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「ザ・コピー・トラベラーズのオールザッツなエトセトラ」
鉄道芸術祭vol.8 アーティスト・プログラム

 2018.12.22(B1事務局 三ヶ尻)

鉄道芸術祭vol.8「超・都市計画〜そうなろうとするCITY〜」の参加アーティストであるTHE COPY TRAVELERSは、それぞれが美術家として活躍する加納俊輔さん、迫鉄平さん、上田良さんで結成されたユニットです。12月22日に開催した「ザ・コピー・トラベラーズのオールザッツなエトセトラ」では、彼らの活動経緯や制作手法、また本展出展作品についてさまざまな角度からお話ししていただきました。

 

鉄道芸術祭vol.8 アーティスト・プログラム 「ザ・コピー・トラベラーズのオールザッツなエトセトラ」

 

THE COPY TRAVELERSのはじまりは、加納さんと迫さんのアルバイト先にあったコピー機でした。
スタートボタンを押すだけでイメージが瞬時に紙にうつしとられ、どれだけ失敗してもすぐに次の制作に取りかかれるコピー機の面白さに魅了され、夜な夜な実験的に作品制作するようになったそうです。また、2人のアルバイト先に出入りする友人のひとりであった上田さんも参加し、現在のユニットとなりました。

コピー機の上に乗せるものは、スナップ写真、ドローイング、雑誌の切り抜きなど、3人それぞれが持ち寄ったあらゆる素材です。持ち寄ったものは出どころを問わず、切り刻む、何かに貼りつけるなど、どのようになっても構わないというのがルールだそうです。三人三様思うようにコピー機に並べ、どんどん出力していく、出力したものがまた素材のひとつになるなど、終わらないコラージュ作業の連続から作品が制作されていきます。

また展示する際は、机の上に作品を同等に並べ、現場で選び、展示位置を決定していくのが通例だそうです。長時間の話し合いになると疲れてきて展示作業が進まず、また、体力が有り余っていると喧嘩になるなどの経験を積み重ね、自分のアイデアを通すために他の2人が疲れるのを待ってみたり、黙って素材を追加してみたりと、ユニットならではのエピソードも明かされました。

 

鉄道芸術祭vol.8 アーティスト・プログラム 「ザ・コピー・トラベラーズのオールザッツなエトセトラ」

 

展覧会を行う度に、美術業界や写真業界における作法をくずしていくようなチャレンジを行い、新たな視点を模索し続けてきたTHE COPY TRAVELERS。これまで彼らの作品制作は、スタジオやアトリエに篭りその場で完結していたそうです。そして今回、はじめてスタジオを飛び出し作品制作を行ったことが特徴のひとつだと言います。

本展のタイトルが「超・都市計画」と聞き、まず都市を体験することが大事だと感じたそうです。舞台となったのは大阪・中之島。彼らはたびたび中之島に出向いては、風景写真や素材となるものを採集し、それを一旦スタジオに持って帰り、雑誌の切り抜きやドローイングなど他の素材と同等に並べて制作し、できたものを再び中之島に持っていく作業を繰り返し行いました。

 

また、本展の副題である「そうなろうとするCITY」は、3人の発案から付けられたものです。
「CITY」という言葉は、あらゐけいいちさんの漫画〈CITY〉から引用されました。あらゐさんの描く〈CITY〉では、たくさんの登場人物、動物、モノが行き交い、一見関連性がないと思われたことが何かの拍子に繋がる瞬間や、読み手という視点で街を俯瞰していると予期していなかったコトやモノにスポットライトが当たる瞬間などを切り取り、物語る街の様子が、本展のイメージと重なったと言います。
また「そうなろうとする」という言葉には、街自体が主体をもっているイメージと、街を構成している人やモノ、コトなどの全てのものが、それぞれのゴールを目指して動き、勝手に組み上がっていくイメージを込められました。

これに対し迫さんは、コピー機の上でフレキシブルにモノを移動させながら作品をつくっていくTHE COPY TRAVELERSの作品制作と、漫画〈CITY〉で登場人物を固定せずたくさんの人やモノを出入りさせ物語る街の様子、制作のためにたまに訪れる中之島の風景が、時間帯や季節、道行く人の服装などによって異なってみえて感じることを重ねてみていたそうです。そして、フレキシブルに様々なことが行き交い、固定されない状態に"コラージュの未来"をみたと言います。

 

鉄道芸術祭vol.8 アーティスト・プログラム 「ザ・コピー・トラベラーズのオールザッツなエトセトラ」

 

トークの最中、素材を何層も重ねている内に、そもそも誰のものであったのか、何を見ていたのかすらわからなくなってくるというような話が何度もでてきました。都市の風景とは、各々に動く人や動物、モノ、コトが重なり、固有名詞も見えなくなった頃、立ち上がって見えてくるのかもしれないと感じました。

 

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しかし、THE COPY TRAVELERSの描く都市風景は、決して個人やちいさなモノやコトを無慈悲に切り刻んでしまうものではなく、ひとつひとつに対する愛着や尊敬をもって素材を扱っていることが、作品から、そしてトークの端々からもひしひしと感じられました。

展覧会場では、上田さんのドローイングや中之島で撮影した写真を含む、本展をさらに深く読み解く報告書「THE COPY TRAVELERSのそうなろうとするCITY」を販売しています。ぜひお手に取ってみてください。

THE COPY TRAVELERSの皆様、ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

 

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