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「航空機の運航に見る物理学の役割に関して」(小川哲生さんをお迎えして)

 2016.12.27(B1事務局 くはの)

12/22(木)、鉄道芸術祭の関連企画として「航空機の運行に見る物理学の役割について」というトークプログラムを開催しました。ゲストは、昨年の鉄道芸術祭vol.5でもトークゲストとしてお越しいただいた、理論物理学者であり大阪大学理事・副学長の小川哲生さんです。昨年のトークでは「電車に乗る」ということを出発点に、物理学の視点から「移動の未来」、「車窓の景色/何が見えるか」、「ワープ・ワームホール」、 「光の形」、「速度」、「線の移動と点の移動」ということをキーワードにお話をしていただきました。今回は、「航空機の運行」に着目します。

小川さん曰く、物理学とはいろいろなものの動きのメカニズムについて「なぜこう動くのか?なぜなんだ!?」

という疑問が起こるか否かが勝負の学問とのこと。

ご自身は、目の前の物事に対して「どうなってるの?」「なぜこうなってるの?」という好奇心を元来からお持ちだったそうです。

 

そんな小川さん、なぜ飛行機に興味をもたれたのでしょうか?

約2年前に伊丹空港の近所に引っ越しされたとき、ふと生駒山の方向をみていると飛行機が着陸してくるのが見えたそうです。

暗くなってから南のほうをみると、特に離着陸が多い時間帯である夕方から夜にかけての伊丹空港周辺は、飛行機が一直線上に並ぶように順序良く降下していくのだとか。

そのとき小川さんは、「どうやって等間隔に並べているのだろう?」「どこで飛間距離を調整しているんだろう?」といった疑問がわきました。

着陸の際、飛行機は管制塔からの指示で誘導され、一定の角度を保ち、線を描きながらだんだん降下していくのですが、その様がとても美しかったそうです。

「管制官たちは、目にみえない"着陸ルートの滑り台"に各飛行機をのせていかなきゃいけない。滑り台の入口に等間隔に導いていくために、その手前で絶妙に距離を調整していかなければいけない、それが彼らすごくうまいんです」

と熱っぽく語る小川さん。管制官とは、とても緊張感のある仕事だと改めて感じました。

↓写真は、飛行機が「飛びながら前に進む」仕組みについて解説される様子です。

航空機の運航に見る物理学の役割に関して1.JPG 

さらに、トークのなかでは飛行機にまつわる様々なマメ知識もお話してくださいました。

*パイロットと捕パイロットは別の食事をたべる

→どちらかが万が一食事であたっても、運転・操作できるようにするためです。

*昔はジャンボ機は、エンジンが4つあった

→4つあれば一つ破損しても飛べるということが理由でしたが、結局整備に手間がかかるので現在の大型機のエンジンは2つになっています。

そして、右と左のエンジンの整備はそれぞれ違う人が担当します。同じ目で両方を整備してしまうとヒューマンエラーが起きる可能性が高くなるためです。

*飛行機のガソリンタンクはどこにあるのか

→主翼のなかにあります。左右をバランスよく使うようになっています。

また、静電気の発生を防ぐため、放電で逃がすように翼のうしろにはアンテナがついています。

などなど、へぇぇえーと思わず唸るお話しが次々に飛び出してきました。

 

次はプロジェクターに地図が表示されました。

これは、インターネットで公開されているフライトレコーダーです。

航空機の運航に見る物理学の役割に関して2.JPG

小川さんがマップ(飛行経路)をみせながら説明してくださいます。

地図上を移動する飛行機をクリックすると現在飛んでいる飛行機の種類、発着場所などが分かるようになっていて、飛行機の高度まで色分けで表示されます。

お仕事で飛行機に乗られることも多い小川さん。伊丹空港は夜9時を過ぎると着陸できないため、飛行中に9時をすぎると関西国際空港に変更になるそうです。そのような時は、嫌だなぁと思いながらも、イレギュラーなフライトを楽しまれているのだとか。

会場のお客さんも、集中して画面に映し出される地図を食い入るように見つめていました。

次に小川さんが取り出したのは、なんと無線機です!

「ハム無線とは違います、あくまでも聴くだけです。航空無線は傍受してもよいことになっているんですよ。合法です。ただし聞いた内容は他言無用です」

通常、パイロットと管制官のやり取りは英語です。しかし、非常時には日本語が飛び出すこともあるようです。例えば、雷の危険がある場合、地上スタッフは外に出てはいけないので、離陸も着陸もできません。そういう時、パイロットから咄嗟に日本語で「どうなってるんだ!」という交信も入るそうです。

普段、飛行に乗っているだけでは気にすることもないパイロットと管制官の交信。でもこの「声の交信」によって、飛行機の運行は支えられていることを改めて知りました。当たり前といえば当たり前ですが、空を見上げて、そこに飛行機が飛んでいるということは、そこには眼に見えなレーダーの通信網があり、人間の声が飛び交っている。そういうことを考えると、今日から少し空の景色が変わって見えそうです。

航空機の運航に見る物理学の役割に関して3.JPG 

参加者からの質問タイムも盛り上がり、名残惜しい空気を残しながらあっという間の閉会。

いつもいつも、面白い切り口で聴き手の心を掴む小川さん。物理学という一見難しそうなテーマですが、身近な現象を出発点に、世界の仕組みの一端を紐解いて見せてくださいます。

普段、私たちが特に疑問をもつこともなく見慣れているもの、乗り慣れているもの、感じ慣れていること等について、その仕組みを知るということは、異なる世界が広がるということです。

今日のお話では、「航空機の運行」をテーマに、飛行機の仕組み、空のこと、風のこと、そして管制官とパイロットの"声による飛行機の運行"について、今まで知らなかった世界のほんの一端を知ることができました。

「圧倒的物質で人と社会を揺さぶる/現代美術家・榎忠」(榎忠さんをお迎えして)

12月17日、鉄道芸術祭vol.6「ストラクチャーの冒険」参加アーティストのお一人、現代美術家の榎忠さんをお迎えして、トークイベントを開催しました。

ラボカフェスペシャル featuring 鉄道芸術祭
「圧倒的物質で人と社会を揺さぶる/現代美術家・榎忠」

榎忠さんは、「グループZERO」として、神戸の市街を都市劇場に見立て集団でハプニングを繰り広げたり、大阪万博のシンボルマークを体に焼き付けた 「裸のハプニング」や、「ハンガリー国へハンガリで行く」など独特のパフォーマンス活動を展開する他、 大砲や銃、原子爆弾、ゴミなど、身の回りに潜む危機や不穏因子に着目し、鉄の廃材や金属部品を用いた全長数十メートル、 総重量数十トンといった超スケールの作品でも知られる現代美術家です。
今回のトークでは、見るものを圧倒する力強い作品を生み出し続ける榎さんの創作活動について、また、その作品の背景に見えてくる人類の文明の歴史や、世界の様々な構造(ストラクチャー)などについて、お話いただきました。

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超満員で立ち見が出る中、トークが始まります。
榎さんは、20代の頃には絵画制作をされていましたが、絵だけではご自身の考えを表現しきれないと感じ、体を使ったパフォーマンスもされるようになりました。 写真に写っているスライドは1970年の「裸のハプニング」。これは、日光でご自身の腹部に大阪万博のシンボルマークである桜型を焼き付けて行われたパフォーマンスの写真です。
そして、"自分の生活は自分でまもる"という榎さんの信念を表した「LSDF(Life Self Defense Force)」、「ハンガリー国へハンガリ(半刈り)で行く」、榎さんの願望から生まれた"ローズねえさん"が営む幻のバー「Bar Rose Chu」、神戸ポートアイランド博覧会で発表された巨大な「スペースロブスター」等々、歴代の代表作の制作経緯をユーモアを交えてお話いただきました。

超スケールの作品の印象からか、「『大きな人』とイメージをされがち」と笑いながら語る榎さんは、神戸で旋盤工として勤めながらアーティスト活動をされてきました。
榎さんの作品は、どれも廃材にアクセスできる特殊な環境にいたからこそ生まれた問題意識が元になっているといえます。

榎忠さんトーク.JPG

榎忠さんトーク.JPG

「いつまでも繰り返される戦争や紛争。開発する一方で、後の処理を考えない人間。
新聞やニュースで得られる情報はごく一部で、正しいのかも定かではない。だから想像し、表現する。
戦いが起こらないようにアートで戦っている」。 
そう語る榎さんは、作品を発表する場として、より社会や人々の日常に近い場所を選ばれます。「美術館など制約がある場所ではなく、好きな場所でやりたい」という言葉通り、毎回時間をかけて展示のための場所を探し、交渉し、困難な搬入や設営を経て、作品が生み出されていきます。そしてそのなかでは、様々な人との出会いも重ねられていきます。
そうして、いろいろな人々と関わり合いながら生み出される作品からは、そこに関わった人たちの存在を感じることができ、だからこそ、 対峙する鑑賞者を圧倒する力強さがあると感じました。

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トークの最後は、会場のみなさんからの質問にお答えいただきました。
作品にある種の宗教性・精神性みたいなものを感じるが、意図されているか。という質問に対して、榎さんご自身は「意識していないが、見る側の意識がそこにあるからそう感じるのではないか。」とのお答えでした。
また、あえて危険なもの、重いものなど、ヘビーなマイナスの印象がある素材・テーマを扱われることが多いことについて。という質問には「見る人が、見る人の問題として考えて欲しい。精神性などを考えて制作することは構わないが、あくまで語るのは作品」と表現者としての強い覚悟を語られました。
働きながら制作されてきた榎さんにとって、労働は食べるため、生きていくために必要な当たり前のことで、食べていくために芸術をしているのではありません。

今回のトークでは、常に社会に対する問題意識を持ち続け、表現し続ける作家としての榎忠さんの強さを伺うことができました。

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鉄道芸術祭vol.6「ストラクチャーの冒険」では、榎さんの作品は《LSDF(Life Self Defense Force)》と《薬莢 Cartridge》を実物で、《スペースロブスター P81》と《GUILLOTINE1259〈ギロチンシャー〉》は展示当時の写真を拡大出力し展示、さらに1972年に行われたグループZEROとして行ったハプニングの映像、「ハンガリー国へハンガリで行く」などの過去作の記録映像を展示場入口で上映しています。

また、1月9日には展示している《LSDF(Life Self Defense Force)》を使っての「成人の日」祝砲パフォーマンスを開催します。

ぜひ、会場で榎忠さんの力強い作品に触れてください。

「芸術実行犯 Chim↑Pomの超戦」(卯城竜太さんをお迎えして)

 2016.12.17(B1事務局 サポートスタッフ大槻)

12月10日、鉄道芸術祭vol.6「ストラクチャーの冒険」関連プログラムとして、アーティスト集団Chim↑Pom(チンポム)の卯城竜太さんをゲストにお迎えしたトークイベントを開催しました。

 ラボカフェスペシャル featuring 鉄道芸術祭 
「芸術実行犯 Chim↑Pomの超戦」

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Chim↑Pomは、現代社会に全力で介入し、強い社会的メッセージを持つ作品を発表し続けている6人組のアーティスト集団です。アートを武器として社会の"見えない構造"に挑み、ときに超越しながら、世の中に物議をかもすアクションを次々と実行されています。そこで今回のトークでは「芸術実行犯Chim↑Pomの超戦」と題し、そんなChim↑Pom の活動における"ストラクチャーの冒険"について、今年の10月に東京の新宿歌舞伎町で開催した個展「"また明日も観てくれるかな?〜So see you again tomorrow, too?」に関するお話を中心にお聞きしました。

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今年で結成11年目であるChim↑Pomは、国内や海外で様々なプロジェクトを展開してこられていますが、デビュー当時からずっと東京を活動のベースとしており、東京の街中で数多くのアクションを起こされています。トークではそれらのうち、野良ネズミやカラスといった「都市における野生」への関心から生まれた《スーパー☆ラット》や《BLACK OF DEATH》、「大量生産・大量消費」への反発心を逆手にとって挑んだ渋谷パルコでの展示、「愛が目的のデモ」として新宿の路上で敢行したメンバーのエリィさんの結婚式《LOVE IS OVER》など、代表的な作品の数々をご紹介いただきました。一見すると悪ふざけのようにも見えるのですが、そこには必ず東京という都市を生き抜く若者としての鋭い感性と行動力に裏打ちされた強度があり、現代社会の在り方をあぶり出し問い直すアートの力をヒリヒリと備えているので爽快です。

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そんな東京の申し子とも言えるChim↑Pomが、"東京"について改めて考え直すことから始動した新たなプロジェクトの第一弾が、新宿歌舞伎町にある解体予定のビルを舞台とした展覧会「"また明日も観てくれるかな?〜So see you again tomorrow, too?」です。

歌舞伎町は、戦後なにもない焼け野原となったところから、一部の地主たちが様々な理想を掲げながら構想し、誕生した街です。今回会場とされたビルは、その地主たちから発足した「歌舞伎町振興組合」の拠点となってきた場所です。ビルが建てられた時期を遡ると、なんと前回の東京オリンピック開催年である1964年。そして現在、ビルは2020年のオリンピックにむけて、再び「建てこわし・建てなおし」されようとしています。
4年後のオリンピックを大義名分とした「スクラップアンドビルド」は、歌舞伎町のみならず、現在東京のあちこちではじまっています。日本は途上国から先進国へと発展し、状況も価値観もがらりと変わっているにもかかわらず、オリンピックに際し、かつてと全く同じような発想でまちづくりがされようとしていることへの違和感。今回の展覧会は、東京で日本人が繰り返すこういった「未来の描き方」を問い直すものとして企画されたそうです。

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トークでは、たくさんの写真をお見せいただきながら、ビルの4階から地下に至る各階の展示の様子をご紹介いただきました。ビルの持つ歴史や特性に深く迫り全力でインスパイアされながら、Chim↑Pomのこれまでを集大成して作り上げられた作品のお話はどれも面白くて、展示空間をその場で体験できなかったことが悔やまれました。そしてなんと、会期が終了した現在、ビルと一緒に展示作品も「全壊」させられています。なぜなら、作品をビルごと「スクラップ」し、その残骸を再び「ビルド」して展示することこそ、「スクラップアンドビルド」がテーマである今回のプロジェクトのフレーミングだからです。「まっさらなところで呆然としてから考えることが重要だ」と語る卯城さんからは、アーティストとして"ゼロ地点"に立ち続けようとする意欲と気概が伝わってきました。
会期中は展示だけでなく、全壊するこの場所を無形の"記憶"として残していくために、トークやライブといったイベントも数多く催したそうで、それらも大変濃度の高いものだったよう。「安全だけど安心でなくていい」という寛容さがある歌舞伎町は、街のど真ん中の会場でどんなに過激に騒いでも、自由に放ったらかしてくれたそうです。

 

トークの最後に、卯城さんが重要なこととして強調されたのは、今回の展覧会に関しては展示作りや運営、資金面など、全てにおいてChim↑Pomが自分たちの手で行ったという点です。それは、最近特に政治的な規制や検閲が顕著になり、美術館や芸術祭で出来ることが限られてきたことに理由があります。そういったしがらみに翻弄されるよりも、何か他の手を見つけて自分たちのやりたいことを実践していく挑戦として、インディペンデントで展覧会を開催することにこだわったそうです。その挑戦は、見えない社会のストラクチャーを超えていく試みであり、ストラクチャーを自らの目で見ようとする試みでもあるように思います。
すでに出来上がっている仕組みに身を任せていると、いろいろなことが見えないままに運び、いつの間にか大きな力に鈍感になってしまうことは、日常生活でも大なり小なり実感することです。Chim↑Pomや今回の鉄道芸術祭の出品作家の皆さんが、アートの力で見えないストラクチャーを冒険する姿に学びながら、私たちも常にそこへと意識を向け続けねばならないなと改めて危機感を持ちました。

鉄道芸術祭vol.6「ストラクチャーの冒険」は、会期残すところひと月ほど。皆さんも是非、見えないストラクチャーに思いを馳せにいらしてください。お待ちしております。

「都市の成立を通してみる日本の構造」(北村亘さんをお迎えして)

 2016.12.9(B1事務局 小西)

12月8日、行政学者で地方自治を専門とする北村亘さんをお迎えし、地方自治とはどういうことか、鉄道と街の成り立ちの関係などをお話しいただきました。

ラボカフェスペシャル featuring 鉄道芸術祭
「都市の成立を通してみる日本の構造」

「都市の成立を通してみる日本の構造」

私鉄の力が強く、鉄道会社によって沿線の街がたくさん開発された関西。
大阪市は日中、市内で沢山の人が働いていますが、夜には北摂など他の市町村に帰宅される人が多く、昼間人口と夜間人口の差が大きい地域です。
また大企業は本社が東京にあることが殆どで、こちらも税収が減る要因となっています。

地方自治の予算は大きく分けて2つ。開発と再分配(福祉)があり、街の利益を増やすために福祉が手薄になり、開発が積極的になる傾向があります。
福祉を充実させるとその地の貧困率が高くなってしまうという、なんだかとても皮肉めいたことが起こってしまうそうです。

図を描いてその流れを解説していただきました。

「都市の成立を通してみる日本の構造」

Aの町の福祉を充実させると、、、近隣のBとCの町から移動しやすい不動産を持たないホームレスの人たちや低所得者の人々がまずAの町にやってくる。
福祉サービスの対象者が増えるので、サービスを拡大することになり、すぐに当初の予算を使いきってしまいます。
それでも町が頑張って政策を続けると、富裕層にとっては納税負担が増えるだけでなく町の治安も悪くなるため町を去り始めます。
お金があり、移動する力がある富裕層や企業が町を出て行ってしまい、空いた住居に流入してきた人々が不法占拠しだし、不動産の価値が下がる。
貧困層が増え、治安が悪化し、、、、という悪循環が続いてしまう。。。。
この現象は、1920年代まではNYのど真ん中で高級住宅地だった、ハーレムでかつて起こったことだそうです。

福祉政策の場合は貧困層はサービスを求めてやってくるので、支出一方。しかし、開発政策の場合は貧困層は雇用を求めてやってくるので、納税者になり、税収が増えます。
磁石に吸い寄せられる様に人が動くことから、ウェルフェア・マグネット効果という言葉で言われるそうです。

分かりやすく解説してくださり、改めて納得することばかり。
ですが、街の人々のための福祉政策が、街を悪化させる要因になることもあるというのは、なんともやり切れない気持ちになりました。

「都市の成立を通してみる日本の構造」

地方自治という言葉は響きが良く、「地方自治を高める」ことはとても良いことのように聞こえますが、
地方自治が強くなりすぎると、自分の利益のみに目を向け、再分配に背を向ける、どんどん保守的な考えに進むことにもつながります。

そして話は鉄道と密接に関わる大阪の街の成り立ちへ。
明治時代、国の計画により国鉄・山手線が敷かれ私鉄が国鉄に従属する形で広がって行った東京とは異なり、 大阪は私鉄各線が開発されて、その後に環状線が敷かれたので、国鉄との乗り入れが前提とされておらず、私鉄が幅を利かせています。
私鉄各社が沿線開発に力を入れたお陰で、北摂や宝塚、芦屋などのブランド力がある街が生まれ、大阪市中心地から離れた場所に住み、大阪市内には仕事に通うだけ、という人が増えました。
大阪市の夜間人口(住民)が減ってしまうことは、住民税収入が減ることにつながります。
大阪市が抱える少子高齢化や市民負担の増加などの問題は、鉄道網が加速させてしまったとも言えるのかも知れません。

「都市の成立を通してみる日本の構造」

最後の30分は参加者のみなさんとディスカッション形式に。
「将来の大阪に興味があってきた。大阪がよくなるにはどうしたらいいか?」との質問に、北村さんは 「大阪がうまくいかないと、日本がうまくいくわけない。東京だけに頼っていると、東京に何かあった場合、日本がどうにもならなくなってしまう。」と答えられました。

一緒くたに「地方創生」と言ってしまうのではなく、色々な見方をして、問題を分けて考えることの大切さ、 市民ができることと、行政じゃないとできないこと、その両方について考えることの重要さを考える機会になりました。

電車公演「クラブ電車〜ストラクチャーの冒険〜」を開催しました!

12月4日(日)に電車公演「クラブ電車〜ストラクチャーの冒険〜」を開催しました。
あいにくの雨にも関わらず、今年も満員御礼、たくさんの方にご乗車いただき、ありがとうございました。

走行する貸切電車の中で行う電車公演。
今回は駅から駅へと移動する、この日限りの「クラブ」を生み出しました。

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「クラブ」というと夜の地下スペースなどでのイベントのイメージがありますが、
電車公演「クラブ電車」は、日中に京阪沿線の車窓風景を楽しみながら、という駅から駅へと移動する「クラブ」となりました。
今回の公演は、ラッパーの環ROYさん、同じくラッパーで、環ROYさんとのユニット「KAKATO」としても活躍されている鎮座DOPENESSさん、そして島地保武×環ROYとして愛知県芸術劇場で舞台作品「ありか」を発表された、ダンサーの島地保武さん、PA/音響の岡直人さんによる特別編成の「環ROY×鎮座DOPENESS×島地保武×岡直人」
日常生活にある五感をテーマに、絵画、彫刻、映像、サウンドを自在にリミックスし作品を編み上げるマルチアーティストの和泉希洋志さん。
イラストレーターとして雑誌やweb、広告媒体、CDアルバムジャケット等音楽関係で活動され、2014年からファッションブランド「Né-net」とコラボレーションも展開されている鈴木裕之さん。
ゴミや廃材などの収拾物、印刷物や写真など既存のモチーフに描くドローイング作品やインスタレーション、グラフィティを用いた作品などを制作され、アーティストユニットcontact Gonzoとしても活動されているNAZEさん。
というバラエティ豊かな出演者を迎えました。
加えて、DJタイムの選曲者として、鉄道芸術祭vol.6「ストラクチャーの冒険」展の参加アーティストである五十嵐大介さん、インビジブル・デザインズ・ラボさん、榎忠さんにもご参加いただきました。


当日の様子を少し、ご紹介します。

受付を済まされた参加者の皆さんは特別切符を手に、中之島駅の3番のりばから「クラブ電車」にご乗車いただきます。
会場となる貸切電車は、大阪側車両からA・B・Cと名付けた3車両。ご家族連れでゆったりと座るも良し、混み合うアーティストの近くでパフォーマンスを楽しむも良し。3車両の中を参加者は自由に行き来していただきます。


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車掌さんからのアナウンスがあると扉が閉まり、いよいよ「クラブ電車」が走り出しました。
発車までの五十嵐さん選曲によるDJから一転、B車両で行われている和泉さんのライブ音がスピーカーを通して各車両内に響き渡り、車両内は一気に非日常的な雰囲気に変わります。

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3車両とも扉横のポスター掲示枠には広告ではなく、鈴木さんとNAZEさんの作品が掲示されており、吊り広告スペースには白紙が吊られています。

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いつもと少し、雰囲気の違う車両内。
画板を持った鈴木さんとNAZEさんたちは、鈴木さんがA→B→C車両(大阪側→京都側)へと、NAZEさんがC→B→A車両(京都側→大阪側)へと、ライブペイントをしながら進みます。
ペイントされた紙は、次々と吊り広告スペースに吊られていきます。

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鈴木さんとNé-netのコラボアイテムで全身コーディネイトされた鈴木さんファンの方々は、吊り広告をバックに記念撮影をされていました。

樟葉駅で停車すると、和泉さんのライブは終わり、インビジブル・デザインズ・ラボさんと榎さんの選曲リストによる、再びのDJタイムに。
樟葉駅周辺の緑豊かな景色を眺めつつ「汽車ぽっぽ」やHajime Tachibanaの「Bambi」などの曲がつながります。

電車は樟葉駅で折り返し、再び大阪方面へ走り出します。

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帰路の車中では、環ROY×鎮座DOPENESS×島地保武×岡直人によるパフォーマンスがスタート
環ROYさんと鎮座DOPENESSさんが乗客の間を行き来しながら、ラップを繰り広げ、それに呼応するように踊る島地保武さん。

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ラップ、ダンスと共に鈴木さん・NAZEさんによるライブペインティングも進み、車内を盛り上げていきます。

この日、この場限りの「クラブ電車」は京橋駅を通過し、地下へ潜り、終着のなにわ橋駅へ到着しました。
それぞれのパフォーマンスに目を奪われているうちにあっという間に終演を迎えた電車公演。
いつもの京阪電車の車内がアーティストの力で非日常空間に変えられ、とても印象的な小旅行でした。

「鉄道がもたらした社会構造の変化」(鴋沢歩さんをお迎えして)

 2016.11.23(B1事務局 サポートスタッフ小河)

11/17(木)は、現在開催中の企画展「鉄道芸術祭vol.6」の関連プログラムとして、経済史の観点から鉄道史を研究されている鴋澤歩さんをゲストにお迎えして、鉄道がもたらした社会の様々な構造(=ストラクチャー)の変化について考えるトークイベントを開催。「鉄道がもたらした社会構造の変化」と題して、大学の講義さながらの深い内容のお話をいただきました。

 

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経済学といえば、アダム・スミスに始まり、ケインズ、マルクス、フリードマンの理論が先行し、経済学史でも経済学の系譜、産業革命、近現代の金融・経済学の成り立ちがメインになることが多いものです。 その中で鴋澤さんは、鉄道会社の歴史から現代の経済システムや社会構造に与えた影響を捉えるという視点からトークをしてくださいました。 一般的には、鉄道とは、産業革命の中で短期間の大量・遠方輸送を実現したもの、重工業発展に影響を受けた産業の一つと認識されていることが多いと思いますが、そのような部分に留まらない影響があったことを今回のトークで知ることができ、大変興味深いものでした。

鉄道運営は、当時としては初の大規模経営会社であったそうです。その運営のためにはそれまでの世界になかったようなレベルでの高度な正確さをもって管理・調整を行わなければならないことから、分業を行っていくセクションを幾つも作り社長・会長をトップとした組織内の上下で管理していくという、会社としての階層組織が形成されました。
現代の会社組織が当たり前のように取り入れているライン・スタッフ管理組織の基になったのが、鉄道運営だったそうです。初めて知る話が次々に飛び出す鴋澤さんのお話に、皆さん熱心に耳を傾けられていました。

その他、鉄道会社の労働組織が、インフラに関わるため最初に政府から法規制を受けることとなり、現代の労使関係を形成するものとなったこと。
専門的管理者が育つことによって、鉄道の所有者と経営者の分離がされていったこと。
また鉄道運営という大規模でインフラの一種ともなる特殊な組織の誕生・発展によって、それを高度な正確さで管理・調整するために管理・会計部門が発達しました。それが株式・金融市場の発達にも影響をもたらしたこと。
そして、広大な鉄道網の範囲があるために異なった地域住民・社会階層に属する人々を組織化する役割も担っていたことは、個人的にもとても興味深いものでした。

鉄道業という特殊な業種が拡大する上で必要不可欠であったことが、これだけ世界の社会構造に影響を与えていたことを知ることができる、非常に有意義な時間となりました。

 

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次回、「鉄道芸術祭vol.6」関連プログラムのトークは
12月8日(木)「都市の成立を通してみる日本の構造」です!
行政学者で地方自治を専門とする、大阪大学教授の北村亘さんをお迎えして、都市の在り方を通して日本社会の「ストラクチャー」について考えます。

鉄道芸術祭vol.6オープニングトーク!「見えない音とかたちのないアイデアを構築する」インビジブル・デザインズ・ラボ松尾さんをお迎えして

 2016.11.16(B1事務局 サポートスタッフ大槻)

鉄道芸術祭vol.6「ストラクチャーの冒険」がいよいよ幕開けとなり、展覧会初日11月12日、参加アーティストの一組であるインビジブル・デザインズ・ラボの代表、松尾謙二郎さんをお迎えしてトークイベントを開催しました。

オープニングトーク.jpg 松尾謙二郎さん.jpg

 

インビジブル・デザインズ・ラボは、「音」という見えないメッセージと「アイデア」という見えないデザインを「見える」ようにしていくことを目標に、CM制作やアート作品の発表など多方面で活動されている音楽クリエイティブチームです。本展には新作として、目に見えないシステムによってピアノと木琴が音楽を奏でる音楽作品「Do you feel "THE RED" just like "THE RED" I feel?」を出品してくださっています。

「生きていくためには、食わねばならん」。そんな一言から始まり、松尾さんはまず、ご自身のご活動の経緯についてお話してくださりました。中学時代から、すでに音楽で生活していくことに危機感をお持ちだったという松尾さん。音楽で、クリエイティブで、食べていくのは難しい。そのためには、何か他人と違うことをしなければならない。広告業界に仕事を求め、音や音楽に対して他の人とは異なる視点を持って制作活動をしてきたのも、「アーティストとして生きて行く」ことに現実的な意識を持ち、戦略的に臨む意識があったからだそうです。

一人ではできなくても、できる人とコラボレーションすれば、いろんなことができる。"チーム"でものを作るという活動形態は、広告づくりの手法から学び得たものだそうです。インビジブル・デザインズ・ラボの現在のあり方は、広告の仕事と切り離して語れないもののようでした。

広告の仕事を資金源にしてクリエイターとしての技術や発想を更新していくような、"クリエイトのループ"の中で制作をしていくというのも、松尾さんが大切にされていることの一つです。先の「食べていくこと」の問題にも重ねて、現代におけるアーティストの生き方・生き延び方を考える上で、大変参考になる具体例だと感じられました。

トークでは、2011年にNTTドコモのCMとして制作され、大きな話題となった《森の木琴》を始め、アルコール飲料ブランドZIMAの依頼で制作されたロボットバンド《Z-MACHINS》にまつわるエピソードや、様々なCM制作の裏話について、写真や動画でたっぷりとご紹介いただきました。インビジブル・デザインズ・ラボの皆さんが、クライアントの依頼を見事にこなし、仕事の幅を広げていく様を追体験するようで、大変刺激的な時間となりました。

 

また、松尾さんがインビジブル・デザインズ・ラボのコンセプトを"「音」という見えないメッセージと「アイデア」という見えないデザインを「見える」ようにしていくこと"として活動を始められたきっかけの多くは、29歳の時のイギリス留学の経験にあったそうです。

現地では音楽の作り手よりも、モノを作るアーティストやプロダクトデザイナーと親交を持っていたという松尾さんは、友人たちの影響で音についても"機能性"や"デザイン性"に関心を持つようになりました。そして、「単に音楽を作るのではなく、音の機能や、音のデザインといったことに着目して制作をしていきたい」と考えはじめたそうです。

本展の出品作「Do you feel "THE RED" just like "THE RED" I feel?」において、松尾さんの中でのテーマの一つとなっている"コミュニケーション"も、言葉の通じないイギリスでの体験から生まれたものだそうです。言葉が通じなくてもコミュニケーションは成立する、むしろ本質的に分かりきらないものである。だから、面白い。本作においては、そんな曖昧なものとしてのコミュニケーションを、言葉ではなく音楽によって試みたいという意図が含まれています。

 

最後に場所を展示会場内へと移し、松尾さんに出品作のパフォーマンスをしていただきました。「楽器ごと作った曲のつもりだ」という今作は、ピアノの音が解析されて指令が飛び、三つの木琴が動き出すことでアドリブ的に音楽が奏でられる楽器群です。パフォーマンスでは、松尾さんが「印象」によって演奏された即興的なピアノのメロディーと、木琴の素朴でリズミカルな音色が呼応し合い、美しい音楽が生まれていました。

演奏中の松尾さん.jpg 松尾さんと会場内の木琴の協奏.jpg

その後作品を囲んで、制作にあたったインビジブル・デザインズ・ラボの他のメンバーの方々の紹介や作品解説、来場者の方々の演奏体験、質疑応答を経て、トークは終了となりました。

メンバー紹介.jpg 質疑応答.jpg

 

アーティストとしていかに生きていくか。それを考えるためには、社会の見えない構造に目を向けて、自らの身の置き場を探っていく必要があります。

音と人間のあいだにある"よくわからない仕組み"に関心を持ち、そこで作品をつくっていこうとする試みも、見えない構造への挑戦です。

今回のトークをお聴きして、松尾さん、そしてインビジブル・デザインズ・ラボの挑戦が、まさに本展のテーマである「ストラクチャーの冒険」そのものであることに改めて気づかされました。

 

もしもインビジブル・デザインズ・ラボの作品や活動に少しでもご興味をお持ちになりましたら、新作である「Do you feel "THE RED" just like "THE RED" I feel?」を、ぜひ本展覧会の会場で体験なさってみてください。音楽を奏でる、見えない仕組みの存在を感じることで、今まで見えていた世界にも新鮮な気づきが生まれてくるかもしれません。

 

ご来場をお待ちしております。

鉄道芸術祭vol.5大団円。「もうひとつの電車」ならではのクロージングイベントとなりました!

12月26日(土)、10月から2か月間にわたり開催してきました鉄道芸術祭vol.5ホンマタカシプロデュース「もうひとつの電車 ~alternative train~」最終日、クロージングイベント「これからの、もうひとつの電車」を行いました。


100人を超える方々にご来場いただき、超満員となったアートエリアB1。
3部構成されたクロージングイベントは、編集者であり京都精華大学特任教授の西谷真理子さんと、哲学者で立命館大学大学院准教授の千葉雅也さん、そして本展プロデューサー・ホンマタカシさんによる第1部のトークから始まりました。closing01.JPG
西谷さん、千葉さん、ホンマさんによる、本展参加アーティストたちへ、その作品への考察が繰り広げられていきました。

トーク終了後まもなく、展示場の色々な場所から動きが起こります。
第2部は鉄道芸術祭vol.5参加アーティストのNAZEさん、PUGMENTさん、小山友也さん。そしてdot architectsさんと三重野龍さん、contact Gonzoさんによる、スペシャルなショーです。
自由に動き、鑑賞していただく形をとった今回のショー。観客の方々も、展示会場の方でのアーティストたちの動きに気づき、徐々に会場の方に移動していきます。

closing06.JPGclosing04.JPGNAZEさん、PUGMENTさん、小山友也さんの、出展作品から広がっていくようなパフォーマンスが、各所で始まります。

実寸大木製車両の壁面にどんどんグラフィティをしていくNAZEさん。

パジャマにヘッドフォンを装着し、車両インスタレーション空間内で寝始めるPUGMENTさん。

独特な動きでモノとコミュニケーションをとろうとする小山さん。

NAZEさんにペインティングされた木製車両はdot architectsさんの手により、どんどん解体されていきます。closing08.JPGclosing11.JPG

その車両空間の車窓向こうではcontactGonzoさんが、発射装置の組み立てを。closing02.JPGclosing07.JPG
木製の発射装置からオレンジやレモン、グレープフルーツといった柑橘類が発射され、それをcontactGonzoメンバーが身体で受け止めます。
ホンマさんの写真作品に飛び散るオレンジと爽やかな香り。closing09.JPGclosing13.JPG
更にNAZEさんにより、ペインティングされていきます。closing15.JPGclosing14.JPG

刻々と変化し、解体されていく会場。
見る位置や視点、タイミングによって、異なるものが見えたのではないかと思います。closing17.JPGclosing22.JPG

 

ショーにより、様変わりした会場を見つつ、第3部のクロージングパーティーに移行します。
日本酒「やどりぎ」で乾杯し、フィナーレとなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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視点を変える。ということをテーマにしていた今回の鉄道芸術祭。
参加アーティストと作品に対するトークから始まり、参加アーティスト自らが作品の見方を変化させる今回のショーへと流れたクロージングイベントは、まさに"「もうひとつの電車~alternative train~」ならでは"のイベントになったのではないでしょうか。


鉄道芸術祭vol.5の出展作品、オープニングトークやクロージングトーク、コラムなどを収めた展覧会カタログを作成中です。
完成しましたら報告させていただきます。
どうぞご期待ください!

鉄道芸術祭vol.5および関連プログラムにお越しいただいた皆様、ご来場誠にありがとうございました。
アートエリアB1は新年1月11日(月・祝)まで、年末年始休館となります。
2016年もどうぞよろしくお願いします!

「黒田益朗とホンマタカシとともに巡る、中書島やどり木ツアー」を開催しました。

12月13日(日)、鉄道芸術祭vol.5「黒田益朗とホンマタカシとともに巡る、中書島やどり木ツアー」を開催しました。

黒田益朗さんとホンマタカシさん、そして一緒に中書島を巡る参加者の皆さんが一堂に会し、アートエリアB1でのおふたりのトークからはじまりました。
ホンマタカシさんが京阪電車で沿線をリサーチ中、中書島界隈で偶然、電車の窓越しにやどり木が群生していることに気付かれました。そこから、やどり木の研究をされている黒田益朗さんにお声がけいただき、鉄道芸術祭vol.5に参加して頂くことになりました。
電車の高架の高さの目線からだからこそ気づいたやどり木の存在。このとき、電車はただの移動手段ではなく、さながら「植物観察装置」になっているとホンマさんはおっしゃいます。
20151213yadorigi01.JPG続いて、場所を移して黒田益朗さんの展示作品を囲み、トークは続きます。

いよいよ、中書島へ向けて出発です!なにわ橋から、全員で京阪電車に乗り込みます。

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中書島駅に到着する目前で、発見しました!車窓からちらりと見える、やどり木です。

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中書島駅に到着。やどり木のある川へ向かって、ツアー開始です!黒田さんが先頭に立って、街中のご案内もしてくださいました。
参加者の中には中書島にお住まいの方や中書島ご出身の方もいらっしゃったのですが、こうして街中を歩いてみてはじめて、こんなものがあったんだ!と気づいたものもあったそうです。

そしてとうとう見つけました!やどり木です。進むにしたがって、どんどん増えます。黒田さんの先導で、そのやどり木を下から見上げたり、階段を上って目の前から眺めたり、対岸に眺めたり、いろいろな角度から眺めながら進みます。

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最後に、やどり木を眺めながら「やどり木」という名前の日本酒で乾杯!
中書島、伏見は造り酒屋の多い地域。やどり木のかたちが杉玉のようで、生えるにはぴったりの場所ね、と参加者さん同士でお話されたりしながら、和気あいあいとゆったりとした時間を過ごしました。

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車で、電車で、いつも通っている場所なのにずっと見過ごしていて、やどり木があることにはじめて気づいた。等、「いつも通っているのに見えていなかった」とおっしゃる方が多かったのが印象的でした。
見ているはずなのに、見えていないものがある。私たちは日々当たり前に見えていると思っているけれど、意外にきちんと見ていないのかもしれません。やどり木を巡りながら、改めて「見る」ということについて考えたツアーでした。

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電車公演「走る、もうひとつの電車」開催しました!

12月12日(土)に鉄道芸術祭vol.5「電車公演〜走る、もうひとつの電車〜」を満員御礼のなか、開催しました! お越しいただいたみなさま、有難うございました。

ホンマタカシさん、蓮沼執太さん、オオルタイチさん、米子匡司さんによるライブパフォーマンスや、
PUGMENTさんによるファッションショー、そしてカメラオブスキュラ体験など!
貸切電車のなかで様々な出来事が同時多発的に繰り広げられる、一度きりの素敵な時間となりました。

では、その内容を少し紹介します。


電車公演「走る、もうひとつの電車」は車両が会場となり、各車両で異なったパフォーマンスが行われます。

ライブ車両、ショー車両、カメラオブスキュラ車両の3つ車両間を自由に移動していただきながらご覧いただく、という形になっています。

まずは、カメラオブスキュラ車両から。
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車両の座席部分に特設した"箱"を暗幕の中で見ることで、車窓の風景をカメラオブスキュラで堪能できるというものでした。 天気によって見え方がかなり左右されるため、少し心配をしていましたが... 当日はお天気に恵まれ、かなり鮮明な像を見ることができました!
 
カメラオブスキュラ車両は、一度にみていただける人数が限られていたため、時間制限を設けさせていただきました。 お一人様5分まで、という限られた時間ではありましたが、ご覧になったお客様からは、「綺麗に見えた」「おもしろかった」 などの声をいただき、不思議なカメラオブスキュラ体験を楽しんでいただけたようでした。

ショー車両では、PUGMENTさんによるファッションショーを行いました。
151212PUGMENT.jpg

鉄道芸術祭vol.5の展示作品(普段は会場に展示)である「電車内で寝るための服」をPUGMENTさんやモデルさんが着用。 "寝る"というパフォーマンスが繰り広げられました。
 
座席に横になったり、床に寝転がったり、お客さんに寄りかかったり!

151212PUGMENT2.jpg
 

ライブ車両では、蓮沼執太さん、オオルタイチさん、米子匡司さんによるライブパフォーマンス!

151212蓮沼さん.jpg 151212電車公演オオルタイチさん.jpg 151212電車公演米子さん.jpg

そしてなんと!
写真家であり、鉄道芸術祭vol.5のプロデューサーであるホンマタカシさんもライブ車両でパフォーマーとして出演!

151212電車公演.jpg

それぞれが個人で演奏をしていたのですが、場所によって音の聞こえ方が変わり、音が不思議に混ざり合う空間でした。

また、このライブ車両の音は、スピーカーを通して全車両に流れていたので、
聞く車両によって雰囲気が変化する感じを楽しんでいただけたのではないでしょうか。

151212電車公演車内.jpg 151212電車公演車内2.jpg

中之島駅を出発して出町柳駅まで、京阪電車貸切電車での71分の電車の旅。
いつもとは違う、「もうひとつの電車」なかで繰り広げられる不思議な空間をお楽しみいただけたのではないでしょうか。

さて、鉄道芸術祭vol.5の会期も残り2週間を切りました!
13日から25日まで、夜間開館となり21時まで開館していますので、この機会にぜひ足をお運びください。

そして最終日12月26日(土)にはクロージングイベントが開催されます!
ご来場、心よりお待ちしております。


鉄道芸術祭vol.5 ホンマタカシプロデュース「もうひとつの電車 ~alternative train~」関連プログラム
クロージングイベント「これからの、もうひとつの電車」

12月26日(土)16:30〜19:00 (参加無料・申込不要)※展覧会のご観覧は16:00までとなります。
トークゲスト:西谷真理子(編集者、京都精華大学特任教授)
       千葉雅也(哲学者、立命館大学大学院准教授)
ショー出演者:NAZE(アーティスト、鉄道芸術祭vol.5参加アーティスト)
       PUGMENT(ファッションブランド、鉄道芸術祭vol.5参加アーティスト)
       小山友也(アーティスト、鉄道芸術祭vol.5参加アーティスト)
       dot architects(建築ユニット)
       三重野龍(グラフィックデザイナー)
       contact Gonzo(アーティスト)
監修:ホンマタカシ(写真家、鉄道芸術祭vol.5プロデューサー)
全体進行:木ノ下智恵子(アートエリアB1運営委員、大阪大学CSCD教員)

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