です。

哲学的な観点からみると、遊びと切り離して考えている社会的事象が「遊び」としての要素を持ちうる可能性があるのが興味深かったです。

6月16日(金)「『遊び』から見る人間の本質」ゲスト:西村清和さん

〜遊び感覚―浮遊と同調―〜
つぎにお話ししてくださったのは、「遊ぶ」という感覚の中身についてです。

西村さんは、突き詰めていくと「浮遊」と「同調」に行き着くといいます。
「浮遊」は、言い換えると、「かろやかで、あてどなく揺れ動く運動。それ自身の内部で、ゆきつもどりつする運動」といえます。 例えば、揺れ動きゆきつもどりつする典型的な仕掛け"シーソー"では、二人が異なった動きをしているように見えますが、二人は自分勝手な動きをしているのではなく、二人がひとつの動きに同調し、笑い合いながら浮遊する1つの感覚を共有しています。

この行動の関係は、まなざしのキャッチボール(まなざしの同調)であり、人々が"遊び"感覚があると言ってるのは、この浮遊と同調が起きている時といえるのでは、というのが西村さんの見解です。

6月16日(金)「『遊び』から見る人間の本質」ゲスト:西村清和さん  浮遊と同調

 重要なのは、この「浮遊」は必ずしも心地よいものばかりではないということです。ひとはジェットコースターのような危険が伴う状況にもお金を払って興じます。これはどういうことなのでしょうか?

これは不快の快と呼ばれ、古代ギリシアの時代から議論されてきたことですが、西村さんは、そもそもこれを「恐怖」と呼ぶこと自体が誤りであるとしています。なぜなら、ジェットコースターに乗っても、原則として死ぬことはないため、本当の意味で恐怖とは言えないからです。 むしろこれは恐怖を楽しんでいるわけではなく、「どうなるかわからないハラハラドキドキする状況」=「宙づり」を楽しんでいるにすぎないと考えると、筋が通ります。

このことから、「遊び」のなかには、「どうなるかわからない状況やスリルを楽しむ」感覚が本質的に内在していると西村さんは言います。

小さいころ、高いところにぶら下がったり飛び降りたりとわざと危険な遊びをした経験を思い出して、納得してしまいました。

  

〜遊びの基本骨格〜
トークの半ばになると、「遊び」と「仕事」の話になりました。

6月16日(金)「『遊び』から見る人間の本質」ゲスト:西村清和さん 

西村さんはこの二つは「遊び」と「企て」という、対立する二つの概念で説明できるといいます。

「遊び」は先の通り、「あてどない」、「浮遊」と「同調」「宙づり」の行動です。
「企て」とは「投企=目標や計画を立てて、それを達成する行動」だそうです。

まさにわれわれが仕事と呼んでいるものと言えます。「遊び」では自分と他人がおなじ動きに同調しますが、「企て」においては、むしろ各々の利害やまなざしは対立します。 

 おなじ「ふりをする」でも、こどものおままごとと、プロの俳優の演技が大きく異なるのがその例です。

一方は誰かに見せるという目的は持たずただ互いに同調し、その場でストーリーをつくり、父や母といった役割を模倣します。他方、俳優たちはひとつの作品を作り上げることを目標に技術を磨きスケジュールを組んで稽古をします。

西村さん曰く「よくアーティストは遊びの延長線上で仕事をしていると言うが、明確に作品をつくるという目標があることから、遊びというよりは企てという方が妥当である」そうです。なんだか意外ですよね。

6月16日(金)「『遊び』から見る人間の本質」ゲスト:西村清和さん  遊びの基本構造

〜自由がないから「遊び」は楽しい〜
後半の司会を交えたトークセッションでは、スマホが普及し、いつでも連絡ができてしまうため、遊びと仕事を時間によって分けることができない状況について意見が交わされました。

 西村さんはこの状況のしんどさは、「自由のない遊び」が確保できないことに由来すると言います。普通に考えれば、遊びは自由で、仕事は自由がないように思えますが、そうではないそうです。

遊びにはごっこ遊びにしろボードゲームにしろ必ずルールがあり、プレーヤーはそれに従わねばなりません。しかし、それは裏を返せば「鬼から逃げろ」、「キングを取って勝て」という行動の動機を与えてもらえるということでもあります。
すべて自分で選択・決定せねばならない普段の生活は自由であり、自由であるがゆえに辛さが生じます。
遊びが楽しいのは、そういった自由がないから、という発想には目からうろこで、会場でもうなずくお客さんが見られました。

 

〜最後に〜

最後に西村さんは、「我々の人生には食べたり飲んだり仕事をしたりすることと並んで、絵を見たり音楽を聞いたり演劇を見たり、と遊ぶことが不可欠」「それが欠けるということは、自分の人生が壊れるということを意味し、遊べないことは、人生の病理として不幸である」とまとめられました。

今回のトークでは、わたしたちは知らず知らずのうちにいろいろな行動様式を取っており、それは生きることに直結するふるまいであることをわずかではありますが理解できた気がします。様々な示唆を得られた二時間でした。

講演後の質疑でも、「夜中でも仕事の内容がきて企てと遊びの境がなくなっている。そんな状況を遊びにかえるのはどうしたらよいか」との質問への、「スマートフォンは持たないこと。」というストレートなコメントに会場が沸く等、終始和やかな雰囲気で終演したトークライブとなりました。

6月16日(金)「『遊び』から見る人間の本質」ゲスト:西村清和さん

 

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