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「外国人と日本人がともに輝ける社会のために~多文化共創による持続可能な社会開発」
ラボカフェスペシャル featuring 鉄道芸術祭vol.9

 2019.11.27(B1事務局 サポートスタッフ 小河)

開催中の鉄道芸術祭vol.9に参加しているアーティストの一人、小沢裕子さんは、大阪の在留外国人に着目し、就労や勉学などで大阪に住む外国人に登場してもらう作品を2点制作しました。

少子高齢化にあり、外国人の受け入れは欠かせない施策となっている日本において、外国人と日本人が互恵的な補完関係となり多文化共創を実現するにはどのようにすればいいのか、国際的な人の移動について研究されている大阪大学共創機構社学共創本部の佐伯康考さんにお話を聞きました。

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11/27 「外国人と日本人がともに輝ける社会のために〜多文化共創による持続可能な社会開発」(ゲスト:佐伯康考(大阪大学共創機構社学共創本部 助教))

現代は、観光、就労、留学などを目的に多くの人びとが世界中を移動する時代になっています。
内戦などによる移民の流入も各国で課題になり、移民政策が国家の政権選択を左右する傾向さえ見られます。佐伯さんは、そうした国際的な人の移動"migration(マイグレーション)"を特に経済学の観点から研究されています。

日本においては、少子化問題等に起因する労働力不足に対応する社会の担い手の一員として、定年退職後の雇用延長者とともに外国人技能実習生を含む外国人労働者が期待されているのは知られているところですが、技能実習生に関して2017年に施行された「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」、2019年4月からの「出入国管理及び難民認定法」の改正により、彼らを取り巻く環境、雇い入れる側の環境は大きく変化してきています。

日本に住む外国人は何人くらいでしょうか。
佐伯さんは参加者の皆さんに尋ねられました。答えは現在約282万人で、毎年大きく増加しています。本格的に外国人との共生が問われる時代になり、特に2025年の大阪万博に持続可能な開発目標(SDGs、Sustainable Development Goals)を掲げている関西にとって、外国人共生は重要なテーマであると言えます。しかし、日本における外国人との共生の課題は取り残されていないだろうかと佐伯さんは問題提起されました。

11/27 「外国人と日本人がともに輝ける社会のために〜多文化共創による持続可能な社会開発」(ゲスト:佐伯康考(大阪大学共創機構社学共創本部 助教))

「我々が欲しかったものは労働者だったが、来たのは生身の人間だった」
この言葉は20世紀初頭に活躍したスイスの作家、マックス・フリッシュの名言として知られていますが、この言葉から一体どのような解釈ができるでしょうか。

労働者という言葉の意味と、生身の人間との違いはなんでしょう。生身の人間は怪我や病気もしますし、女性であれば妊娠もします。いろんな理由で突然働けなくなることは誰にでも起こりえます。子供を持つことも十分ありえますし、家族もいるでしょう。この言葉を念頭に置きながら、外国人労働者が一気に増加したここ30年間の日本を振り返ってみると、残念ながら、生身の人間のことをきちんと考えられていたとは言えないと、佐伯さんは指摘します。

日本では現在日本語教育の必要な子供が約4万人いるとされています。人口減の現況にある日本で再び経済成長を遂げるためには、外国人との共生により新たな価値を生み出す必要があり、そのためには日本で暮らす外国人への十分な日本語の指導が不可欠となります。
現状、日本語の教育が必要な人々のうち約6割強に十分な日本語教員がついておらず、支援の不足から国に頼らずに独自に予算をつける自治体も存在しているそうです。加えて今年春の調査では、そもそも学校にすら行けていない子供が約2万人近くいることが明らかになりました。在日外国人の中退率、非正規雇用率が著しく高いことも問題になっています。十分な教育を受けられず、将来、進学や雇用のチャンスに恵まれないという悪循環にいる彼ら彼女らのために、ボランティア頼みの構造を改良し、置き去りにされている家庭への教育支援こそが求められているのだ、と佐伯さんは主張します。

11/27 「外国人と日本人がともに輝ける社会のために〜多文化共創による持続可能な社会開発」(ゲスト:佐伯康考(大阪大学共創機構社学共創本部 助教))

持続可能な開発目標のテーマは「no man left behind」、すなわち「誰一人取り残さない」ことにあります。これは来たる2025年大阪万博の主要テーマでもありますが、5年後、再び「no man left behind」の言葉を振り返った時、果たしてそこにどれだけ取りこぼしなく多様性を含むことができているのかが、未来の日本を決定する分岐点の一つとなると言えるでしょう。

佐伯さんの外国人との共生の課題への経済学の面からの分析によるアプローチは、とても新鮮であり、明解なものでした。
外国人は私たちの生活にどんどん身近になってきています。日本社会の担い手として期待を寄せるのであれば、生身の人間として日本人と変わらない社会保障を望むのは不思議なことではないと感じました。

 
△ 電車公演「texts in the train」を開催しました。 - 2019.12.1(B1事務局 サポートスタッフ 三村)
▽ 小沢裕子アーティスト・トーク 「言葉の乗り物たちの集会」 - 2019.11.23(B1事務局 サポートスタッフ 森)

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