スタッフブログ > サーチプロジェクト

今日、誰となにを食べて、なにを話しましょうか。(美術家・小山田徹さんトークプログラム)

4/23に開催した対話プログラムでは、サーチプロジェクトvol.5出展作家のお一人である、美術家の小山田徹さんをお迎えして、参加者の皆さんを交えて「食」にまつわることについての対話を行いました。

様々なところで対話の場所/機会をつくる活動をされている小山田さんは、東日本大震災で被災した宮城県女川町で対話工房という団体に参加され、地元の方々とともに色々なことを行いながら対話をする機会を作られています。

このプログラムは、小山田さんの作品《握り石》《巡礼》《実測図》が展示されている会場内「居間」エリアで開催しました。ソファに座りながら、皆さんとテーブルを囲んで話すことでゆったりとした、まるで親しい知り合いの家に来たかのようなアットホームな雰囲気が流れていました。

160523小山田さんトーク1

まず最初に、小山田さんからこの対話の趣旨について「これが正しいとか、こうあるべきという結論を出さずに話す時間にしたいと思います。」という言葉がありました。
日々の生活にも、災害時という非日常的な状況にもなくてはならない「食」をテーマに、参加者の皆さんの思うこと、今考えていることをお話ししてもらい、それぞれが抱える悩みや現代の食を取り巻く状況に対する問題意識などを共有しながら、結論を急がず「食」にまつわる様々なことがらについて、話していきました。

参加者の皆さんからは「共同キッチンで料理を作り、みんなで食べること」「家族での食事であっても毎日の献立を考えることがプレッシャーになること」「拒食と過食について」「みんなでする餅つきが好きなこと」などといった話題が出ました。
そこからは、過剰包装や孤食、少々過剰な衛生面への意識など「食」を取り巻く社会的な問題や、現代にみんなで食事をする機会とその重要さなどへと話は繋がっていきました。

小山田さんから災害時に人が集まることと繋がりについてのお話も。
東日本大震災の時、避難所という非日常では、ただ食べること生活することが困難となり、お互いに協力し合わなければ生きていくことができませんでした。
その中で、食事や暖をとるために自然と焚き火が起こり、そこに集まってきた人たちが互いに話をする場が生まれ、みんなで話していくなかで、コックや看護師などそれぞれの職業を活かして協力し合うための仕組みが独自に出来上がっていきました。
こうした繋がり・仕組みができるかどうかは、それぞれの避難所の規模によって違っていたとのこと。
また、仮設住宅に移ると壁が出来たせいなのか、その繋がりは途絶えてしまったそうです。

そういった人との距離や繋がりから起こる問題を、対話する機会からゆっくりと考えていけるような活動を小山田さんはされています。
原発をはじめとした、難しい、すぐには答えの出ない問題がたくさんあるからこそ、対話をする機会をつくり、賛成と反対の二項対立ではない、違った考え方を探しながら「楽しく問いたい」、みんなで「美味しく食べたい」という小山田さんの言葉が印象的でした。


今回話題にのぼったどの問題も、人との繋がりが重要なポイントになってくるように思えました。
現代社会全体が"大量生産大量消費"の大規模なシステムに向かうとシステマティックにならざるを得ず、人と接する機会が減り、繋がりが薄くなっていっていることが根底にあるように感じます。
互いに顔が見える人数だとそれぞれがギブ&テイクで協力し合えるものの、大人数の「群衆」となってしまうと個人が感じられなくなり、またその群衆に対応するシステムへ社会全体が傾いているために個人に適応できない事が、問題として噴出しているように感じました。
そこを対話をすることで考えていこうという小山田さんの活動はとても人間的で、それぞれが少しずつでも良い方向へ進めるような、そんな対話になっていたと思います。

160423小山田さんトーク5


小山田さんはこういった対話の機会を設ける時、本来は「焚き火」を囲んで行うそうです。このプログラムでは駅の中ということで焚き火は叶いませんでしたが、小山田さんの作品《握り石》を皆さんには握って貰いました。「たなごころが良い石」を握りながら話すと、不思議と話し口調が柔らかくなるというこの石を、トークの前に皆さんそれぞれに選んでもらい、握りながらの対話となりました。

160523小山田さんトーク2160523小山田さんトーク3

小山田さんには再度、5/20(金)サーチプロジェクト関連トーク「惑星地球の石を語る、惑星地質学者と美術家」に登場して頂きます。
日本洞窟学会会員でもある小山田さんと、サーチプロジェクトvol.5アドバイザーであり惑星地質学・鉱物学研究者でいらっしゃる佐伯和人さんとの「石」を巡る対談となります。
今回、石についてもお話したくてウズウズされていた小山田さん。(次回へ譲るということで今回は少なめでした。)
ぜひ次回もご期待下さい!

 

  2017年6月

        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

スタッフブログ カテゴリ一覧

スタッフブログB1 日々の記録