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「カラスが見た都市」
ラボカフェスペシャル featuring 鉄道芸術祭vol.8

 2019.1.24(B1事務局 江藤)

町でふとカラスに出会ったら、なんだか気になる。カラスもこちらを気にしているような気がする。なぜだろう。カラスって...。

鉄道芸術祭vol.8の会期も残り数日となった1月24日に、カラスの研究者である松原始さんにお越しいただき、都市に生活するカラスについてラボカフェをおこないました。

東京大学総合研究博物館特任准教授の松原始さんは動物行動学がご専門で、京都大学の学部生、院生時代からカラスを観察していらっしゃいました。その頃の資料やデータとともにユニークなエピソードも披露していただき、カラスの生態や行動についてお話しいただきました。

1/24 鉄道芸術祭vol.8 トーク・プログラム「カラスが見た都市」ゲスト:松原始(東京大学総合研究博物館 特任助教)

ラボカフェスペシャルfeaturing鉄道芸術祭
「カラスが見た都市」
1月24日[木] 19:00ー21:00
ゲスト 松原始(東京大学総合研究博物館 特任助教)

カラスはスズメ目カラス科カラス属の鳥で、世界には約40種類のカラスがいるそうです。日本で繁殖しているのは、嘴の太さの違いで名前がついているハシブトガラスとハシボソガラスで、この他に冬鳥として渡ってくるカラスや迷って来てしまったカラスなどが時折見られます。

ハシブトガラスは、もともとは森林の鳥ですが、町中によくいるのが見られ、ビル街なども問題にしません。対して、ハシボソガラスは水田や畑、河川敷など景色の開けたところが好きで、ビルの密集地などは好まないようです。

カラスは、ペアは縄張りの中で生活し、周りの縄張りの外で非繁殖集団が群れをつくっています。縄張りを持たないカラスは集団で寝ぐらをつくって眠ります。集団でいることで安全を確保しているそうです。木の上などでカラスが集まっている様子を不気味に思うことがあるかもしれませんが、ここにいるカラスは子どももいないので、人間にとっては安全だということです。

1/24 鉄道芸術祭vol.8 トーク・プログラム「カラスが見た都市」ゲスト:松原始(東京大学総合研究博物館 特任助教)

カラスの縄張りは、1つ直径200〜300mぐらいの大きさで、松原さんの調査によると京都の町は縄張りでぎっしりと隙間なく埋まっているそうです。人間が生活の上空では、カラスの生態のレイヤーが存在しているということです。

ちなみに、カラスは捕獲することが大変難しく、足輪をつけて行動範囲を知ることができにくいそうです。松原さんが目視で見失わないように追いかけるという苦労を重ねて蓄積された貴重なデータです。

1/24 鉄道芸術祭vol.8 トーク・プログラム「カラスが見た都市」ゲスト:松原始(東京大学総合研究博物館 特任助教)

さて、生きていくのに大事な食事についてですが、カラスは雑食です。セミやカマキリなどの虫、カエル、ザリガニなどの生物、柿、みかんなどの果実、くるみ、どんぐりなどの木の実、同じ鳥でも卵やヒナなど自分より弱い相手なら食べるそうです。また、魚の死骸などを食べるスカベンジャーでもあります。カラスは、生態系の食物連鎖のピラミッドで、光合成以外はすべての連鎖に関係しているジェネラリストと呼ぶそうです。

都市では人間の食べ残しのゴミをあさる姿をよく見かけますが、米、麦、ソーセージや焼き芋、スパゲティやジャンクフードも好きなようです。自然のものでは死骸を食べ、都市では人間の食べ残しを片付けるスカベンジャーだということです。

松原先生は学生時代に京都大学の近くで、カラスが居酒屋やお好み焼き屋のゴミやお墓のお供えを食べる様子を観察していたそうです。

1/24 鉄道芸術祭vol.8 トーク・プログラム「カラスが見た都市」ゲスト:松原始(東京大学総合研究博物館 特任助教)

では、カラスにとって都市は生活する場としてどのように見えているのでしょうか。
食料は、都市でも果実や小動物など天然のエサも捕食でき、スカベンジャーとして人間の食べ残しも摂取できます。営巣場所としては、公園や並木、そして送電線やビルなどの建築構造の中にもしたたかに巣を作っています。家庭の針金ハンガーでつくった巣をご覧になったことがあると思います。次に、敵は町中には滅多にいない。ということで、都市はカラスが生きるのに都合が良く、山の中の生活をスライドさせて生活が可能だということです。

なんといっても、松原さん曰く、鳥にとって都市は「超・都市計画 〜そうなろうとするCITY」ならぬ、「鳥・都市計画 〜そうなっちゃってるCITY」なのですから。

1/24 鉄道芸術祭vol.8 トーク・プログラム「カラスが見た都市」ゲスト:松原始(東京大学総合研究博物館 特任助教)

町かどでカラスの存在が気になるのは、近所ですれ違う人の存在が気になるのと同じようなものかもしれない。なんだか、あいさつをしようかしまいか逡巡してしまう。カラスと人間の関係はそんなものかもしれないなという気がしてきました。

 

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