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電車公演「電車と食堂とコントと」を開催しました。
鉄道芸術祭vol.7イベントプログラム

 2017.12.3(B1事務局 三ヶ尻)

12月3日(日)に電車公演「電車と食堂とコントと」を開催しました。
電車公演とは、走行する電車を舞台とした一回限りの特別なプログラムです。

今回、国内では希少となった食堂車やお座敷列車へのオマージュを込めて、料理家・文筆家として活躍されている高山なおみさんと、のどかな新古典派ナンセンスコメディを展開するコントユニット、テニスコートがゲストとして乗車し、特別電車「電車と食堂とコントと」を発車しました。

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当日の様子を少しご紹介します。

中之島駅で受付を済まされた参加者の皆さんは、特別切符と、『球体7号・特別臨時便』テニスコート『快速急行インモラル』の2つの限定紙を手に、3つの車両にご乗車いただき、それぞれの席からじっくりと「電車と食堂とコント」を楽しんでいただきました。

車掌のアナウンスとともに扉が閉まり、特別電車がいよいよ出発。
電車の振動と振動音に心地よく揺られながら、各車両に設置されたモニターより高山なおみさん『イワシとムサカ』の映像が始まりました。まず、ごろごろとした立派なじゃがいもを皮がついたまま茹でています。「マッシュポテトのムサカ」です。熱々のじゃがいもを布巾の上にのせ、皮をひとつずつ剥いていく。皮が剥かれたじゃがいもたちをよく潰し、たっぷりのバターと牛乳を入れてはまた潰し、どんどん滑らかなマッシュポテトになる様子が映し出されていました。画面の中にはキッチンの青いタイルや近所のスーパーでよく見るパッケージの牛乳、そして、淡々とじゃがいもを潰す高山さんの後ろ姿。

12.03電車公演「電車と食堂とコントと」

公演当日はとてもお天気が良く、京橋駅を過ぎたあたりからたくさんの日光が車内に差し込みました。ぽかぽかと暖かい車内で映像の中の高山さんの後ろ姿を眺めていると、懐かしい場所に帰ったような、のどかな気持ちになりました。

また時折、映像の高山さんと重なるように、鉄道芸術祭vol.7「STATION TO STATION」で展示している高山さんの作品『ポルトガル日記』を高山さんご自身がマイクを通して朗読します。この作品は、鉄道芸術祭vol.7の始まりとなったポルトガルでの日々が日記として綴られているものです。朗読する高山さんの伸びやかな声とともに、ポルトガルで高山さんが見た光景が車内にふわりと立ち上がるようでした。

12.03電車公演「電車と食堂とコントと」

光善寺駅を過ぎた頃、BGMをきっかけに各車両に1人ずつ乗車していたテニスコートの3人がマイクを片手に各々立ち上がります。テニスコートのコントの題材となったのは、日本人で初めて公式にヨーロッパへ上陸した「天正遣欧少年使節」です。当時のヨーロッパを想起する襞襟(ひだえり)のついた洋服、手に黒革表紙の本を持った3人は、うろうろと車内を歩きながら、年表のような日記のようなものを読み上げ始めました。3人は異なる車両にいるのにも関わらず、近距離で話しているかのような会話がマイクを通して全車両で繰り広げられます。

12.03電車公演「電車と食堂とコントと」

日本からポルトガルへ渡る場面を演じるテニスコート扮する天正遣欧少年使節。大阪から京都へ向かう京阪電車は、さながら日本からポルトガルに渡る船中のようでした。 

枚方駅あたりで、3人は車両間を移動し始め、真ん中の車両で合流したり、また別れたり──。しかし各車両で聞こえる声の距離感は変わらず、車両から演者がいなくなっても言葉の投げ方と息遣いから場面の状況を捉え、想像を重ねるような、そんなコントでした。時折、旅路には暗雲が垂れ込めたり、気持ちよく晴れ上がったり、まるで車内の空間が伸び縮みするように3人のリズミカルな会話が積みあがっていき、時に笑いを誘います。

樟葉駅で停車すると、映像の中の高山なおみさんは、次の料理「イワシの塩焼き」にとりかかっていました。付け合わせの野菜たちを茹でたり、切ったり、和えたり。イワシはあら塩とともにグリルにかけられます。

12.03電車公演「電車と食堂とコントと」

電車は樟葉駅で折り返し、再び大阪方面へ走り出します。
行きの電車で繰り広げられたテニスコートのコントは同じ配役で、ポルトガルから日本に帰る船中のある日の出来事に移ります。コントでは、実際にはいない4人目の登場人物が登場し、別の車両にもう一人の人物がいるかのように話は進んでいきます。わずか3両の空間が、広大な海を渡る船であるかのような錯覚を引き起こします。

テニスコートのコントが終幕した頃、高山さんの「イワシの塩焼き」は、イワシの上に野菜が盛り付けられていました。そして、白いワインとともに、「イワシの塩焼き」を高山さんが食べる時間。付け合わせの玉ねぎや硬めにゆでられた卵、ピーマンのマリネをナイフで刻み、イワシの身からナイフとフォークで器用に骨を取り除き、じっくりと時間をかけて料理が口に運ばれます。料理の映像を見ていて生唾を飲む瞬間というのは誰しも経験があると思いますが、「イワシの塩焼き」は、食べているときの高山さんの仕草からも"美味しい"を感じました。

12.03電車公演「電車と食堂とコントと」

電車は終着の「なにわ橋駅」に到着。「なにわ橋駅」の改札口には、高山なおみさんの「イワシとムサカ」が蝋細工の食品サンプルで展示されていました。

車内のモニター越しに見た、高山さんの調理と完成した料理と食事の風景。そして実物の料理から型を取って作られた食品サンプル。
「イワシの塩焼き」も「マッシュポテトのムサカ」も、ポルトガルの代表的な料理の一つです。
ポルトガルへ行き、ポルトとリスボンを鉄道で旅した高山なおみさん。その日々を辿る朗読。
日本からポルトガルへ命がけの船旅をした天正遣欧少年使節。
使節の旅路をコントで辿るテニスコート。
大阪と京都を行き来する鉄道。窓から差し込む暖かなひかり。
異なる時間と空間と文化が車内で渾然一体となりながらも、出発駅から終着駅へ一直線に向かう鉄道の旅を楽しむ、そんな公演でした。

電車公演で上映した「イワシとムサカ」の映像と食品サンプルは、アートエリアB1の展覧会場にて1/21まで展示しています。

また、高山なおみさんによる「ポルトガルを感じる料理7品」のレシピが掲載された「球体7号・臨時特別便」も展覧会場でご購入いただけます。

電車公演に乗れなかった方は、この機会をぜひお見逃しなく。

12.03電車公演「電車と食堂とコントと」

12.03電車公演「電車と食堂とコントと」

終演後、アートエリアB1では、使節団トーク「車窓の旅〜ポルトガル編〜」が開催されました。

現代の使節としてポルトガルに渡った、建築家の荒木信雄さん、作家の石田千さん、料理家の高山なおみさん、そして鉄道芸術祭vol.7メインアーティストの立花文穂さんがゲストとして登壇したこのトーク。こちらの様子は次のブログ、使節団トーク「車窓の旅〜ポルトガル編〜」でご覧ください。

(撮影:松見拓也)

 

 

 

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