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創造的実験「パーティー04/The factory is movin'」
鉄道芸術祭vol.10「GDP(Gonzo dot party)」イベントプログラム
鉄道芸術祭vol.10「GDP(Gonzo dot party)」では、メインアーティストであるcontact Gonzoとdot architectsの2組が「経済」を独自に捉え直すための創造的実験「パーティー」を、会期中9回にわたって実施。経済をめぐる様々な視点から、多種多様な"創作、作業、遊び、etc...."が繰り広げられます。アートエリアB1には、「パーティー」での意図的行為と偶然の出来事の連鎖の痕跡が、会期を通じて蓄積し、鉄道芸術祭vol.10の展示空間を構成していきます。
毎回の「パーティー」を写真とともにレポートします。
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11月12日の創造的実験・第4回目は、「貨幣工場稼働中」というタイトルが示すとおり、前回からの続きで貨幣を製造する実験に取り組みました。前回の「パーティー03」で丸太を彫り出して作ったさまざまな"貨幣の文様"を用いての貨幣製造が、どのようにして展開したのかご紹介します。
「パーティー04/The factory is movin'」で繰り広げられた行為
・ベルトコンベアで作業レールを設置する。
・粘土を一定の厚さに切る。
・丸太の版型を粘土板に突く。
・作業音をサンプリングしてBGMにする。
・出来上がった貨幣を並べて乾かす。
・炊き出しとしてアフリカ料理のドモダを作る。
この日は、貨幣製造の流れ作業を行うための装置と場づくりからスタートしました。壁面に展示してある《History of value》のベルトコンベアを取り外して、2本の作業用レールを設置します。貨幣の素材となる粘土は、300kg用意されました。
まず、四角い粘土の塊を一定の大きさにカットして1本目のベルトコンベアに載せていきます。これが貨幣の本体となります。
丸太の判型はかなりの重量があり、男性2人で抱えます。手前で1人が粘土板が運ばれてくるのを待ち構えて、コンクリートの土台の上に移します。
2人がタイミングを合わせて丸太を持ち上げ、もう1人がその真下にすばやく粘土を置きます。そして判型を粘土に突きます。
貨幣の判が押された粘土板は、2本目のベルトコンベアに載せられて、その先で乾燥コーナーに並べられていきます。
顔の紋様が押された粘土(貨幣)。この日の「パーティー04」では、この一連の流れ作業がひたすら続けられることになりました。
写真左上から順に:粘土板を台に置く→粘土板に版型を突く→紋様が浮かび上がる→ベルトコンベア上の貨幣
今回のパーティーでもBGMを担当するのは三ヶ尻さんです。丸太をつく音や作業のかけ声をサンプリングしながら、現場の作業ペースに合わせてリズムに緩急をつけた曲が流れます。サウンドが重なると、一連の労働そのものがお祭りやパーティーでの動きのように見えてきます。
撮影&配信を担うのは松見さんです。今回の配信では、右から左に流れるベルトコンベアの映像を中心に、判型を突く前の粘土板→判型を突くところ→貨幣になった粘土板という流れが見えるように画角がレイアウトされました。
また、同じ画面上で炊き出しのプロセスも見ることもできます。
炊き出しでは、塚原さんがcontact Gonzoのドイツツアー中によく作って食べたという、アフリカ料理の「ドモダ」を作ります。トマトベースのソースにピーナッツペーストを加えて、鶏肉などを煮込む料理だそうです。
全長3メートルの丸太はあまりにも重いため、1人でも突けるように丸太を適当な長さでカットすることになりました。
この工夫によって作業効率がぐっとアップし、貨幣の量産体制が整いました。
全体の作業風景。作業スピードが上がり、次から次へと貨幣が製造されていきます。
出来上がった貨幣は、乾燥コーナーにずらりと並べられていきます。
貨幣の紋様は全部で5種類。見分けられるでしょうか?
見た目からも濃厚な味わいが想像できるアフリカ料理「ドモダ」が出来上がりました。
すべての粘土を使い切って、貨幣製造は完了。
作業レールのベルトコンベアはきれいに水拭きされて、元の展示位置に戻されました。
「パーティー04/The factory is movin'」で大量に製造された5種類の貨幣をはじめ、使用された道具などを痕跡として会場で見ることができます。
次回、貨幣製造シリーズの最終回「パーティー05/No credit」では、これら貨幣の"価値と信用"をめぐる実験が予定されています。引き続き、どうぞご注目ください。
パーティー04の痕跡:製造された貨幣
パーティー04の痕跡:使用された判型
パーティー04の痕跡:カットされた丸太
パーティー04の痕跡:粘土台と粘土を切る道具
撮影:吉見崚
▽ 創造的実験「パーティー03/Make the money factory」 - 2020.11.5(B1事務局 清澤)