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「見えない世界」を通じて考えるメディアの構造(ヴァージル・ホーキンス氏をお迎えして)

 2017.1.22(B1事務局 サポートスタッフ 小河)

1月17日(火)のラボカフェは、大阪大学大学院国際公共政策研究科の准教授であるヴァージル・ホーキンスさんをお迎えして、「『見えない世界』を通じて考えるメディアの構造」と題し、私たちを取り巻くメディアの構造について考えるトークイベントを開催しました。

 

ホーキンスさんのご専門は、国際政治、紛争研究(特にアフリカ)、メディア研究。中でも「見えない世界と情報の流れ」について関心をよせておられます。
今回は、マスメディアが伝えない事象の中でも、国際報道に焦点を当ててご講演いただきました。

 

ホーキンス氏.jpg

 

 

国際報道といえば、40数ページある紙面でも4項くらいで、紙面全体の10%程度だそうです。これは、私が新聞を読んだときの印象と同様の割合。

経済新聞等、専門紙を除いてはスポーツ欄のほうが余程充実しています。

 

そんな数少ない国際報道の中でも、実際に記事として取り扱われた事象には偏重傾向があるそうです。

 

今まで読んだ国際報道を思い起こしても、アメリカの記事は毎日のように何かしら掲載され、中国・韓国・中東アジアをはじめとした同じアジア圏、ロシアやユーロ圏の記事もよく目にしますが、中南米・アフリカでの記事が殆ど思い当たりません。

その状況を、統計資料を提示しながら具体的に説明していただきました。

 

報道数割合.jpg

 

ホーキンスさんはその中でも、紛争関連記事はニュースの歪んだ価値基準が色濃く反映されていることに警鐘を唱えられておられました。

近年において、思い当たる紛争と言えば、アフガニスタン、クリミア紛争、イスラエル-パレスチナ紛争、パリで起きたテロなどは一時期、連日報道されていたこともあり記憶に新しい方も多いと思われます。

しかし、アフリカでの紛争と言えば、エジプトのクーデター、ソマリア紛争、ルワンダ紛争等は報道されていたこともあり記憶にも残っているのですが、ホーキンスさんが提示した、紛争死者数の統計資料を見て、コンゴで起こった紛争が他のそれとは比較にならないくらいの死者数が出ていることを今回初めて知りました。

 

紛争死者数.jpg

 

それは、第二次世界大戦を除いては、ベトナム戦争の300万人を遥かに上回り、朝鮮戦争450〜700万人に並ぶくらいの500万人以上の死者を出しながらも、世界で認知されていない紛争があることを物語っているものでした。

その資料には、大小に拘わらず、報道されず、私たちの目にも耳にも触れられていない紛争がいくつも記載されています。

 

ホーキンスさんは新聞に載ることのないニュースが多くあることを説明し、それが戦争の規模(期間や死者数等)とは関係ないことを、綿密にリサーチされた資料を用いて解説されました。また、世界の紛争でイスラエル-パレスチナ紛争がいかに特殊で特権的な位置で扱われ、アフリカ・中南米地域が添え物のように、紙面を満たすために必要に応じて記事がピックアップされているのか。それは、特派員の配置や通信社もないような現状では物理的に致し方がない要因もあると思われるが、国民の多くが関心を持つ地域、何かしら自国に影響のある国、国益に関わる国、センセーショナルでストーリー性があるか否か等、マスメディアの偏った視点で記事が出来上がることを危惧しておられました。

結果的に国民は、報道されて記事になったことしか起きていないと思い込んでしまう状況に置かれていることになります。

 


問題の背景.jpg

 

自国や国民自身に影響・関心がなければ、それに関わる国以外に意識を向けることは困難なのかもしれないけれど、これだけ世界を知るためのインフラが構築されている時代であるにも拘わらず、それは非常にもったいないことです。

その国のことを知らないから関心を持つことが出来ないのか、報道等の情報が少ないから関心を持ち難いのか、定かなことはいえませんが、個人としては、そのための手段の一つを今回のトークで提供していただいたように思います。

 

その手段の一つとなるのが、現在ホーキンスさんがインターネット上で取り組まれている「Global News View (GNV)」という活動デす。「Global News View (GNV)」は、世界と世界が抱える問題を包括的に、客観的に把握できる情報環境の実現を目指すメディア研究機関です。報道されない世界に関する情報・解説の提供と、既存の国際報道の現状を分析しその改善を促進する活動を展開されています。

 ホーキンスさんが取り組まれている「Global News View」のご紹介

国際報道は新聞・TVで見聞きはしていますが、国別・世界の地域別に分けて報道割合を考えたことがなかったので、ホーキンスさんが見せてくださったたくさんの統計資料や、分析手法がとても新鮮でした。
そして、メディアによってこのような「見えていない世界」が形成されていることに気づかされる、とても貴重な機会となりました。

 

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