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電車公演「texts in the train」を開催しました。
鉄道芸術祭vol.9 イベントプログラム

 2019.12.1(B1事務局 サポートスタッフ 三村)

12月1日(日)に鉄道芸術祭vol.9電車公演「texts in the train」を開催しました。
電車公演とは、走る貸し切り電車を舞台に、実験的なパフォーマンスを繰り広げ、観客も電車の乗客として参加することができる、その日その場限りの特別な公演です。

今回の公演では、チェルフィッチュ主宰で作家の岡田利規さんが、身の回りにあふれる情報や文献などの一部から"テキスト"を選び出し、それらを女優の青柳いづみさん、シンガーソングライターの七尾旅人さんYPYさん(日野浩志郎さんによるソロプロジェクト)が言葉と音、身体を通して独自の表現へと変えていきます。多種多様な"テキスト"が、パフォーマンスと移動する空間によってどのように乗客のみなさんと出会うのか、当日の様子をご紹介します。

▶︎電車公演「texts in the train」のイベント詳細はこちらから

 


京阪電車中之島駅では参加者のみなさんが特別切符を受け取り、貸切電車に乗りこみます。
公演車両は3車両で、座席に座ってゆっくりと旅を楽しみながら公演を鑑賞したり、車両間を自由に移動してパフォーマンスを間近で観ることができます。

 

12/1 鉄道芸術祭vol.9 電車公演「texts in the train」

 

全車両の吊り広告のスペースには、岡田さんの選んだ日常生活で見かける看板のテキストや小説の引用など、宣伝広告とは違う印刷物が吊りさげられ、これから繰り広げられるパフォーマンスへいざないます。

 

12/1 鉄道芸術祭vol.9 電車公演「texts in the train」

 

15時15分、電車が中之島駅を出発しました。
青柳さんの声が聞こえてきます。その声は「中之島」からはじまり続く駅名を告げていきます。そして、YPYさんと七尾さんが放つノイズのような音が徐々に重なり始め、電車が走る音と重なって車内に非日常な空気が漂います。

 

電車は地下から地上へ出て、車内が外の光で明るくなります。
青柳さんが告げる駅名は、車窓から見える広告などの"テキスト"に変わります。走る電車から眺める流れる景色のように、青柳さんの言葉となった"テキスト"も聞く人の耳と頭の中を流れていくようです。聞き取った広告を、車窓から楽しそうに探す方もいらっしゃいます。

 

12/1 鉄道芸術祭vol.9 電車公演「texts in the train」

 

電車は駅を通過しながら、京都方面へ進んでいきます。
車内はYPYさんの放つ音が響き渡り、岡田さんの選んだ"テキスト"を七尾さんと青柳さんが抜粋し、声にして放っていきます。それらはとても意味があるようにも聞こえ、単なる情報の羅列のようでもあります。

 

12/1 鉄道芸術祭vol.9 電車公演「texts in the train」

 

車内は昼下がりの穏やかな空気に包まれています。その中を七尾さんが、文献の一部を朗読しながら移動していきます。座席や椅子に座り、電車の中で本を読んでいるかのようです。

 

15時58分、枚方駅で電車は一時停車。
段々と陽が落ちてきて、窓からやわらかな光が差し込みます。電車の外から聞こえるまちの音と、車内で繰り広げられる音と言葉が呼応して、和音のように重なっていきます。
そして、車窓から見える夕焼けを背景にして、電車は再び走り出します。

 

16時01分、樟葉駅で電車は少しの時間停車。
七尾さんのギターが奏でられると、車内は一気に叙情的な雰囲気となり、優しくシャウトする声に聴く人は夢うつつになりそうです。今まで放たれた音と言葉が飽和状態となった車内は、幻想的な夕焼けの情景と相まって、時間が止まっているかのように見えました。

 

12/1 鉄道芸術祭vol.9 電車公演「texts in the train」

 

そして、非日常な世界から現実へ引き戻されるように電車は折り返し、大阪方面へ走り出します。

大阪の都市部へ近づくほど七尾さんの放つ音はハウリングして、YPYさんのノイズ音も激しくなります。電車は止まることなく都市へと戻っていきます。雑誌『WIRED』からの引用「人間中心デザインよ、さらば」を青柳さんと七尾さんが連呼すると、めまぐるしい都市の日常生活が蘇ってくるようです。

 

12/1 鉄道芸術祭vol.9 電車公演「texts in the train」

 

七尾さんと青柳さんが「触らないでください。」「引き込まれないようご注意ください。」と呼応しあう中、終着駅に引き込まれるように電車はなにわ橋駅へ到着します。

 

17時、なにわ橋駅に到着した電車の扉が105分間の旅を終えて開きます。
駅のホームからは日常音が聞こえてきます。車内で鳴りやまぬ音を残して、乗客は普段通り駅を利用するように、電車を下車して日常へと戻ります。

 


 

都市で生活していく内に、あふれる情報は視覚や頭で何気なく処理されます。今回の電車公演では日常の感覚とは違う、じっくりと言葉と音を堪能しながら心身に響き渡らせる公演でした。

ご乗車いただいた皆様、誠にありがとうございました。

 

12/1 鉄道芸術祭vol.9 電車公演「texts in the train」

写真:表恒匡

 

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