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「航空機の運航に見る物理学の役割に関して」(小川哲生さんをお迎えして)

 2016.12.27(B1事務局 くはの)

12/22(木)、鉄道芸術祭の関連企画として「航空機の運行に見る物理学の役割について」というトークプログラムを開催しました。ゲストは、昨年の鉄道芸術祭vol.5でもトークゲストとしてお越しいただいた、理論物理学者であり大阪大学理事・副学長の小川哲生さんです。昨年のトークでは「電車に乗る」ということを出発点に、物理学の視点から「移動の未来」、「車窓の景色/何が見えるか」、「ワープ・ワームホール」、 「光の形」、「速度」、「線の移動と点の移動」ということをキーワードにお話をしていただきました。今回は、「航空機の運行」に着目します。

小川さん曰く、物理学とはいろいろなものの動きのメカニズムについて「なぜこう動くのか?なぜなんだ!?」

という疑問が起こるか否かが勝負の学問とのこと。

ご自身は、目の前の物事に対して「どうなってるの?」「なぜこうなってるの?」という好奇心を元来からお持ちだったそうです。

 

そんな小川さん、なぜ飛行機に興味をもたれたのでしょうか?

約2年前に伊丹空港の近所に引っ越しされたとき、ふと生駒山の方向をみていると飛行機が着陸してくるのが見えたそうです。

暗くなってから南のほうをみると、特に離着陸が多い時間帯である夕方から夜にかけての伊丹空港周辺は、飛行機が一直線上に並ぶように順序良く降下していくのだとか。

そのとき小川さんは、「どうやって等間隔に並べているのだろう?」「どこで飛間距離を調整しているんだろう?」といった疑問がわきました。

着陸の際、飛行機は管制塔からの指示で誘導され、一定の角度を保ち、線を描きながらだんだん降下していくのですが、その様がとても美しかったそうです。

「管制官たちは、目にみえない"着陸ルートの滑り台"に各飛行機をのせていかなきゃいけない。滑り台の入口に等間隔に導いていくために、その手前で絶妙に距離を調整していかなければいけない、それが彼らすごくうまいんです」

と熱っぽく語る小川さん。管制官とは、とても緊張感のある仕事だと改めて感じました。

↓写真は、飛行機が「飛びながら前に進む」仕組みについて解説される様子です。

航空機の運航に見る物理学の役割に関して1.JPG 

さらに、トークのなかでは飛行機にまつわる様々なマメ知識もお話してくださいました。

*パイロットと捕パイロットは別の食事をたべる

→どちらかが万が一食事であたっても、運転・操作できるようにするためです。

*昔はジャンボ機は、エンジンが4つあった

→4つあれば一つ破損しても飛べるということが理由でしたが、結局整備に手間がかかるので現在の大型機のエンジンは2つになっています。

そして、右と左のエンジンの整備はそれぞれ違う人が担当します。同じ目で両方を整備してしまうとヒューマンエラーが起きる可能性が高くなるためです。

*飛行機のガソリンタンクはどこにあるのか

→主翼のなかにあります。左右をバランスよく使うようになっています。

また、静電気の発生を防ぐため、放電で逃がすように翼のうしろにはアンテナがついています。

などなど、へぇぇえーと思わず唸るお話しが次々に飛び出してきました。

 

次はプロジェクターに地図が表示されました。

これは、インターネットで公開されているフライトレコーダーです。

航空機の運航に見る物理学の役割に関して2.JPG

小川さんがマップ(飛行経路)をみせながら説明してくださいます。

地図上を移動する飛行機をクリックすると現在飛んでいる飛行機の種類、発着場所などが分かるようになっていて、飛行機の高度まで色分けで表示されます。

お仕事で飛行機に乗られることも多い小川さん。伊丹空港は夜9時を過ぎると着陸できないため、飛行中に9時をすぎると関西国際空港に変更になるそうです。そのような時は、嫌だなぁと思いながらも、イレギュラーなフライトを楽しまれているのだとか。

会場のお客さんも、集中して画面に映し出される地図を食い入るように見つめていました。

次に小川さんが取り出したのは、なんと無線機です!

「ハム無線とは違います、あくまでも聴くだけです。航空無線は傍受してもよいことになっているんですよ。合法です。ただし聞いた内容は他言無用です」

通常、パイロットと管制官のやり取りは英語です。しかし、非常時には日本語が飛び出すこともあるようです。例えば、雷の危険がある場合、地上スタッフは外に出てはいけないので、離陸も着陸もできません。そういう時、パイロットから咄嗟に日本語で「どうなってるんだ!」という交信も入るそうです。

普段、飛行に乗っているだけでは気にすることもないパイロットと管制官の交信。でもこの「声の交信」によって、飛行機の運行は支えられていることを改めて知りました。当たり前といえば当たり前ですが、空を見上げて、そこに飛行機が飛んでいるということは、そこには眼に見えなレーダーの通信網があり、人間の声が飛び交っている。そういうことを考えると、今日から少し空の景色が変わって見えそうです。

航空機の運航に見る物理学の役割に関して3.JPG 

参加者からの質問タイムも盛り上がり、名残惜しい空気を残しながらあっという間の閉会。

いつもいつも、面白い切り口で聴き手の心を掴む小川さん。物理学という一見難しそうなテーマですが、身近な現象を出発点に、世界の仕組みの一端を紐解いて見せてくださいます。

普段、私たちが特に疑問をもつこともなく見慣れているもの、乗り慣れているもの、感じ慣れていること等について、その仕組みを知るということは、異なる世界が広がるということです。

今日のお話では、「航空機の運行」をテーマに、飛行機の仕組み、空のこと、風のこと、そして管制官とパイロットの"声による飛行機の運行"について、今まで知らなかった世界のほんの一端を知ることができました。

 

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